はい、散々期間空けといて難ですが、ちょっと息抜き代わりに書いてみました。興味の無い方は読み飛ばしていただいても構いません。
※注意
・カイトとミクの兄妹設定があります。
・無駄に暗いです。・ここのカイトと、シリーズで書いてある海斗は、全くキャラが違います(一応)。
・特に起伏がありません。・ボカロが人間化+学生になってます。
・年齢公式→カイト=レン(友人設定のため)>ミク です。
以上がOKな方はお読みください。
「ねぇ、お兄ちゃん──」
桜が舞う中、妹であるミクの、自分を呼ぶ声で、はっと我に返るカイト。
ここは、ミクの通う女子高の通学路。ミクは車椅子なので、カイトが送り迎えをしてあげているのだ。
‥やばい‥ちょっと考え事をしていたせいで、ミクの車椅子を押していることをすっかり忘れていた‥‥。
「お兄ちゃんってば!」
その声に驚いた拍子に、ミクの車椅子ごと僕も転んでしまった。
「おわっ!?」
「きゃぁっ!」
ガタンッと音をたてて倒れる車椅子、バランスを崩したものの、すぐにミクのほうを振り返る。
「ちょっ‥お兄ちゃん‥‥!どこ‥!?お兄ちゃん‥‥っ!」
ミクは、今にも泣いてしまいそうな声でそう言いながら、右手で、周りを手探りするようにパニックになっていた。
‥いけない‥‥っ!ミクが‥‥!
あわててミクに駆け寄って、優しく彼女を抱き寄せ、
「ミク‥大丈夫だよ。お兄ちゃんはここにいるよ。だから‥泣かないで‥‥」
すると、ミクは安心したように、
「‥よかった‥」
そう言った。すぐに僕は、ミクを抱えて、車椅子の上に座らせた。
ミクが、なぜ車椅子が倒れた途端、周りを手探りするようにしていたのか?──答えは1つ。ミクは生まれつき盲目なのだ。
「じゃあ、帰ろうか‥?ごめんね、驚かせちゃって;;」
「ううん、ミクがいきなり大声出しちゃったから、びっくりしたんだよね。お兄ちゃんは悪くないよ」
「‥うん‥今日のおやつは、母さんの手作りクッキーだよ」
「本当?やったぁっ!」
そう言う彼女の目は、焦点が合ってなく、微笑みも、口元だけが柔らかく微笑を浮かべている。
‥だめだ‥ミクを見てると自分が‥‥情けなくなるぐらい切なくなる‥‥。
「ん?どうしたの?お兄ちゃん?」
ミクの目は何も見えていないはず‥なんだけどな‥見つめられると‥見透かされてしまいそうで‥‥。
やっとのことで家に着くと、ミクを母親に任せて、カイトは自分の部屋のベッドに寝っ転がった。
「このクッキー、美味しい!」
一階からミクの明るく、さえずるような声が聴こえてくる。その声に、はぁっとため息をついたカイト。
「本当は治せるんだけどナァ‥‥」
ふとこぼれた言葉──実は、ミクの盲目は治せる病気だ。手術さえすれば、の話だが‥‥。
‥‥お金がないから?僕の家はそんなに貧乏じゃない。‥‥病院が遠いから?うちはそんなに田舎に位置していない。‥‥そんな現実問題じゃないんだ‥‥。
僕の心の問題。単に僕の覚悟が足りないだけなんだ‥‥。
ミクは‥兄を‥僕を声でしか知らない。だから‥だから‥例え見えるようになったとしても‥‥。
──もし、拒絶されたら?もし、幻滅されたら?‥‥だめだ‥拒絶されたときのことしか考えられない‥‥。
分かってはいるんだよ!僕がヘタレ過ぎるってことぐらい!今のままじゃ‥絶対ダメだってっ!ミクの将来を考えたら、覚悟の1つぐらいしなきゃって‥‥っ!
「‥分かってはいるんだよ‥‥」
ため息をついて窓を開けようとしたら、突然着メロが鳴ったもんだから、びくっと飛び起きて、携帯を開いた。
「‥はい、もしもし?え‥レン‥‥?」
聞き覚えのある生意気な口調──中学のときからの(正確には腐れ縁だけど)友人・レンだ‥‥。
「え‥!?今から‥‥?」
「じゃあ、あとでな!」
「‥えぇぇぇっ!ちょっ‥いきなり言われても‥‥!」
僕の拒否も空しく、強制的に押し切られてしまった‥‥。レンに、近くの公園に来るように言われただけなのだが。
「仕方ないなぁ‥‥」
そうは言いながらも、僕は、母親に一言告げると、レンの待つ公園へと、急いで足を運んだ。
公園のベンチ1つを1人で占領して座っていたレン。
「‥遅い‥‥!このバカイト‥‥!」
‥ダッシュで来たんですけど‥‥。まぁ、言っても口答えされるだけだから言わないけど(笑)
「まぁ、座れ」
「‥うん」
なんで命令形なんだろう‥‥いつも思うけど‥‥。
「‥‥早速だが、お前、最近、妹の目のことだけで、めちゃくちゃ悩んでるだろ?」
ギクリ‥やっぱり‥ばれてたか‥‥。
「一友人として、一言だけ言わせもらうとすれば──」
いきなり言葉を切ったもんだから、一体何を言い出すのかと思いきや、突然、
「お前はそれでも兄貴か‥‥っ!!」
「‥‥‥っ!!」
ものすごい大声で怒鳴られてしまった‥レンって声量多いからなぁ‥‥。
「人生これからだぜ?それに、高校っつったら、人生で、一番印象的で、絵画的で、淡く残るもんだ!それが、目が見えないだぁ?学生時代の思い出捨てたも同然だろ」
‥‥痛い‥言葉が突き刺さって‥物凄く痛い‥。図星だから尚更だ。
「特に、ミクちゃんのような女子高生なら尚更だろっ!一番はしゃぎたい時期に、実の妹に足枷(あしかせ)つけてどうする?」
「‥‥‥!!それは‥‥っ!」
思わず言葉に詰まる。反論できたもんじゃない。
「自分可愛さに、妹の人生無駄にさせてんじゃねぇよ‥‥!バカ兄貴!」
「‥だって‥っ‥!」
「だって‥じゃねぇだろ。自分が傷つくのが怖いからって、いつまでもウジウジしやがって。見てるこっちがイライラするっつーの!」
‥そうだよ‥‥僕は‥覚悟がなさ過ぎて‥自分が拒絶されるのが怖くて‥‥可愛がっている妹にまで‥足枷つけて‥人生無駄にさせて‥‥。なにやってんだろ‥僕って‥‥。
そこまで考えて、自分の臆病さに腹が立ってきた。どうしてこんなにヘタレなんだ、僕は。
「‥今まで言ったのは、全てオレの自己主張だ。これからは、周りの共通の意見を言わせてもらう」
そう静かに言って立ち上がるレン。
「‥いい加減、自分にけじめつけろ!!自分勝手な都合で、ミクちゃんの人生振り回してんじゃねぇよ‥‥!」
「‥‥!‥レ‥ン‥‥」
「最初から、後ろ向きな考えを並べるな!それじゃ前に進めないだろ?」
そして、次の一言で、僕の目が一気に覚めた。
「物怖じせずに現実を見ろ!お前には、ちゃんと、現実を確かめる目がついてるじゃないか!!」
‥‥‥っ!!
そして、ふっと優しく微笑むと、
「‥‥ミクちゃんの見えない、この蒼空、この新緑の葉、淡い花の色、全部、今まで見れなかった分、全部、綺麗な景色を見せてあげろよ、なぁ?」
その言葉に、僕は、例えようの無い衝動に駆られ、
「‥しゅ‥手術のことっ!母さんに‥ミクに頼んでくる‥‥っ!!」
レンをその場に残したまま、急いで家へと駆け出した。
「母さん!!」
「な、なぁに、カイト‥‥?」
突然帰ってきた僕に、母さんは驚いている。
「み、ミクに、目の手術‥受けさせて‥‥!ミクの目を‥治して‥‥っ!」
「‥‥分かったわ‥」
一週間後──市民病院で、ミクの目の手術が行われた。
その間、僕は、部屋の前を行ったり来たりしたり、時計を何度も見直したり、座ったり、壁に寄りかかったり‥居ても立ってもいられなかった。
でも、前までみたいな、マイナス思考は、全くしていなかった。それは、手術後、目に包帯を巻いたミクを見たときも。
「ねぇ、お兄ちゃん、包帯を取って良くなったら、ミクに桜、見せてね」
病室のベッドで微笑むミク。あとは、包帯が取れるのを、待つだけだ。その瞬間までの覚悟は持っていた。そのときまでは──。
ところが‥‥。
「ミクがいなくなったぁ!?」
包帯が取れることになった日、一瞬の隙をついたのか、ミクが病室からいなくなってしまった。
‥うそ‥だろ‥‥?まさか‥‥!
嫌な想像ばかりが、フラッシュバックのように、脳内を駆け巡る。
「そんなはずはない‥‥っ!」
すぐに頭から、それを追い出し、病院のすぐ近くの広場に入ったそのときだった。
桜吹雪の中、一本の桜の木の前にたたずむ、見慣れた小さな陰が、僕の視界に入った。春風に、ミント色のロングヘアーが、ふんわりとなびいている。
そこから2mほどの位置まで歩み寄ると、恐る恐る声をかけた。
「‥み‥ミク‥‥?」
それとほぼ同時に、目に巻いていた包帯を、はらりと外すミク。
「‥ねぇ‥お兄ちゃん‥‥」
緊張の一瞬、ごくりとつばを飲む。先ほどから冷や汗が止まらない。かける言葉が見つからない。
「な、なんだ、ミク?」
その声がミクの耳に入った瞬間、彼女がゆっくりと振り返る。
‥ミク‥‥。
まるで、ドラマのワンシーンのように、音の無い世界が、僕らを包んだ。きらきらと輝く、新緑の瞳が、カイトの姿をとらえる。
「‥桜‥綺麗だね‥‥」
「‥あ‥あぁ‥‥」
その透き通った、優しげな瞳に、僕は言葉も出なかった。
「‥お兄ちゃん‥‥っ!」
「‥ミク‥‥っ!」
飛ぶように駆けて来たミクを、僕は、しっかりと、優しく包み込むように、全身で抱きしめた。
「‥やっぱり‥やっぱり‥‥ミクの思っていた通りのお兄ちゃんだ‥‥っ!」
その優しげな彼女の微笑みに、思わず笑みがこぼれ、その頬に一筋の雫が伝っていた‥‥。
──桜の舞う頃、僕は君から、何より大切な贈り物をもらいました。
親愛なる大切な妹、ミクへ──。
コメント1
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は!、息抜きの新作、拝読させていただきました。
カイト&ミク物ですね。ミクの盲目設定は驚きました。初めてだったもので。それと”手術をすれば治るけど、兄の決心が付いてない”ってのも新しいですね。
こういう病気物って、”不治の病”ってのがほとんどですから。もしくは純粋に医療物か。
しかし、ダメカイトまっしぐらでしたね~♪。レンが強気でしっかりしているってのも凄いです。小説を読みながら浮かべる”ビジュアル”では、強気レンの場合、年齢高めの設定のビジュアルが頭に浮かびました。ミクさんは可憐な少女、カイト君は・・・・。
最後が素敵で良かったです!。やはりハッピーエンドは王道だけどイイですね。
ではでは~♪
2010/05/10 20:29:58
愛夢☆ソライト
>enarinさん
はい、いきなり息抜き入れてすいません><;あ、本編の方はちゃんと書いてますからご安心を^^;
実は、ピアプロに入る前に、自分のオリジナルキャラで、いろんなジャンルの小説を書いていたんですが、その中から取ってキャラクターを変えただけなんです^^;
除外したものは、ちょっとふざけすぎだったので、さわやか系春色小説のこれにしました。どちらかというと、風景描写、人物構図、表情変化に気をつけて、風景が想像し易いようにしたつもりです(≧ω≦)!
そうなんです、私の中では、カイトは、やんわりと優しく、静かに微笑んでいて、レンは、強気で我を通す少年、ミクは思いやりのある可憐な少女、というイメージが強いんです。
そのため、どうしてもカイトが、考えすぎな、おっとりした感じになりやすいので、ダメダメでしたね?^^;
普段、シリアスを書くことが多いせいか、ハッピーエンドのほうが好きです。やっぱり幸せで終わった方がすっきりしますからね?。
でゎ、本編の構想にかかるとします^^ノシ
2010/05/11 12:29:08