「あら、ちょっと素敵なお店ね」
店のドアを開けて、りりィさんは、連れの、ゆくりさんを振りかえる。

「いらっしゃいませ」
にこやかに言うのは、バーテン姿がキマッた吉さんだ。
「まあ…失礼ですけど、イメージ変わりますね」
目をしばたかせる、りりィさんだった。

昼はカフェ、夜はバー。
新しい「カフェ・つんでれ」は、2つの顔があるお店。
そして、吉さんも夜はすっかりイケメン風なのだ。


●コーヒーから入るのよー

テーブルに座ろうとして、店内を見わたした2人。

カウンターに座っている、男女が目に映った。
その2人は何か、小声でしゃべっている。

テーブルに座るのをやめ、りりィさんとゆくりさんは、
先客であるその2人とは離れた場所の、カウンターに座った。

「お飲み物は、何になさいます?」
なんだか、声までりりしくなったような、吉さんが言う。

「そうね…私は、モスコミュールを」
りりィさんが頼んだ。
「えーとー、ワタシはとりあえず、コーヒーから入るのー。お酒の前にも」
ゆくりさんはそう言って、目の前のメニューを手にとった。

「…じゃ、この“ルコ坊・特製ブレンド・ガリバー”というヤツ、くれる?」
「かしこまりました」
吉さんはうやうやしくうなずいて、作業にとりかかる。


●先客の2人と…

かかっているBGMも、ちょっとシックな“スムース・ジャズ”。
夜のカフェ・つんでれは、大人のフンイキが漂う、居心地のいい空間。

「ステキなお店ねー」
ゆくりさんはそう言うと、何気なく、さきほどの先客の2人の方を見た。
「あら?なんだ、キディディランドのカイさんと、ミクさんじゃないのー」
カップルかと思ったが、どうやら違うようだ。

「あれ?」
ゆくりさんは、目をしばたかせた。
カイさんとミクさんの前のカウンターの上に、小さな人形が置いてある。

その人形が、ふいに、ピョコンとうなずいたように見えた。(゜o゜;;

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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玩具屋カイくんの販売日誌(149) 夜のカフェ・つんでれ

お店の雰囲気を決めるのは、ひとつにはBGM。そう思います。

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投稿日:2012/04/15 20:12:52

文字数:816文字

カテゴリ:小説

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