~エピローグ~
小さな夢は大きな夢よりも大きな夢と歩いてゆく。すると前方に見覚えのある影が見えてきます。
「先生?…先生~……?」
小さな夢は駆け寄ります。
「どうしたの?動けないの?」
「……ユ…キちゃん……、早…く、逃げ…――!」
大きな夢は目を大きく見開きます。それは何かにおびえるような目で…。
「リ、リリィさん…。」
小さな夢の後ろにさらに大きな夢が立っていた。
「ユキちゃん、早くそこから逃げ…――――」
「六番目アリス、ごあんな~い。」
リリィ、と呼ばれる夢は小さな夢と大きな夢を包み込む。
「ふう、あ~ぁ、また次のアリスを探さなきゃねぇ~…、次のアリスは……そうね、今この本を持っているあなたたちにしましょうか?」
気がついたときにはすでに時は遅くバサッと、本の落ちる音が部屋には響いた。
さっきまでこの本を読んでいた二人の姿はなく、部屋には異常な静けさが続いた。
「みきさん、ピコさん、ご飯で来ましたよ~。」
部屋の外から女性とまでは行かないが女の子でもない女の声が聞こえる。
「みきさん?ピコさん?」
二人の返事がないことを不振に思った声の主が扉から姿を現す。
綺麗な青紫のような髪の女である。
「どこかに行っちゃったのかな……ん?」
女はその場に落ちていた本を拾う。
「もぅ、二人とも本も片付けずに出かけちゃうなんて…出かけるなら、このラピスに行ってから出かけてほしいです!」
ラピス、という女は顔を小さく膨らませながらも本を片付けようと持ち直す。
ふと、本の題が見えた。題は『人柱アリス』
「なんだか面白そうな本ですね。」
といいなら、ラピスは本を開く。
『次のアリスは誰ですか?次のアリスは……この本を開いた…あなた―――。』
また本が落ちる音がする。
もうその部屋には誰一人と人の姿は見えなかった。さっきまでいたラピスという女も…―――。
この物語は『アリス』が見つかるまで永遠に続くのです。
いえ、この物語に出てくる夢が納得するまで…と、言い直したほうがよいのかもしれません。
夢は、この世界にいる人をすべてくらい尽くすまで納得はしないでしょう。
ですから、夢はいつまでも人を喰らい続けます。
いつまでも、いつまでも……――――――そう、永遠に――――――。
もしかしたら、次の犠牲者になるのはこの物語を読んでいる、
アナタカモシレマセンネ。
『―Who is the next Alice?―』
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~序章~
「あれ?なんだろう?」
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