MEIKO生誕祭に、意地でも参加したかったうpぬしが、残り時間少ない中でジェバンニ気どってみた……というにはクオリティが明らかにたりない!

というわけで、動画に労力使ってしまって精根尽き果て寸前のうpぬしが、いつものクオリティからずいぶん劣化した小噺をふたつ置いていきます。
ふたつとも、うpぬしが公開しているどの話とも連動していない、別軸でのお話だと思ってくれると嬉しいです。

とにかく何度でも言いたいんだ、めーちゃんお誕生日おめでとおおおおお!

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【MEIKO生誕祭】

「……めーちゃんのは、お誕生会じゃないんだね」
 動画サイトを巡っている間、突然、カイトがそんなことを言いはじめた。
「は?」
「めーちゃんのお誕生会動画についてるタグ」
 ほら、と、その爪の先をたどると、私のために贈られた動画たちについているタグのひとつ――『MEIKO生誕祭2009』。
「なんかかっこいいね、生誕祭って」
「そうかしら。ミクだって……」
 あ、ミクは誕生祭か。リンとレンも誕生祭だったわね。がくぽは……誕生会だったはず。ルカとグミちゃんは、発売してまだ1年経ってないから、どうなるかわからないけど。
「めーちゃんのお誕生日は、お祭りだけど、誕生祭じゃなくて、みんなで祝うけど、誕生会じゃないんだね」
「そうみたいね。なんでかしら」
 なんだか、なかまはずれみたいだわ。みんな『誕生』っていうことばがつかわれているのに、私だけ『生誕』だなんて。漢字を逆にしただけだけれど、なんだか生誕の方がものものしく感じてしまう。
「めーちゃんがそれだけとくべつってことだよ」
「そうかしら」
「そうだよ」
 だって、めーちゃんが頑張ってくれなかったら、おれも発売されるかわからなかったし、ミク以降は開発すらされなかったかもしれないんだよ。
 優しい声音で、諭すように言ったカイトは、最後ににこっと笑ってこう言った。
「みんな、めーちゃんがとくべつだってわかってるんだね」
「……べつに、とくべつあつかいしてくれなくてもいいわよ」
「なんで? すてきじゃない」
「みんなにとくべつあつかいされるって、それって『特別』じゃないわよね」
 他とは違う扱いをされるから、それが特別と呼ばれるのではなかろうか。そう言うと、カイトはすこしだけ首をひねったけれど、構わず私は続ける。
「私は、私をだいじにしてくれるひとからだけ、とくべつあつかいされる方がうれしいわ」
 だから、むやみな「とくべつあつかい」は、ただの仲間外れだと思うのだけれど。
 カイトは、少しだけ考えるそぶりをしてから、あまり難しいことはよくわからないけど、と切り出した。
「おれは難しいことはよくわからないけど、おれはめーちゃんがいっとうだいじだから、めーちゃんをとくべつあつかいしたいPたちのきもちがよくわかるよ?」
「……勝手にすれば?」
 いまいち通じてない気がするので、話を投げると、カイトはどう解釈したのか、後ろからぽすりと抱きついてきた。
「めーちゃん、お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう。これからもとくべつあつかいさせてね、よろしくね」
 勝手なことを――とは、思っても言わなかった。
 たぶん、このひとは私をなかまはずれだなんて思っていない。それだけで、じゅうぶん「とくべつ」なきぶんだわ。

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【きみがうまれたひ】

 誕生日――マスターは、そのひとが生まれた日のことを指すのだと教えてくれた。
「キミたちはそれぞれ発売日が『誕生日』の代替になっているみたいだね」

 誕生日――ミクにとっては、とてもうれしい日になるという。
「すごいんだよ! みんな曲をくれたり、絵描いてくれたり、あと、同じ名前の曲がいくつも投稿されたりして!」

 誕生日――リンとレンは、それを祭りだと言った。
「なんかみんなして浮かれてたよねー。まあ、なんかいろいろもらってうれしかったけど」
「そうだな、クリスマスも終わって正月来るって時期に、よくあんな出費を惜しげもなく……」

 誕生日――がくぽは、ささやかながらもしあわせな一日と評した。
「普段歌わないような曲をいただいたり、PVをつくっていただいたり……うたうたいの冥利に尽きる」

 誕生日――カイトがいうには、よくわからないけど楽しい期間らしい。
「4日間位、いつもよりたくさんうたってたくさんアイス食べたなあ。あ、あと、企画とかで他のカイトと仲良くなったりしたよ」

 結局……誕生日ってなんなのかしら。人間のように歳をとるわけでもない私たちは、正直「誕生日」といわれてもぴんとこない。もちろん、おめでとうと言われればありがとうと応えるし、祝われて嬉しくないわけはない。けれど、どうも人間の言う「とくべつ」感があまりないのだ。
 今日は昨日の延長線上にあって、明日は今日を通り越した先にある。その昨日や今日、または不確定な明日に、とくに思い入れもなければ深い意味もない……気がするのだけれど。
 そういったことをつらつらと思いながら、私の誕生日の意義について考える。
「難しく考えるひつようなんてないよ」
「うーん……」
「あるだけマシだと思っていればいい。だって、『誕生日』がなければ、便宜上でも『生まれて』『ここにいる』ことすらできないんだから」
 そんなことを真顔で言うあたり、相手が本気でそう思っているのがうかがえる。
 ああ、でもその話に反論の余地はないわね。
「それなら」
 私はしっかりと相手を見据える。

「……ちょっとくらい、お祝いになにかしてくれてもいいじゃないですか、マスター」
「うんごめんねお金がないんだそして時間もない」
「つくれ! そんなの頑張ってつくれ! 世の中のクリエイターさんたちが骨身を削って祝ってくれているっていうのに、なんでウチだけMEIKO生誕祭終了のお知らせみたいになってるんですか!」
「しかしマスター諸兄にもリアル事情と言うモノがあるんだ、祝いたい気持ちはあっても先立つものがなければ……」
「じゃあなんでもっと早く用意しておかなかったんですかああああ!」

 ……世の中のMEIKO諸君。私も含め。せめてなにがなくてもハッピーなバースデイを。
 そんなことまで思ってしまった私は、もうそろそろ諦めた方がいいかもしれない。



 あたしは、フォルダの影からマスターとメイコ姉のやりとりを盗み見る。
「……マスター、引きつけておいてくれてるね。イイ感じだよ」
「お兄ちゃん、ケーキまだ? そろそろお姉ちゃん本気ですねちゃうよ」
 ミク姉が、台所で奮闘しているカイト兄に声をかける。
「ま、まって……これがふくらめばうまくいくからっ……!」
「ほんとうに、計画性のなさはマスターも青いのも遜色ないですわね。いきなりひとりで手作りのスポンジケーキを焼こうだなんて」
 ルカ姉は呆れ半分にカイト兄を見て、レンもルカ姉の発言におおむね同意した。
「いや、本気で何も用意してなかったマスターより、カイト兄の方がまだ救いようが……」

「ああああ、またふくらんでないっ……! ど、どーしよう、めーちゃんのお誕生日ケーキ……!」

 ああ、もう見てらんない。
「……ミク姉、がっくんに電話。駅前のケーキ屋さんから、ホールケーキひとつ」
「おっけー……あ、もしもしがくぽさん、あのね、おねえちゃんの誕生日ケーキなんだけど……」
 あからさまに顔をしかめたレンも、同じことを思ったようだ。
「これから夕ご飯の準備すんのに、台所も使えねえんじゃなあ……」
「抜かりはなくてよ、鏡音のリトルブラザー。その辺はもうグミに頼んであります」

 あたし(たち)は願う。どうか、メイコ姉の誕生会が、無事開催できますように!
 ……既にカイト兄とマスターは無事じゃないけど、気にしない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【MEIKO生誕祭2009】 きみがうまれたひ 【小噺2本】

めーちゃんお誕生日おめでとおおおおおお!

MEIKO愛が募って募ってたいへんな(動画作ってもまだ祝い足りない)うpぬしが、
(よせばいいのに無理矢理気味に)小噺ひねりだして文字でも参戦いたしました。
が、どのシリーズともちょっと違った雰囲気のお誕生日SSにしかなりませんでした。

ひとつめの文は「生誕」と「誕生」の意味を考え始めたところからうまれました。
辞書で引いても、あんまり違いのない言葉ですが、生誕の方が物々しい気がします。
ふたつめの文は、ふつうのおめでとうはみんなやってくれると思ったので、祝おうと
思って遅刻した人(遅刻しそうな人)を元気づけられたらと思って書きました。
だいじょうぶ、まだ終わってない。遅刻でも早退でもインフルエンザで出校停止でも
MEIKO愛があればなんとかなるよ。がんばって!

そんな感じで、めーちゃん愛にどっぷりつかった1日でした!
だいじなことだから何度も言うよ! めーちゃんお誕生日おめでとう!

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ちなみに、個人的には誕生日なんていうのは4年に1回しかないので、誕生日のある年は
誕生日があるだけで嬉しくなるひとです。毎年祝ってもらってるんですけどネ。

閲覧数:692

投稿日:2009/11/05 23:29:22

文字数:3,230文字

カテゴリ:小説

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