また宴が終わる。
夢のような時間は、短時間で終わりを告げる。
そして…暗い満月の夜は明ける。
空に朝日を映し出さないまま…
「…そろそろ時間だし、起こしてきたら?」
「はいはーい、すっごく面倒くさいけど行くねー♪」
「おい、お前メイドだろ。仕事はちゃんとしろ」
今日も執事と他愛ない会話をして、お客様であるミクさんの部屋へ行く。
「ミクさーん、朝ですよー…って、あら?♪」
その部屋に――人影はなかった。
*
「執事執事執事執事羊羊羊いいいいいいいいいいいいい!!!♪」
「うるさいな。しかもお前途中から羊って言ったろ」
無表情で淡々とした声のままの執事にツッコまれるが、今はそれどころではない。
「執事、本当ニ大変ナコトガオキテルンダヨ!!」
「机拭イテル場合ジャナイヨー!!」
双子人形であるリンとレンも部屋を見てきたようだ。
どうやら私と言いたいことは一緒らしい。
「大変なの♪いつの間にやら…」
「アノ娘ガ…」
「何処ニモ…」
「「「いないの(ダヨ!!)」」」
ハモった。
さすが、数年間一緒にいるだけあって息ぴったりね、私たち。
「それは本当か?今までの“夜”では、そんなことはなかったな…」
「…それに、おかしなことはそれだけではないわ。ねえ、耳を澄まして?」
いつの間にかいたお嬢様がそう言うと、私達は静かになる。
どこからか、音が聞こえる。
これはなんだろう…
「ドンドンと…不思議な音…?」
階段を降りて来た主人が、皆が今聞いている音を口にする。
その横で、奥方は不安そうに皆を見ていた。
「一体、この音はどこから聴こえてくるのでしょうか?」
静かに作業をする手を止めずに執事が言う。
私もとりあえず、執事と一緒に作業を進めた。
「Wake uP!! Let's thinK!! and, To the nineS ☆ Join uS!!」
「ちょっと見に行ってもいいかな?」
「はい。でもその前に…」
どこかへ行こうとした主人の腕を、執事がつかむ。
「…朝食、食べてからにしてくださいね。かわりに俺とグミで見に行きますから」
執事が淡々とした表情で言う。
テーブルにはもう朝食の用意ができていた。
「様子を見に行くのは俺たち使用人の役目です。皆様はここで待機を」
「でも、グミたちの朝食は」
「私たちはもう食べ終わりました。何かあれば、すぐに戻りますから」
そう言って、私と執事は広間を出て行く。
今、この屋敷で何が起こっているか…それを知るために。
*=*
「ああ、どうしましょう」
「一体、何がどうしたんでしょう?♪」
「わからない。けど、今回はいつもの“夜”とは違う」
「ええ♪それは私もわかっている…だから」
私と執事は廊下を静かに走り、
「「一大事!!」」
大広間のドアを勢いよく開けた。
それに驚いたのか、少年人形…レンが、パンを喉につまらせて唸っていた。
…悪いことしちゃったな。
「ア、危ナ…デキレバ扉ハ静カニ開ケテホシカッタナ」
レンが復活した。
「あら!なんてことでしょう♪復活したわ♪」
「お前酷いな、そして今注目するのはそこじゃない…大変です。次のPagEが、ないんです」
私はちょっと息切れしてるのに、なんで執事は汗一つかいてないんだろう。
しかも無表情のままだし。凄いわね、この人。
「いつものことじゃない?それ」
「そうなんですけど、一番最後のPagEもない…だから大変なんです」
そう。
今回大変なのは、「台本が2ページ分ない」ということだ。
最後はEndinG。だから、それがないということは、絶対に終わりがこなくなるということだ。
「本来ならば誰も手をつけないはずの台本がいじられている…盗まれたと考えたほうがよさそうね、誰が盗んだのかしら~?」
お嬢様であるルカがあくびをしながら答える。
眠いのかしら?
「…お嬢様、昨日何かあったんですか?♪」
「え?何で?」
「だって、相当眠そうじゃないですか♪…もしや、執事が何か、したの…?♪」
「してねえよ。ワインに睡眠薬入れただけだよ」
「イヤ、シテルジャン!」
リンが鋭いツッコミを入れる。
なんで執事が普通に睡眠薬とか持ってるのよ。
っていうか、睡眠薬飲んでなんで眠いのか…。
「困ッタ!?困ッタ!! AhAhAhAhAhAhAhA!!!!」
「笑ってる場合じゃない!台本がなければオレ達は…」
「決して先に進めないわ!」
「OK!! 皆、皆デ、 PagE 、探シマショウ!!」
でも、一体誰が何のために?
わざわざ未来のPagEを盗んだのか。
「ほんと、不思議ですねぇ…モグモグ」
『『!?』』
皆が驚いて声のしたほうを見る。
もちろん私も驚いた。
だって、そこには部屋にはいなかったはずの人物…“ゲスト”である村娘、ミクさんが朝食のパンを美味しそうに頬張っているのだから。
「なんでいるの!?」
「え?お腹ふいはんへふよ!はへにひは悪いんへふは!モグモグ…ウマー!(お腹すいたんですよ!食べにきちゃ悪いんですか!)」
「食ベナガラ喋ルト聞コエヅライヨ??」
「そういえば、朝食を普通に六人分作ってたわね♪」
「いないとはいえ、一人だけ用意しないのは悪いと思ったんだ。俺の独断だけど」
「あ、執事さん。サラダおかわりできます?」
ミクさんマイペースだな。
まあ、まだ残ってるからおかわりはできるけど。
私達はもう食べ終わってたから、それを抜くとご飯は六人分なんだよね。
ミクさんがいないと気づいた後に盛り付けとかしたけど、ついいつものクセで全員分やってしまったよ。
ま、いいけどさ。
「あー美味しかった…メイドさん、すみませんがお茶もう一杯いただけます?」
「あ、はい…どうぞ♪」
ミクさんのティーカップにお茶を注ぐ。
ここに初めて来たときと比べると、お茶を淹れるのが本当に上手くなった。
皆もそう言ってくれる。ついでに言えば、料理の腕も凄く上がった。
掃除や料理をはじめとする使用人の仕事のほとんどを、私は執事である神威さんに教えてもらった。
執事は一体どこでこんなことを覚えたんだろう…
「…あのー、メイドさん?こぼれてますこぼれてます」
「え?…あ、あー…すみません、おケガなどはありませんか?ふ、服は!!♪」
「だ、大丈夫ですよ。机の上、ってか私のティーカップの周りが悲惨なことになってますが」
おう。お茶を盛大にぶちまけた後みたいになってしまった。
確か前にぶちまけたのは、ミクさんから五つ前のお客様のときだったかな。
なつかしいわ。
ちなみに、お茶の片付けはあっという間に終わった。
私が机の周りを拭いているとき、ミクさんはちゃっかりお茶を飲んでいた。
私が拭き終わったのとミクさんが飲み終わったのは、ほとんど同時だった。
「とにかく…誰もが皆疑わしいのは事実。だけど、今は協力しましょう。この狂った夜を終わらせるために」
ミクさんはティーカップを置くと、皆にそう言った。
かちゃり、という音が聞こえた。
「疑っていては何も解決しない…皆本当は、帰りたいんでしょう。本来居るべき場所へ」
「…だけど、俺たちがここに来てからもう数年経つ。戻ろうにも戻れないさ」
「今更戻ったって、私を受け入れてくれるかはわからないわ…だから、夜はほとんど眠れないの」
今までポーカーフェイスを貫き通してきた執事の表情が、初めて苦しげなものに変わる。
ルカが眠れないのは、自らの罪悪感からなのか。
「それに、オレ達は罪を重ねてきた。居場所はここしかない」
「頼れる人もいない。信じれるのは、自分だけなのよ」
主人であるカイトは、罪を犯した手を握る。
奥方であるメイコは、ここでの罪の証である扇子を握り締める。
「私モ、母サンニ会イタイ…」
「ダケド、僕タチハドウスルコトモデキナインダヨ」
「私達の罪が消える日は、きっと来ない……♪」
リンとレンは、まだ幼いうちにここに来た。
だから、大人であるキャストの皆に、家族の面影を重ねていたのかもしれない。
私も…きっと、そうだ。
「私だって、戻りたい。楽しかったあの日々に」
そしてそれは、ゲストであるミクさんにも言えることだ。
「こうしている間にも、時間や舞台は進む。本当の【時計の針】を置き去りにして」
「そうか、時計の針はもう止まっていたな」
なぜ時計が止まったのかはわからない。
刻まれないまま屠られて眠った、本当の【アナタ】はどこにいるのだろうか。
私達は、ずっと…この無限ループから抜け出せないのだろうか?
「台本は進まない。なら、次のPagEには…『True EnD』には、きっと【何か】が足りないはずよ。それを、皆で探そう」
「…それが、最善策なら」
考えたって見つからないのならば、私達は黙って歯車を回しましょう。
歯車を回せば、ヒントを得られる。
次のPagEがない。それは逆に、私達は自由に動けるということだ。
この状況だからできることだってある。
「…私は音の出所を調べる。皆は消えたPagEを探して」
『『…了解』』
【君】が主役のCrazy ∞ nighT。
狂った原因を探せ。
今宵のEndinGは…全て、『主役』にかかっている。
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「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
「僕の家族の歌で君が愛を大事にすればいいのに」
そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
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kurogaki
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あぁ、現に今
やっちゃいけないことばっかりをやりたい
絶対、もうあたしはどうしたって...アイドルアディクション
じゃこ缶
Hello there!! ^-^
I am new to piapro and I would gladly appreciate if you hit the subscribe button on my YouTube channel!
Thank you for supporting me...Introduction
ファントムP
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ご意見・ご感想
Seagle0402
ご意見・ご感想
すいませんごぶさたしてます。seagleです。
Twilight∞nighTの2があったので、気になりすぎて朝っぱらから読んじゃいました(汗)
ミクさんのマイペースっぷりにちょっと脱帽。すごいなミクさん。
そして果たして、みんなは「本来いるべき場所」に帰れるのでしょうか!?
……ちょっと興奮してますゴメンナサイ。
続きもゆるゆる待ってます!
2013/04/15 06:17:11
ゆるりー
お久しぶりです。
朝っぱらからですかw
ミクさんはあくまでマイペースです。
帰れるのでしょうか…私もよくわかりません←
興奮してますかw
ありがとうございます!頑張ります!
2013/04/15 17:29:37
アストリア@生きてるよ
ご意見・ご感想
おひさしぶりっす!!覚えてますか!?(((
元ユルカライン……だよね??((
BadEndから読ませていただきやした!!個人的に好きなシリーズ曲だから……ごちそうさまでしたorz
リンレンが!!!かわうぃよおおおおおおおおおおおおおお(((((((((((
グミちゃんメイドおいしいなぁとか思いながら読んでました!!(((内容
何か長い間放置状態にあったうちと違って文才が進化していらっしゃる………
続き楽しみにしてまーっす!!頑張れ!!!
2013/04/02 07:32:10
ゆるりー
覚えてますよ!
おっ久しぶりいいいいいいいいい!!!(((
リンレンはかわいいんだあああああ!!←
ちなみにCrazyのほうは挫折しました☆((←
グミちゃんかわいいよグミちゃん。
文才が進化してる…?
なんのことでしょう(^q^)
私はむしろ段々文才が退化してます!
アストリアさんの夢喰いは神です。Godです。
続き頑張ります!
2013/04/02 17:43:27