「めーちゃん、今日は何の日か知ってる?」
「今日って……何あった?」
にこにこと笑みを浮かべるカイトに、メイコは怪訝な顔をする。何か企んでいるに違いない、と自然に警戒心が働いた。
「本当にわからないの?」
「だって……もう誕生日は終わったでしょ?」
先日誕生日を迎えたメイコは、今目の前にいるカイトを始めとする家族たちに盛大に祝ってもらったばかりだ。
「今日はポッキーの日なんだよ」
「はぁ?」
得意げにポッキーの箱を取り出して見せたカイトは、尚もにこにこと笑っている。カイトの意図するところが読めなくて、メイコはただ顔をしかめるばかりだ。
「ポッキーの日にはポッキーゲームをしなくちゃいけないっていう決まりがあってね」
「意味わかんないんだけど」
嬉しそうにポッキーを袋から取り出したカイトの言葉をぶった切ってやると、彼は首を傾げて「ポッキーゲームがわからないの?」とメイコの顔を覗き込んだ。
この男、バカなのかもしれない。
「っつ……!じゃなくて!キスしたいんなら普通にそう言えばいいでしょ!」
顔が熱くなるのが自分でもわかった。もしかすると耳まで赤いかもしれない。
カイトは一瞬ぽかんとしたあと、耐えられなくなったらしく噴出した。
「な、笑うことないでしょ!もとはといえばカイトが……!」
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メイコは静かに瞼を閉じた。
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