存在していた証
 
 
ミク姉の部屋は綺麗に整頓されていたが、女の子らしいかわいらしさがあふれている。
そんな部屋だった。
 
あ、これ、ミク姉とおそろいで買ったストラップだ…。
私が黄色のネコでミク姉が黄緑のウサギ。そして、両方ともト音記号がついている。
ミュージックプレーヤーにつけてくれてたんだ。
形見として、このストラップでもいいかもしれない。
 
ほかにも物色してみる。
何気にミク姉の抱き枕ネギだ…。
ミク姉らしいというか、ミク姉の存在を実感できるというか…。
私の中のミク姉のイメージそのものだ。
 
クローゼットを開ける。
いろんな曲の衣装がかかっているが、もちろんその中に私服もあった。
ミク姉のパンツのシマシマ率の高さ…。
いったい、どこで買っているのか。
デフォ服に関しては、消えてしまったときに着ていたのと、クローゼットの中の全部で3着だ。
髪飾りはあの1セットだけだったんだな…。
 
「マスター、3つでもいいですか?」
「あぁ、別に構わない。削除するだけのものだからな」
「…ありがとうございます」
 
『削除するだけ』という言葉に怒りを覚えた。
 
結局あたしは、ミク姉のデフォ服、おそろいのストラップ、ネギの抱き枕をもらった。
ルカ姉はミク姉の枕(やっぱりネギ)、グミ姉はミク姉のデフォ服とネックレス、テト姉さんは衣装2着、テイ姉さんはミク姉の私服と衣装1着、レンはミク姉の歌のレッスンノートをもらった。
 
「じゃあ、みんな部屋から出ろ。削除するから」
「とうとう、消えちゃうんだね…。何もかも」
 
グミ姉さんの言葉がグッと来た。
 
「……っ…っ……ぅっ」
「リ、リンちゃん、大丈夫だよ?ミクちゃんのことは絶対忘れないし、ミクちゃんと歌った曲のことも
 忘れないから。」
「……っ…う…、うん…」
「じゃあな、ミク」


<Enter>

 
[削除しました]
 
 
ミク姉の部屋は、何もない空間になってしまった。
ミク姉…。
ネギの抱き枕をギュっと抱きしめる。

 
「明日にはがくぽが来ると思うから、みんな、よろしくな」

「「「はーい」」」

こうして、がくぽさんを迎える準備はできたけど、ミク姉が存在していた証はほぼ消えてなくなってしまった。








 


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

家族の消失 ―初音ミク編④―

閲覧数:337

投稿日:2012/04/03 10:52:14

文字数:958文字

カテゴリ:小説

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    よし、私はミクのしまパンもら(黙れ変態

    このマスターどうやって料理しようか。
    ではとりあえず三枚おろしで(((

    2012/07/15 20:24:31

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