すべてすべて掬い上げても
尽きぬ水海の底に
何も言わず腕を抱いて
沈む花が死んだ


涙が朝を濡らし 悠を彷徨えど
無限の環に呑まれ 心 寂寞を宿す

惑い堕ちた前の世で
紡いだ縁が咽ぶ
魂 移り変わる迄

すべてすべて掬い上げても
尽きぬ水海の底に
何も持たず此の身一つで
沈み逝ければ好い


嘆きが贖いと成り 幽かに漂えど
廻り遇いを別つ 青い篝火が迫る

未だ静かに咲き吹雪く
桜の枝に灯す
佇む影が消える迄

ゆらりゆらり揺れる鏡は
月の満ち欠けの下に
何も問わずただ映し出す
現世の理


黒い結び目が 解ける事も無く
草臥れた舟は 汀に伏せた儘


せめてどうか報われずとも
罪のみなもとを赦し
何も穢れの無い躯で
畢りを迎えたい

すべてすべて掬い上げても
尽きぬ水海の棺
花を落とし共に沈めて
永久に満たしていて


――――――
(ひらがな)
タイトル:いんがおうほうみずうみがそこ


すべてすべてすくいあげても
つきぬみずうみのそこに
なにもいわずかいなをだいて
しずむはながしんだ


なみだがあしたをぬらし はるかをさまよえど
むげんのわにのまれ こころ せきばくをやどす

まどいおちたさきのよで
つむいだえんがむせぶ
たましい うつりかわるまで

すべてすべてすくいあげても
つきぬみずうみのそこに
なにももたずこのみひとつで
しずみゆければいい


なげきがあがないとなり かすかにただよえど
めぐりあいをわかつ あおいかがりびがせまる

まだしずかにさきふぶく
さくらのえだにともす
たたずむかげがきえるまで

ゆらりゆらりゆれるかがみは
つきのみちかけのもとに
なにもとわずただうつしだす
うつしよのことわり


くろいむすびめが ほどけることもなく
くたびれたふねは みぎわにふせたまま


せめてどうかむくわれずとも
つみのみなもとをゆるし
なにもけがれのないからだで
おわりをむかえたい

すべてすべてすくいあげても
つきぬみずうみのひつぎ
はなをおとしともにしずめて
とわにみたしていて

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

因果応報水海が底【応募用】

きもちゃん様の「【歌詞募集】曲名未定【ロック】」の曲への応募用に歌詞を書かせていただきました。
こちらへ→http://piapro.jp/t/LqLp

歌詞だけ見るとシリアスで暗い内容ですが、曲にのせて聴くとそこまで重くはならないだろうと思ったので、描き切ってみました。

因果応報……前世や過去の因縁に応じて報いがあるということ。善因からは善果が、悪因からは悪果が生ずること。

――――
前世に犯した罪の果報は、何度生まれ変わろうとも、永遠に尽きることはないという。
――――

2012/08/02 残念ながら採用には至りませんでした。でも、素敵な楽曲と出逢い、新しい歌詞を生み出すことができたことは、何事にも代えがたい貴重な経験でした。きもちゃん様、有難う御座いました!

閲覧数:186

投稿日:2012/07/01 11:02:39

文字数:866文字

カテゴリ:歌詞

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