ガチャガチャガチャ…
「だめだリン!開かないよ…」
僕達は今、旧国連本部ビル、旧国連の中心となっている建物の前にいる…
安全保障理事会の控え室もこの中にあるはずだ…
ただ……自動ドアが開かない!考えてみれば、廃墟になってしまったこの建物に電気が通っていないのは当然のことだ。
はぁ~どうしよう…このくらい予想しておけば…
「ねぇ~にぃちゃん。」
「ん?どうした、リン?」
「この扉、壊しちゃう?」
リンが、無邪気な笑顔で瓦礫の山を指差している。山には、大小様々なコンクリート片や鉄パイプなどが転がっている。
「…リン……お前、時々恐いな…」
「え?なんで?」
あっけらかんとしているリンはなんだか本当に恐い…
でも、確かにそれ以外に方法もないしな…俺は、黙って鉄パイプを手に取った…
「リン、下がってろ!」
「へ?」
「ヤッッ!!……ハッッ!!」
僕は力いっぱい鉄パイプを振り下ろした。自動ドアのガラスにひびが入り、さらに振り下ろされたパイプによって粉々に砕けた。飛び散ったガラスによって僕の頬に切り傷が入り少し痛んだけど、リンには怪我はないようだ。
「行こう…リン。」
僕は扉をくぐり、リンに手を差し伸べた。」
「うん、にぃちゃん。」
僕達は扉をくぐり抜け、今各階に何があるのか書かれた案内板の前にいる。案内板は文字が擦り切れて読みにくくなっていたけど、安全保障理事会室は地下一階にあると書かれていた。地下へと続く階段は、暗く不気味だ。リンが僕の腕をしっかりと握ってきた。僕はそんなリンの頭を撫でてから、一歩ずつ進みだした。
安全保障理事会室は直ぐに見つかった。その隣に控え室はあった。硬そうな金属の扉だ。今度は壊すの、無理そうだな…
ウィーン…
なぜか、入り口の時と違いこの扉はすんなりと開いた。驚きつつ僕を先頭にして、中へ入る。僕達二人が中へと入ると、電気が自動でつき更に驚いた。なんだか不気味なこの状況に、僕はとっさに扉に鍵をかけた。
そして、それは直ぐにあった。『時空軌道インターフェイス』と書かれたほこりまみれの機械…そしてその脇には、原子力発電機…半永久的に電力を供給し続ける装置だ。どうやらこれがこの部屋に電力を供給しているらしい。
「いよいよだね、にぃちゃん。」
「ああ、リン。」
僕とリンは顔を見合わせた後、二人で『時空軌道インターフェイス』の起動ボタンを押した。そのとたん機械が光だし、積もっていたほこりが吹き飛んだ。そして僕達の体を包んだ。
________________________________________
光が私を包んだときに、にぃちゃんが私の手を強く握ってきた。
目の前には冷たい私を抱える少年…
紙飛行機を握り締め、息絶える私とあなた…
一人の戦士の帰りを待つ私…
踊りつかれてそのまま息を引き取るうちら…
そうか、にぃちゃんはあのときの…
そして、あなたはいつも……
________________________________________
ガタンッ!
その音で、僕とリンが振り返る。手はそのときに離れてしまった。そこには部屋の自動ドアをこじ開けようとしている鉤爪が三本…それは、新人類が身体から出すそれであった。
僕は隣にいるリンを、機械の脇に開いたカプセルの中に入れようとしたが出来なかった。リンがそこにいなかったから。僕の前に出たリンは、逆に僕をカプセルの中に入れてしまった。カプセルが閉まる。
「リン??」
リン何を考えているんだ!
「にぃちゃん。このままじゃ奴等に壊されてだめになっちゃう。
だからせめて起動し終わるまでは奴らの気を引く、うちが餌になれば数分は気が引ける」
「だめだ…!!ここをあけるんだ」
だめだ、絶対にそんなこと…
「ううん、今まで何度もにぃちゃんが…
いや、あなたが守ってくれた…励ましてくれた…今度は私があなたに託す番…」
「リン…!!」
「大丈夫……すべてを変えた世界で…また会えるよ…」
ガチャン!
そのとき、部屋の扉が開いた。リンは両手を広げてカプセルの中の僕の前に立ちふさがる。
________________________________________
リン!!この扉の先にリンが…!!
ガチャン!
目の前には愛しいリン!しかも、嬉しい事にあの知らない男は透明なカプセルの中に囚われている!そして、リンは両手を広げて僕を抱きしめようとしている!!
ッドクン!!
ソノトキボクノアタマニハカイノプログラムガナガレテキタ…アノ、キュウジンルイノウシロニアルキカイガジャマダ!ジャマスルヤツハ、ハイジョシロ!!
ボクハナンノタメライモナクカギヅメをノバシタ。ソノトキ僕の頬を流れるはずのないものが流れて行った。
________________________________________
「リン!!」
鉤爪に貫かれたリンが、僕の入ったカプセルに押し付けられた。リンの口の端から流れる血…何も出来ない自分がもどかしい。カプセルについたリンの手と僕の手が合わさる。
「次はh…」
リンの手がずり落ち、鈍い音が響く…
「リ――――――ン…!!」
その時、全てが光に包まれた…
頬の切り傷の痛みが引いていく…僕は頬に触ろうとしたがそこには、手も頬もなかった、そしてそもそもその言葉が何を意味しているのかさえ分からなくなった。
光の中ただ1つ浮かんだのは…
君がいるこの時代は幸せだった
そうだと言うために
行ってくるよ、リン!!
「行ってらっしゃい、にぃちゃん!」
episode2―一縷の願い―終
終末史episode2―一縷の願い③―
囚人Pさんの楽曲一縷の願い(http://piapro.jp/t/xZWn)、(http://www.nicovideo.jp/watch/sm8423183
)の二次創作小説になります。レン視点など。
これで、episode2が完結になります。ここから、自己解釈全快でepisode3に入っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
続きはこちら(http://piapro.jp/t/z39X)
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-----------...ネバーランドから帰ったウェンディが気づいたこと【歌詞】
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