タグ「二次創作」のついた投稿作品一覧(6)
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何から話せば良いかな…そうね、まず置かれていた環境について話そう。
ぼくは『神の子』として、大きな屋敷で生活していた。皆がぼくを崇めてた。
いつも多くの人間と一緒にいたけど、ぼくから話しかけられることは禁止されてた。
『神の子』を汚しちゃいけないんだって。神聖なものだから。汚いものに触れてし...鬼の子-その5-
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思えばその子の眼は最初から何かに怯えているようだった。
いくら慰めの言葉を投げても、その色は増すばかり。
実際、僕は全然わかっていなかった。
すべてに意味が込められていたのに。
その子のことも。言葉も。行動も。
一緒に時を過ごしていたのに。
「ぼくの事、聞かないの?」
風の強い日だった...鬼の子-その4-
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あの頃、世界は二人とそれ以外。
きっと同じものを感じていた。
どこかで繋がっていたんだと思う。
目に映るもの、ずっと形に残るもの、現せるものなどなにもないけど。
都合のいい幻を見たんだと笑う人もいるだろう。
幼子の戯言だと相手にしてくれないかもしれない。
けど、そこにいたのは確かにひと...ぼくが生まれた日―鬼の子・外伝的何か―
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これはぼくにとっては幸せだった。
長い時間じゃないけれど、ぼくは幸せだった。
幸せが嬉しいものだと知った。
幸せは辛いものだと知ることができた。
この素晴らしい時間をぼくは忘れない。
ずっと、わすれないよ。
ただ呆然と毎日を過ごしていた。
七回目の春。
何も変わりない。
僕はいつ...鬼の子-その3-
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それから僕はずっとそこにいた。
他に行く場所もなかったし、外に出してもらえる機会のなかった僕には、他の場所という概念自体がなかった。帰り道なども、覚えられるはずがない。あの時、去っていく母の後を必死追っていれば、と幾度か思い浮かんだが、それも無理だろうと諦めるしかなかった。
それに、ほんの少し...鬼の子-その2-
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僕は母のお腹の中にいるときから、ある程度の言葉が理解できていた。
そこは幸せな声で溢れていた。
優しい言葉が降り注いでくれた。
陽だまりみたいに暖かかった。
幸せの、時間だった……
一つ目の春を迎えた頃。
初めて、お母さんから声をかけられた。
僕はその招きのままに、不安定な歩きで後を...鬼の子