さわやかな秋晴れの、日曜日。

公園の敷地いっぱいを使って開かれているのは、「アート&グッズ・フリーマーケット」。
手作り作品や自作のアートを、展示販売する催しだ。

「それ、いいですね」
「そう?安くしときますよ」
ホットドッグをほおばりながら言うレンくんに、ぱみゅちゃんが答える。

公園の一角に止まった、移動カフェ「ドナドナ号」のベンチは、公園に来た人たちで賑わっている。

アーティストのぱみゅちゃんは、相棒のレイムさんといっしょに、フリマに参加していた。
ブースを彼女にまかせて、移動カフェで一息入れていると、レンくんがやってきた。

彼もバイトの外回りの合間に、一息入れようと、ここに立ち寄ったのだ。

ちょうど彼女が持っていた、“レイム&パム”ブランドの新作の、ストラップ。
粘土製のキャベツに、ガラスの足が生えている、ユニークなアート。

彼女たちの作品は、女の子だけでなく、意外と男の子にも人気がある。


●不思議が起こりそうな人形

レンくんは、ストラップを見ながら、続けた。
「楽しいアートだなぁ。この“足”、今にも動きそうですね」

「ふふ。でも残念ながら、そんな“不思議”は起こらないですよ」
ぱみゅちゃんは、笑って言った。

すると、話を聞いていたドナドナ号のたこるかちゃんが、会話に入ってきた。
「うん、ニコビレで作られた人形って、みんな不思議が起こりそうな気がするよね」

レンくんは、我が意を得たり、とばかり、うなずいた。
「そうそう!ですよネ!」

ぱみゅちゃんは、苦笑いして言った。
「なんだか、私たちがいるニコビレって、“魔窟”みたいね」
「マクツ?」

「うん。でも、私たちの作品には多分、不思議は起こらないよ。なんてったって、私はオカルトとか、信じてないもの」

ぱみゅちゃんの言葉に、レンくんはガッカリしたように言った。
「ふーん。信じてない人のまわりでは、妙なこと、起こらないのかな」


●変わった人が入ってきた?

「うん。ただでさえ、アタシの相棒のレイムが、そういうの大好き人間でしょ。私まで信じちゃったら、収拾が付かないヨ」
「そりゃ、そうだね」
ぱみゅちゃんの言葉に、たこるかちゃんは笑って言った。

「うん。だけど、最近またニコビレに、変わった人が入ってきたんだけど」
「え?どんな?」
レンくんは興味深げに聞き返した。

「ええと、紙魚子さんて言ったかな?」

「お、その人、僕も聞いたことありますよ」
レンくんは、オヤ?という顔をした。
「この間、テトさんのお店に行ったとき、マスターの吉さんとモモさんが、話してたっけ」

「テトさんのお店で?」
ぱみゅちゃんは聞き返した。

レンくんは、思い出すように言った。
「うん。なんか、魔術師みたいな人、なんだって」(゜.゜*)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(214) 信じる者に、不思議は起こる?

不思議な情報が、だんだん錯綜してきたのでしょうか。

閲覧数:67

投稿日:2013/10/27 22:16:58

文字数:1,169文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    今晩は、コメントではお久しぶりです~♪ ちと色々あって、今日新作アップして、皆さんの作品のコメント回りをしてます~♪

    それはさておき、今回はフリマであり、各キャラのコンタクト回でもありますね。

    >「うん。ただでさえ、アタシの相棒のレイムが、そういうの大好き人間でしょ。私まで信じちゃったら、収拾が付かないヨ」

    (納得)その通りでございます~♪ お笑いだって、基本は、ボケとツッコミで成り立ってますし、各分野の作品だって、『わかりやすい設定』は、緩急付けてますし、各キャラをそれぞれで立たせていて、あるキャラが、別の同じキャラを”喰ってしまう”のは、正直、いただけませんからね。なので、同じ方向性のキャラは出来るだけ置かないか、敵対陣営内でそれぞれ設定させて、キャラが”かぶらない”ようにするのが、ある意味鉄則ですからね。

    とはいえ、同じ陣営に同じ方向性のキャラを、あえて入れる”悪手”を使う人もいますね。ただし、絶対に入れる設定は、”片方の本性は実は真逆だった”、ってヤツです。これはこれで、結構使えますね。ギャップ萌え?

    それでは、続きへGO!

    2013/12/03 22:38:30

    • tamaonion

      tamaonion

      enarinさん、メッセージ有難うございます!

      >お笑いだって、基本は、ボケとツッコミで成り立ってますし、各分野の作品だって、『わかりやすい設定』は、緩急付けてますし

      そうなんですね。ボケとツッコミの役割がはっきりしてるのが、日本のお笑いの伝統ですね。でもあえて、ツッコミ役だけを集めた「うなずきトリオ」という無謀な企画もありましたが。
      無口なトリオという、一風変わった集団でした(笑)

      >とはいえ、同じ陣営に同じ方向性のキャラを、あえて入れる”悪手”を使う人もいますね。ただし、絶対に入れる設定は、”片方の本性は実は真逆だった”、ってヤツです。これはこれで、結構使えますね。ギャップ萌え?

      なるほど。なにかの拍子にそれがわかって、見てる方の心を打つわけですか。
      うまい手ですねー。
      キャラの設定はまだまだ、奥が深いですね。

      新作も楽しみに読ませてもらいます!
      それでは、また。

      2013/12/04 22:14:54

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