前回に引き続きUTAUの話です


テト達と、イクト達が知り合ったのは三年前だった。

その頃まだマンションにやってきたばかりのリンは毎日はしゃいでいた。
新しい環境、新しい友達と、新しいマスター。
はしゃいでしまうのも無理はないか、とイクトも多目に見ていた。

そしてその日は今日と同じように買い物の帰りだった。

「マスター、レン、はやくはやく!」
「こらリン、走るな!転ぶぞ!」
荷物を腕に抱えたままリンが階段を駆け上がる。
イクトの家はエレベーターから降りたあとに、階段を使って少し上がらなければならない。
転けそうではらはらしながらもあとを追いかけるイクトとレン。

「大丈夫大丈……わっ」
不意にリンが、最後の段に足を引っかけてしまう。
危ない!と叫ぶ間もなく、リンは地面に音をたててぶつかってしまうだろう。
そしたらリンは泣きだすか、悲鳴をあげる。
その音を聞きたくなくて二人は思わず目を瞑る。

だが数秒まてども、リンの悲鳴も泣き声も聞こえない。
頭に疑問をうかべながらも二人は急いで階段を昇った

「大丈夫か?」
「はい……」

そこにいたのは座り込んでいるリンと、ポニーテールでダークレッドの髪をした、青年だった。
その後ろには青年にどこかそっくりなツインテールの少女がいる。

「階段で走ると危ないだろう、気をつけろよ」
「うん、ありがとう」

「リン!」
レンがすぐにリンへと駆け寄る。
そして外傷がないことを確認すると、ほっと息をついた。

「リンを助けてくれてありがとうございます!」
レンが告げると、
少女が首をかしげた。

「これは助けた、に該当するのか?」
「まぁ、支えた、のほうが正しいかもしれないな」

青年が苦笑する。

「俺からもお礼を言わせて。ありがとう」
「どういたしまして」

今更だけれど、彼が立ち上がって気が付いた。
彼らはVOCALOIDじゃないようだ。たしか…

「私は「UTAU」の重音テト、だ」

考えが至るより早く少女が自己紹介をした。

「それで、こっちのちんちくりんがテッドだ」
「ちょっとまて、ちんちくりんとは何だ」
「なんだっていいだろう」
…人の家の前で喧嘩すんな。
どうやらこの二人はリン、レンと同じように双子に近い存在らしい。


「とりあえず二人にお礼しないと。中にはいってよ」
「いえ、結構で「うむ!お邪魔するぞ!」す………」

テッドの声を遮ったのはテトだ。やっぱりどこかリンとレンみたいで苦笑してしまった。



そして今。

「しかしなつかしいな、イクトの家は」
テトがはにかみながらそんな事を言った。
数ヶ月ぶりに二人のマスターと俺の都合が合ったため、こうしてテト達とリン達は談笑していた。

テトとテッドのマスターは分け合って別の人だ。
と、言っても向かい合わせに住んでる。
それはこのマンションにはVOCALOIDやらUTAUがやたら多いことを再確認できた。
「リン、今日はフランスパンはあるか!?」
「勿論だよ☆」
すぐさまリンがフランスパンを取り出して、それにテトが目を輝かせた。
レンはテッドと一緒に冷蔵庫に買ってきた物をつめている。

……なんだ、この差は……

イクトは今更、そんなことを考えた。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【閑話休題】二人三脚-イクトと鏡音家と…-【そのに】

リンは足を引っかけすぎだよ。
レンが微妙に空気なのはなんでだろう。。


鏡音兄妹が発売されてから三年たっている設定です

閲覧数:240

投稿日:2009/08/22 06:23:16

文字数:1,355文字

カテゴリ:小説

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    紫薔薇さん
    はじめまして。感想ありがとうございます。

    うちのコンピュータが絶不調なので番外編は携帯でちまちまと打ってます。

    こんな駄作でよければまたみにきてくださいな。
    ではでは

    2009/09/24 16:58:20

  • とと

    とと

    ご意見・ご感想

    はじめまして!結構前から勝手にブクマさせてもらっていた、紫薔薇といいます!
    久しぶりに投稿されてて勝手に驚いてました(ty

    テトの性格が、ものっそい好みです。(

    これからも、覗かせてもらいますね^^

    2009/09/19 22:48:10

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