「暇ですよね」

「ですよねー」

「そういえばゆかりん昔と比べてお嬢様っぽさが無くなったよね。あと胸m」

「死ね」

「チェーンソーを振り回さないで……!!」

 ゆかりさんとひとりの女性が話をしていた。ゆかりさんの色を『紫』とするならば、彼女の色は『黄』だろう。

 にしても胸の格差が……。

「おいキヨテルこんなところで何しているんだ? あ?」

「ゆ、ゆかり……さん? 居たんですか……?」

「さーてここで、ゆかりさんのドキドキ☆ハイパーマジックタイム! 今日は何のマジックかにゃー? おぉっと! 今日は、『スーツの先生をチェーンソーで上下にわけたけど、それを接着剤でくっつけられるのか?』というテーマ!!」

「テーマとかわけわからないし、それ死ぬよね?! あとマジックじゃないよね?!」

 ゆかりさんの日常は、いつもこんな感じである。






≪ゆかりさんの非日常な売店日誌 3≫







「やっほー、ゆかりん」

「またあんたか」

 ゆかりさんは毒舌キャラで通っているが、その毒舌の毒に対応できる人間は数少ない。

 弦巻マキという人間がその一人である。

「マキさんは相変わらずおちゃらけというかなんというか……」

「ゆかりんは変わったよね、胸t」

「死にたい?」

 チェーンソーを起動させて、笑顔で言われると、誰でも怯えてしまうものである。

 チェーンソーを装備して、よく学校で働けるものではあるが、彼女は特例で許してもらっているため、ほかの学生が例えばチェーンソーを装備して登校すればそれは銃刀法違反で逮捕となる。

「ともかく、ゆかりん暇?」

「だったらどうする?」

「デートしようぜ」

「死ね」

「チェーンソーを無言で振り回さないでくれるかな!?」

 ゆかりさんはチェーンソーを振り回す。マキは慌ててそれを止める。

「やめてってば! あ、五円チョコ」

「……ここでは一個千円だよ」

「大分値上げしたね、五円チョコ好きは相変わらず」

 マキはそう言って、五円チョコを一つ口に入れる。

「ちょっと待て。金払ってよ」

「解ったよ。ほれ」

「五円じゃねえか」

「普通は五円だよ」

 ですよねー、と言いながらマキはもう一つ五円チョコをほおばる。

「さらに千円」

「五円ね、ほいよ」

「だーかーらー!」

「私とあんたの仲でしょ。デートしようよ」

「死ね」

「ひどい!」

「……あのー」

 ゆかりさんとマキが気付けば、キヨテルが隣に立っていた。その顔色はなんだかいつもと違って、悪かった。

「……どうした?」

「チェーンソーを持つお前に相談がある」

「チェーンソーは関係ないけどな」

「ゆかりんに話があるなら彼女の私を通して」

「お前とはただの旧友という関係でしかない」

「……話を簡単に済ませる」

 キヨテルは、簡単に、ただ一言だけを言った。





「――ラピスちゃんが、行方不明になった……!」


つづく。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ゆかりさんの非日常な売店日誌 3

【生徒会長行方不明事件編・1】

今更ですが、
チェーンソーはくらげP様の「サヨナラチェーンソー」を参考にさせていただきました。

閲覧数:171

投稿日:2013/03/07 22:49:12

文字数:1,257文字

カテゴリ:小説

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  • はる

    はる

    ご意見・ご感想

    このシリーズ面白くて好きです!
    これからも楽しみにしてます!

    2013/03/08 18:16:12

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