「――で、何故俺の部屋に集まる!?」
どんどん押しかけてくる友人達に、グミヤはそう叫んだ。
「だって…なぁ」
ショートケーキを食べながら、レンが言う。
「うん。ケーキ美味しいね」
レンから言葉を受け取ったリンは、ミルフィーユを食べる。
「あ、私クッキーもって来たよ」
そういいながら鞄をごそごそとやるレンカの前にはガトーショコラがある。
「食べる食べる! あ、ねえねえ、タルトちょっとわけてよー」
自分のロールケーキを頬張りながら、グミはグミヤの皿に手を伸ばした。
「後で自分で買え」
自分のタルトは一応守っておいた。
リンとレンが勝ってきたケーキを六人で一つずつ分けて食べながら、ゲームで対戦をしたり、勉強を教えあったりするのだが、終始腹立たしいのは、やたらと暑苦しい二人がいることで――。
「リントくん、もう食べちゃったの? 私の分少し分けてあげるね」
「うん。…ありがと」
「あーん」
「ん」
ついこの間の距離感とギスギスした空気はどこ行った!? もう少しの間けんかしていればよかったのに!!
グミとの対戦中、グミヤは後ろから聴きたくなくても聞こえてくる(バ)カップルの会話に苛立っていた。
一方、リンとレンもそのカップルのいちゃつき方には少し引き気味らしく、勉強会はするが、少しぎこちない。
一体、一晩で何があったというのか…。
「ここは一旦数式を展開して、右辺の数字を移項して…」
レンが説明すると、隣でレンカがそれをノートにとって、キレイな丸い字で数式をといていく。
「そしたら右辺がゼロになって、左辺を因数分解できるから…」
「あ、なるほど。ここがこうなるのね」
「そうそう」
落ち着いて勉強している二人の隣で、リントとリンが勉強会をしているが、そちらはどうも落ち着かない。
「『現代仮名遣いに直す』んだから、ここはこうなるだろ?」
「え? どして? ここは?」
「漢字はそのまま残すんだよ。『全てひらがなで書きなさい』だったら、漢字はかかない」
「えー、でも…」
「違う。こっちはこう」
「ここは」
「こうだってさっき言っただろ」
「リントくん怖い」
「…っ!!」
教えてやっても理解してもらえず、友人宅(ご両親在宅)ゆえ怒鳴ることもできず、怒りを抑えていれば怖いといわれる…。腹が立って仕方が無いらしい。リントのシャーペンを持つ手が震え、みしみしと音が鳴っている。
最後、リントは隣に座っているレンカの肩に頭を置いた。
「大丈夫? リントくん」
「ん…」
またこの(バ)カップルは!!!
「そんなにいちゃつきたいなら、リントがレンカに教えろよ。俺リンに教えるから」
レンが少し気を使って、そう提案をした。すると、リントは軽く手を上げて、
「無理」
といった。レンの表情が引きつる。
「俺、文系だから。理系無理」
ああ、もう、腹立つ。こいつら、こんなにいらっとくる生き物だったか?
「…じゃあいちゃつくなよ。帰ってからやれ」
「ごめんね。リントくん、帰ってからにしよう」
帰ってからするのかよ!! しないよ、もう。とか、そんな反応するはずじゃなかったのか、お前らは!?
場の雰囲気を壊すようで強く出られないグミヤは、わなわなと震えながら、心の中でいつも以上に激しく突っ込んでいた。隣で珍しくグミが心配そうにグミヤをみている。
リントはまだわずか不満げに頷くと、リンの家庭教師を再開した。
グミヤは少なくともリントとレンカが部屋にいる間は、苛立ちを外に出さず、はらわた煮えくり返る思いをしたのだった…。
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BPM=200→152→200
作詞作編曲:まふまふ
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