「ん………あれ?あさ……?ふぁぁ……」

「Guten Morgen」

「へ……うわぁっ!?」

「ふふ、よく眠っていたね。悪夢も見なかったろう」

朝、目覚まし時計の音で起きた私の目の前に立っていたのは、昨夜お世話になった(?)レンさんだった。

「い、いや、見なかったけど……おはようございます」

「それはよかった!じゃあ……キミは学校の準備をすべきかな?」

「………あぁぁあぁぁあぁっ!?」

時計が示す時刻は7:48。

うちの学校は8:10までに教室にいないと遅刻と見做されてしまう。

ちょうどその時、一階から私を呼ぶお母さんの声がした。

「今いくっっ!!………レンさん、着替えたいのですが」

「はいはい、僕は一度退散するよ。またね」

彼の姿が無くなったのを確認して、急いで制服に着替えると、髪の毛をいつものツインテールに結びながら一階へ降りた。

「あら、今日は目覚ましでちゃんと起きれたの」

「うん……今日はたまたまよく眠れたの。悪夢は……んむっ、みまむへふんはほ((見なくてすんだよ」

白米を口にかきこみ、サラダと塩焼き鮭も綺麗に完食した。

く……っ歯磨きしてる時間が無い……!!こういう時はうがいで済ますしか……!!

洗面台へ行き、5回くらいうがいをして、リップを塗りつつ鞄を手に外へ。

「いってきまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁすっっっっっ!!!」

「はーい、いってらっしゃーい」

入学と同時に買ってもらった自転車に飛び乗り、立ちこぎで学校へ向かった。



ガラッ!! キーンコーン……

「教室に入った瞬間wチャイム鳴るとかwwミク、お前どんだけwwギリwwぷっ、くははははっっ!!」

「う、うるさいぃっ!、リントっ!しょうがないじゃん!!」

「おはよう、ミクちゃん。とりあえず、座ろう?リントも、落ち着きなよ」

「先生ならまだ来てねぇぞ」

「うぅぅ、ありがとう、クオ、レンカちゃんん……」

クラスメイトから笑われながら席に着く。これ大体毎日なので、もう慣れた。いや、慣れちゃダメなんだけどね?(泣)

そうこうしてる内に先生が来て、HRが始まった。

ボーッとしていたらいつの間にかHRも終わり、たった5分の休み時間になる。

そして大嫌いな授業。月曜日は一時間目から数学だ。

「……で二乗。あ、ここの式テストに出るから絶対ノート取りなさいよ~」

そして英語。歴史。もうやだ。



キーンコーン……

「お、わ、った、………………憑かれた」

「憑かれたの!?疲れたんじゃなくて!?」

「レンカ、いきなりどうした?」

「え、いやぁ……はは」

「ほれ、机」

「うん」

机を4つにくっつけると、それぞれが座り、持参したお弁当などを広げる。

「リント、今日は何サンド?」

「今日はハムカツサンドと卵サンド。レンカは弁当だろ?」

「俺は焼きそばパン」

「レンカちゃんはクオに聞いてないと思うよ?」

「うっせ、グリーンツイン」

「何そのド〇クエとかテイ〇ズに出てきそうな怪物名!!」

と、その時。朝聞いた、少年の声がした。

「探せばいるんじゃない?、お嬢さんみたいな見た目じゃなくともね」

「え……えぇぇぇぇぇぇえぇぇえぇぇええぇえぇえぇえっっっっっっっっ!?!?!?!?!?」

後ろから聞こえて、それに反応して後ろを振り向くと……

「レンさん……」

そこに、微笑んだ彼が立っていた。

「?ミク、いきなり叫んでどうした?」

「まさか………本当に憑かれたの!?後ろに何か見えるの!?大丈夫!?ミクちゃん!?」

「どっかイカれたんだろ?脳外科か精神科にでも連れてけよ、そこのグリーンツイン」

「だからグリーンツインやめてよ!!」

「あ、反応した」

人で遊ぶな………!!

というかそれよりレンさんだ。

この3人は今、私の方しか見ていないし、レンカちゃんの反応からしてレンさんは見えていないらしい。

さすが、夢喰い白黒バク、なのだろうか?

「なんでここに……」

「別にどこに居たって構わないだろう?ほら、お友達が心配しているよ」

視線を前へ戻すと、クオ、リント、レンカちゃんがそれぞれこっちを覗き込んでいた。

「はいひょうふら?((大丈夫か?」

「嗚呼、まさか憑かれてしまうだなんて……」

「ほっほひゃはほふらほ、ほいふ((ほっときゃ治るだろ、コイツ」

1人確実に心配してないし、1人は食べ終わってないのに手を合わせてるし、1人は口がハムカツのソースまみれになっていた。

一言でいうなら……「ナンダコイツラ」。

「……っ、リント、ティッシュでちゃんと口を拭いて!レンカちゃん、私は疲れてはいるけど憑かれては無いから!!だからお弁当食べよう?ね!?クオはざけんな!!」

「ザケンナーってプリ〇ュアに居たよね。初代?」

「レンカちゃん……?」

「え、あのアニメはネタ切れに作画崩壊、台詞に技名とか突っ込み所多すぎて笑えるよ?見てみ?」

「あ、ヒーローものって変身中に敵攻撃してこないのか不思議だよなー」

「子供の夢は壊すなよ」

「話を逸らすな!!」

「あははっ、ミクちゃん落ち着いて」

「グリーンツインが逆立ってるぞ」

「ぐっ…ww逆立ち………wwwくっ、あははははははははははっっ!!!」

「リント、笑うなぁ!!」



―――――3分後。



「やっと落ち着いてご飯が……たべれる……」

おかずのハンバーグ(夕飯の残り)を箸でつまんで、口に運んだ。あぁ美味しい!!なんか感動!!

「あーそういえばさ、3年生のメイト先輩知ってる?戻ってきたんだって」

「2か月くらい行方不明だったんだろ?あの人は可哀相だよなー、モテ損って中々ないぜ?」

「モテすぎも困るんだろ」

メイト先輩とは、学校1とまで言われる位美形の男性だったのだが、2か月前に行方不明になってしまい、警察も動いて捜索されたが見つからず、学校のファン達は悲しんでいた。

彼は、イケメンであるが故に女性が寄ってきた。しかし、彼の家族は彼をあまり好いていなかったらしい。
そして、彼が本当に好きな女性に、2か月以上前――行方不明になる前に告白したらしいのだが、その女の子にはフラれてしまったという。
『寄ってくるのに、寄られない。』家族も、あの女の子もいないのに、周りには一杯人が集まってくる。
だから、リントが今「モテ損」と言ったのだ。

……ちなみにこの話は、警察が彼の事を調べる際にクラスメイトなどの友達から聞いた話で、それが学校中に回ってきた故に皆知っている。メイト先輩は有名な人だから。

そんな人が突然戻ってきたとなれば、学校中の騒ぎだろう。実際廊下には、新聞部が作ったのであろうメイト先輩の記事が貼られていた。

「そのメイト先輩がどうしたの?」

「んー……何かね、朝見かけたんだけど……、こっち見て、悲しそうに笑ってきて……でも、吹っ切れた様な顔してたから、さ。ちょっと見たり聞いたりして調べたんだよ」

「……誰に、とか何を?とかは、聞いちゃ?」

「ダメ。そこは聞かないでー」

「だろうな。残念だったな、リント」

「何が残念なんだよ!!」

……リントとクオは人の話を遮るのが趣味なのだろうか?

「……それでね。メイト先輩なんだけど……告白、成功したらしいよ!!向こうから言って来たんだって!!もう、メイト先輩もメイコ先輩も末永く爆発してください、ってカンジ!」

「えっ、フった方から告げてきたの!?うわぁ、嬉しいだろうなぁ…」

「周りの女子たちも嫉妬するかと思いきや、逆に歓迎ムードだよ!?おめでとう、って見かけるたびに言ってるんだって!メイコ先輩がフった理由もその女子たちの反応が怖いからだったらしいし……歓迎ムードじゃあ嬉しいよねー、皆」

「へぇ、メイトって彼でしょ?人柱にされた……『あの世界』の巡音ルカとルキが頑張ってくれたのかな?」

レンさんが良く分からないことを呟いていたけど、それはスルーする。反応してまたクオ達になんか言われたら嫌だもんね!

「不思議だねー……殺したり、恋人になったり、本物の『夢』に捕まったり……それぞれの世界のそれぞれの人がそれぞれ違う性質や運命を持ってる」

「レ、レンさん……よく分からないですけど、静かにしていてもらえると…」

小声でそう告げると、「おや、ごめんね」と言ってレンさんは口を閉じてくれた。

キーンコーン……

「…え!?もうそんな時間!?ちょっ、早く食べないと!!」

昼休み終了5分前の鐘だ。早くしないと授業5分前の鐘が鳴る。その時にまだ食べていると、絶対に怒られる。………いや、間に合わなかったことはないからね!!

そして―――――





「「「さよーならー!!!」」」

授業やら全てが終わり、下校時間。

私は帰宅部なので、同じ帰宅部であるクオと帰っている。

レンカちゃんは女テニ、リントはバスケ部に所属していて、2人とも1年生ながらレギュラーに選ばれるほど上手く、運動神経が高い。

中学生の時は私はバドミントン、クオがサッカー部に居たけど、どちらも「飽きたし、めんどい」という理由で高校では帰宅部になった。

「じゃ、頑張ってね!!二人とも、今度試合見に行くから」

「おう!!俺よりもレンカの方が先だろ?」

「うん、私シングルスだから。ダブルスだっらた被っちゃってたかもね?」

「……ま、とにかくお前ら。頑張れよ」

「「もちろん!!」」

二人に別れを告げ、私はクオと家路についた。

「……なぁ」

校門を出た先の横断歩道で、クオが話しかけてきた。

「ん?なに?」

「お前、昼様子おかしかっただろ?大丈夫か?」

「………なに、今更。大丈夫に決まってんじゃん」

何だかんだ言って、結局は心配してくれている。そんなことは、随分前に知ったことだ。

口では色々言うけれど、こうして後から心配してくれる。

「本当か?……脳外科と精神科は…」

「いかないよっっ!!……もう……」

「あぁ、あとさ」

「ん?」

「………いや、何でもない。気にすんな」

って言われると気になるのは私だけではないはず………だよね!?

とか思って問い詰めてみても、どうせ答えてはくれないことは分かっているので、何も言わないことにする。

「……あ、今日用事あったわ、ごめん。先帰るな」

「うん、バイバイ」

「じゃあな」

言うと、クオは立ちこぎをして急いで先に行ってしまった。

勿論追うことはせず、心なしかスピードを下げて自転車のペダルを踏んだ。





「レンって……誰だよ……誰だよ、あの金髪の奴………!!!」

そう呟いたクオが思い出すのは、どこかに急に居なくなった、妹の姿―――。

あぁ、あいつも言ってたな。

「レンくんが、悪夢から助けてくれた」って。嬉しそうに。

脳裏に浮かぶ笑顔とは裏腹に、クオの顔は強張り、下唇を噛み、何かに耐えている様でもあった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

夢喰い白黒バク・3

何か夢喰い白黒バクの続きをpixivにて望んでいた方がおられたので、「こっちの方が人気なのかなぁ……」とか考えながら神ゲを飛ばしてこっちを更新しちゃいました。

はい、久しぶりです。アストリアです!!!元気してるぅ?((貧

途中で人柱Aliceネタを挟ませてもらいました……wよく分からなかったかな?サーセン←

次こそは!!次こそは神ゲの1話だっけ?を…!!(((忘れるなや

はーいURL!
原曲様:Nem「夢喰い白黒バク」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14926860


ひとこと次回予告:本当の契約

閲覧数:510

投稿日:2012/08/29 14:14:05

文字数:4,548文字

カテゴリ:小説

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