「なんだ!?」
 レンは声を上げたつもりだったが、自分の声の反響が聞こえないことに気づく。
 コンピュータ・ウイルスがこの部屋のプログラムに侵入したらしい。
「おい、リン、たねぴこ、大丈夫か!?」
 音声と映像をストップされてしまったのだろうか、呼びかけるがリンもピコも答えない。
 落ち着け、下手に動くと危険だ。レンがそう自分に言い聞かせていると、ふと、部屋のあかりが元に戻った。
「初音さん、何ともない!?」
 玄関先に一人の女性が立っていた。短い茶髪の大人っぽい女性である。手に持っているのは、現実世界で言うゴキジェットに誓い形状の物体、ウイルス駆除ソフトの類いである。
 そしてその女性は、レンたちを見るなり
「あら?」
 と、首をかしげた。
 当然だ。勝手にミクの部屋に中学生が二人上がり込んでいるのだ。
 ――二人?
 レンが辺りを見回す。そこに居たのは玄関先の女性とリンだけ。
 ――たねぴこの姿がない!
「! たねぴこ!? どこだ?」
 返事がない。レンの頬を冷たい汗が伝った。
「ちょっと、君たちどうしたの? 何があったの?」
 女性はレンたちに尋ねる。
「さっきのコンピュータ・ウイルスで……友達が消えました」
 レンは消え入るような声でつぶやいた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

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やっと事件らしい事件が起きました。
ここまで来るの長かったなぁ……;
これから先もがんばって描いていくのでよろしくお願いします。

閲覧数:200

投稿日:2012/03/05 16:41:14

文字数:536文字

カテゴリ:小説

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