-進入と脱出-
メイコ邸では、やっとヒントが見え始め、大騒ぎが落ち着き始めていた。
「ルカ、連絡網のプリントを出してきてくれない?ほら、固定電話の下…。それをみれば、住所もわかるでしょう」
「母さん、それなら、大丈夫!私、レオン君の家、知ってる!行こう、早く!」
どうにか、ここから出なければいけない。
こんな風になって、またリンたちに助けられるわけには行かないし、大体何なんだろうか、アイツは。変人、変態、ホモか?この部屋にいると、アイツの手の上にいるようで、ぞっとする。
兎に角、ここから出なければ何も始まらない。
まだ体も本調子ではないし、頭痛もするし、頭はぼうっとしたままだが、それでもこのままでいると何をさせられるかわかったものじゃない。
ベッドから抜け出すと、静かにドアのほうまで進み出てそっとドアノブに手をかけて、廊下に誰もいないことを願いながら、ノブを回した。ドアは何事もなく、普通に開いたのだが、レンが廊下に一歩踏み出そうとしたときだった。
つま先に走る、電流に似た痛み。
どうやら、結界が張ってあるらしく、何か合言葉のような呪文を唱えなければ抜けられないタイプの、無属性系魔法だ。
(…マジで?…逃げらんねぇってコトか…)
眠ってしまってレンには聞こえていないはずだが、レオンの言った『監禁状態』とは、こういうことだったのだ。これでは、抜け出すことはほぼ不可能に近い。絶対的な運の持ち主で、当てずっぽうで適当に言ってみたら当たった、なんてコトがない限りは不可能なのだ。脱出できる可能性は0.1にも満たないだろう。
仕方なく、ドアを閉じてベッドに戻るレンの後姿はどこと無く空しいような空気感を帯びていた。
「レオン!ローラから聞きましたよ。へんなことしていたって」
リビングで、ミリアムはレオンとローラを呼び出して『ほのぼの家族会議』を開会しようとしていた。
「変なことぉ?知らない」
「嘘っ!レオンがあの部屋でベッドの上で…」
そこまで言って、ローラは真っ赤になった顔を小さな両手で覆って話を止めた。
それを聞いて、ミリアムまでもが顔を少しだけ赤らめてレオンを睨みつけてきて、レオンは自分が悪いといわれている気分で居心地が悪くなっていた。
「だぁってぇ…面白かったから、さ」
「面白いとか、そういうことで…。相手の気持ちを考えなさい。ローラだっているんですからね。いい?ローラなんてまだ、十二ですよ、十二。何でそんなことしたの?」
後を引く変態行為に、レオンは少し後悔を始めた。
「だって…声、かけたのに答えてくれなかったしぃ…。女顔だったから、途中で失神でもしたら面白いなぁと…」
「面白くありません!!それに、答えないのは声が出なくなる薬を、紅茶に混ぜたからでしょう?」
「こっち!はやく!」
一人素早く走るリンは、後ろを振り返ってメイコやカイト、ランに催促の言葉をかけて、せかす。
既にリンは、レオンのすんでいる館の前へと辿り着いていた。
やっと家族会議から開放され、レオンは少し理不尽な文句を言いにレンが閉じ込められた部屋へと、進んでいた。扉には、誰かが無理に出ようとした痕跡があった。どうやら、出られないことに気がついたらしい。
「やあ♪」
「…」
今回は上半身を起こし、レンはレオンのほうを向いた。
「出られなかったでしょ♪」
その言葉に、レンはイラついたようにそっぽを向いて、ドアの横にある観葉植物をじっと見ていた。それでもレオンはニコニコしながら、レンに話しかけてくる。
「昨日のことでお説教を受けてきました」
(馬鹿だ。ばーか)
「それでさぁ――」
ベッドが、重さにきしんだ。
(――来る!)
必死でその場から逃げ出すレンは、ベッドの上から飛び出して部屋の隅に追いやられてしまった。それを見て怪しげな笑いを浮かべ、レオンが近づいてくる。
もはやそれは恐怖としか思えなかった。瞳に映った金髪は、逆光で光ることは無く、ただ怯える獲物にそっと近寄って。
「あは、女の子みたい。ほら、学校とか町の中歩いてたりしたら、女と間違えられるでしょ」
たしかに、女顔であることは自覚しているし、間違えられることも少なくないが、それよりも今は、レオンの言葉が“女の子”ではなく“女”に変わっていたことに、体中に鳥肌が立つのを感じた。
部屋の角に背中を押し付け、できるだけ距離を保とうとするが、そうすればするほどに逃げ場を失っていることもわかっていた。
静かにレンの顔の横に指先をつけ、また体を近づけてきた。
今度はできるだけ動じないで、目を閉じないで、歯も食いしばらないようにして――。
けれど、少しびくっと身震いをしてしまったのが、ばれたらしい。
「今度は怯えないフリ?可愛いなぁ♪本当に、女みたいだね。…俺、結構女好きだからね」
(ならさっさと女のところにいけよ!!)
そう思っても、伝わらないのは百も承知でレンは心の中で叫んでいた。
と、そこにヒールの高い足音が聞こえてきた。その瞬間、レンはうれし涙が出るほど嬉しくなって、出ない声で歓喜の声を上げそうになった。
(助かった!)
するとレオンもその場から離れてドアから身を乗り出し、ミリアムの姿を探して何をしているのか、何か話をしているらしい。小声で話しているので何の話かはわからなかったが、ミリアムとレオンが頷きあってレオンが嫌な笑みを浮かべているのだけは窺うことができた。ミリアムがその場を立ち去ってから、レオンはレンのほうへと戻ってきてレンと同じ目線に立って、そっと話し出した。
「俺たちがこの館に君を連れてきた意味を、知りたいだろう?それはね、今まで君が体験してきた敵との戦闘のように、君を殺すためじゃない。君に仲間になって欲しいからさ。君には能力がある。――といっても、何のことかわからないだろうね。記憶を自由に操る能力だよ。君には記憶を消す能力があるんだ。ただ、一人だけでは完全な能力じゃない。俺は記憶を呼び覚ます能力、ミリアムは記憶を再現する能力、ローラは記憶を差し替える能力、君のお姉さんには記憶を見る能力がある。それらをもつ者が集えば、完全な無敵の集団になるとは思わないかい?俺たちはね、ハーフなんだ。君も少しは知っているだろう?禁忌のハーフについて。俺やローラは禁忌のハーフなんだ。ミリアムも禁忌じゃないが、天使と悪魔のハーフだったな。そんな風に、他と違うから俺たちは、今までずっと酷い目に合ってきた。イジメや暴力、そうでなくても周りからの好機の目にさらされて、怯えながら暮らしていたんだ。この能力はね、神様が俺たちにくれた、せめてものプレゼントさ。これからは自由に暮らしていいと言う意味だと思ってる。だから…仲間になって欲しいんだ。悪いようにはしない。君だって、小さなときに苦しい思いをしただろう?それを考えれば悪い話じゃないはずだ」
得意げに話すレオンに、レンは時折深く息を吸って話の流れについていこうとしていたが、最後のレオンの問いには、首を横に振った。
驚いた表情のレオンに、レンは見向きもしなかった。
「…いやだって、いうの?…そう。なら、君の了承は得ない」
そういうと、レオンは何か呪文を唱え始め、足元の床が光ったかと思うと、その光はレオンではなくレンを包み込んでいった。
(ッ!?)
鏡の悪魔Ⅲ 11
こんにちは。リオンです。
今ですね、テレビで相○の再放送を見ながら投稿していますが…。
昨日十一時半くらいまで粘ってがんばって書いて、いざ投稿しようとしたら…。接続できなくなってるってどういうことですかぁ!?(泣
と、いうことで、今日は昨日の分と今日の分を投稿します。
今回の要約です!
『レオン…逝って良し。』
だって…もうあれは死なないと直らないでしょ。
もういいや。レン、やっちゃえ★
その辺にあった石とかで事故死を装え!後は私がどうにかしてあげよう!!
…それでは、また…今日(?)
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仕方がない。
気づかれてしまったからには、どうにか始末するか仲間に引き入れるしか方法はないのだ。しかし、彼が仲間を作ることを黙認するとは思えないし、彼女自身も仲間を作ることにまだ意義を見出せないで居るのだから、どうしたものだろう。
今のうちは...鏡の悪魔Ⅱ 4
リオン
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リオン
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みずたまりさん
あ、吹きました?
とりあえずハンカチハンカチ…。どうぞ。
そう遠くないというか…。明日にでも。
あ、フラグ、当たっちゃったんですか(汗。結構適当に書いたはずなんだけどなぁ…。
ごめんなさい、もう私は小説の中でレオンの死をレンの正当防衛にするしか…。
レン、がんばっ!
私はレンはやればできる子だって信じてるよ!いろんな意味で。
あ、空間移動が良いですか?じゃあ、面倒だしそうしようかな…(←真面目にやれ。
楽しみにしていてください!
2009/08/17 21:04:20