その後執事は回廊をゆっくり一週した後、アリスの部屋のドアをノックしました。
「・・・失礼します、アリス様」
「・・・・あら、執事」
アリスは執事を振り返りました。着替えの終わったアリスは派手過ぎず地味過ぎず、ちょうどよい色感のドレスを纏っていました。
「・・・!」
ロリコン魂を持つ執事にとって、ドレス姿のアリスはある種の危険を伴って見えました。
「どうしたの?固まっちゃってるけど・・・」
執事の方へ歩いてきて心配そうに見上げました。その行為はロリ執事には危険と言えました。メイドたちがいたのなら、こう言ったでしょう。
アリス様、今すぐお逃げくださいませええええええええええええええ!!!!
・・・と、大絶叫でしょう、多分。
「・・・そのドレス」
執事は目を逸らして呟きました。
「このドレスが、どうしたの?」
アリスも、そのうさ耳も「?」顔です。
「・・・今すぐ、脱いでください・・・!」
執事はドレス姿のアリスに動揺し過ぎて、大事な言葉『別のドレスに着替えるために』が抜けてしまいました。これでロリ態(ロリコン×変態)の決定打になってしまったのです。
「え・・・?脱ぐの?」
アリスは、・・・どうしてそんなにお前さんは従順なんだいと言いたくなるほどに、
「別に貴方だったら・・・いいわよ?」
従順なのでした。
「・・・でも、このドレス、1人では脱げないのよね・・・。執事、脱がしてくれるかしら?」
「・・・・え、えっと、その・・・・・」
執事は顔が赤いまま、地面に眼を落としました。・・・今の執事は、まだ着けているうさ耳と合わせて、かなり可愛いぐらいでした。
・・・ナレーターの趣味はどうでもいいとして、もごもごと口ごもる執事にアリスは、
「・・・いつまでもそうなんだと、貴方から脱がすわよ?それでもいいのかしら?」
と、不思議の国のアリスの領主らしく、威圧感のある声で、らしくない脅しをするアリス。
執事は心の中でため息をついた後、覚悟を決めました。
「・・・分かりました。・・・ほんとに、いいんですね?」
確認するように1つ1つゆっくりと言います。
「・・・うん」
アリスは顔を少しだけ赤く染めて頷きます。
「・・・」
執事は、アリスに向かって手を伸ばし、そして。

ぽふ、と。

「・・・え?」
アリスは脱がせずに、自分を抱きしめた執事に問いかけます。
「やっぱ、貴方にはまだ早かったのね?ロリ態執事」
「ロリ態は不要ですよ。・・・そうですね。まだ視聴者にも悪影響がありますし・・・・」
「え、これアニメなの?」
「いえ、もしもアニメ化とかドラマCD化とかなったらの話ですよ」
「ドラマCD・・・どうして執事ってそんなどっちかといえばマニアックな単語ばかり知ってるの?」
「・・・マニアックな単語ってなんですか」
「んー・・・そうねぇ」
抱きしめられたままのアリスは少し考えて、
「・・・・草食S、というのはどうかしら」
「・・・草食S・・・」
執事は繰り返して首を傾げました。
「それ、どういう意味ですか?」
「3次元じゃ大人しくて、2次元じゃあSもS、どSっていう意味よ。ある意味、二重人格ってやつね」
「へぇ。・・・ところで、アリス様。・・・3次元とか2次元とか意味分かりますか?」
「えーと、分かるわよ、これぐらい。2次元が平面体で、3次元が立方体でしょ!」
「・・・意味は合ってますが、例えが・・・」
呆れる執事を無視して、得意げになるアリス。
「どお?私にも分かるのよ!私でもね!」
「じゃあ、アリス様。僕は、何ですか?」
「? 草食とか、そういうこと?」
「はい」
「んーと・・・」
得意げアリスは、またまた考え、
「・・・肉食ってとこかしら。ロリ態な執事にはお似合いだわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
もはや黙り込むしかできない執事は、代わりにアリスをきつく抱きしめました。
「・・・もしかして、怒った・・・?」
「・・・・・・・いえ」
そう言いながらも、もっときつく抱きしめる執事。
「・・・ふ、ふにゅ?は、離してくれないかしら・・・・?執事・・・?・・・っちょ、話を、聞きなさい・・・・!」
なんかもう危険すれすれなこのタイミングで、あの人たちはやって来ました。
「・・・あら、執事様?一体、何をしているのかしら?」
「今すぐアリス様から離れなさいですわ!!」
「そうよそうよですわ!!」
「皆の者、やってしまえですわっ!!」
そう言うなり、執事に様々な攻撃(殴る蹴るの暴行&ハリセンやら金属バットなどの凶器)をくらわせました。
「・・・くっ」
執事は、ばたりと倒れました。
「ふっ、いい気味ですわ!!」
「いい運動になりましたわね」
「処女のアリス様に、手を出すなんて最悪ですわっ!」
「身の程を知りなさいですわ!!」
倒れ伏する執事に散々罵声やら愚痴やらを浴びせた後、アリスに、
「これからもこの変態がアリス様を襲おうとしたとき、いつでも駆けつけますわ!それでは失礼しましたわ、ごきげんよう!」
と、鮮やかな挨拶をしてから部屋をあとにしました。
「・・・大丈夫?執事。・・・でも、正直死ぬかと思ったわ」
執事に労わりの言葉とも恨み言ともつかない言葉をかけました。
「・・・・・」
執事は何も喋れないことを知ったアリスは、少しだけいい気味と思いながら執事の傍にいたのでした。


          END ?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

不思議の国のアリスとうさ耳&執事+眼鏡verカイト その16

こんにちは!あけましておめでとうございます、もごもご犬です。
無事年越せたのでほっとしている今日この頃です。
ちょとここらで近況報告を。年末は大掃除して度胸がついたり、勉強したり、図書館で辞書やら何やら借りたり、あとはキャラソン聞いたり、テレビ見たり、あとは小説やらイラスト書いたりと大していつもと変わらない日々だったと思います(笑)唯一違うのは大掃除だけですね。あとはやっと欲しかったソフトを買ってたったの2時間半で最終話までクリアするという新記録を達成したことぐらいですね。面白かったです。
さて、今回の話についてですが・・・。
執事、ついに変態フラグが立ってしまいました(笑)
いつかは誠実な元の執事に戻るのでしょうか?
努力はしてみます、一応←
それでは今年もよろしくお願いします!

閲覧数:122

投稿日:2010/01/02 14:04:15

文字数:2,255文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

  • 関連動画0

  • hogawa_511

    hogawa_511

    ご意見・ご感想

    前作であけおめもなにもなかったのでここで失礼します。
    あけきってしまいましたが、おめでとうございます。
    正月早々、温泉でのぼせてぶっ倒れて全然めでたくなかったホガワです。

    タグが…タグがすごいことになってて噴きました。
    草食Sですか。そんな言葉あるんですねー。初めて知りました。
    ロリコン魂って…ロリ執事って…ロリ態って…執事の名称が増えて喜ばしいことです(笑
    もう執事は毎回最後の締めでやられるへたれ悪役(バイキン○ン的な)の
    やられ役位置で固定でも…

    続きも読むのが楽しみです。
    それでは失礼しました。

    2010/01/22 00:38:24

    • もごもご犬

      もごもご犬

      こんばんは、例によって例のごとくもごもご犬です!
      こちらこそあけましておめでとうございます、今年もよろしくですよ♪
      温泉でのぼせてぶっ倒れたんですか!?大丈夫でしたでしょうか・・・?

      草食Sは私が自分で作った完全なる造語というものです←
      ロリ態と合わせて広まればと少し野望が見え隠れします(笑)
      今気づきましたが、執事の名称にどれも『ロリ』が入っているじゃありませんか(驚
      やっぱり、ロリコンへたれが一番執事のポジション的に安定しているんですね☆(笑)
      今度もまた悪役みたいなそんな感じの路線で走ろうかなと考え中です。

      それでは失礼しましたー!

      2010/01/22 18:50:21

  • ぐんそう

    ぐんそう

    ご意見・ご感想

    明けましておめでとうございます(*´∀`*)

    とうとう執事が本性を…!!っと思ったら…さすがメイドさん達ですねぇwwww
    ちゃんとタグも付いてますね☆

    執事はこのままでも良いt((殴
    いや…普通の執事に戻れたら良いですね><

    今年も作品づくり頑張って下さい♪

    2010/01/02 14:19:36

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >きょあさん

      こちらこそおめでとうございます☆
      メイドたちはほんとしっかり者なんです(笑)
      執事はこれからどうなるかお楽しみに!
      普通に戻るといいですけど・・・試しにお湯でもかけたらふにゃけて元の執事に戻るのでしょうか(笑)
      今年もよろしくお願いします!

      2010/01/02 14:54:24

オススメ作品

クリップボードにコピーしました