咲かない花は何処。咲かない花は此処。
咲かない花はどれ。咲かない花はこれ。
枯れる前に、摘み取ってしまいましょう―――


小さな町の妖美な館　
咲かない花は其処に佇む
小さな小さな　未開の花は
虚飾の薔薇（しょうび）に埋（うず）もれて
水が欲しいと　咽び泣く

「咲かない花は何処？」　「咲かない花は此処。」

彼女を叩く冷たい飛沫
妖花が誘う激しい嵐
大きな大きな　大人が落とす
汚れた金に埋もれて
水を求めて　其の声枯らす

「咲かない花は此処。」　「咲かない花は私。」


小さな町にふらりと庭師
咲かない花など何処にある？
かつての　かつての館の中心
虚飾の薔薇（しょうび）の首落ちて
窓辺に誇るは　紅い薔薇（ばら）

けれども　けれどもひとつ足りない
欠けた一片（ひとひら）　咲かせてあげたい―――

紅に溺れた若い庭師
来る日も来る日も　水を注いで
薔薇の花笑み夢見てる


小さな町で流れる寓話
森の奥には近づくな

咲いてる花と首無し蝶々
引き寄せられたら　さようなら...


咲かない花は何処？咲かない花は此処。
咲かない花はどれ？咲かない花はだれ。

鈴より哀しく　蜜より苦く　
何処かで妖花が謳う声
またひとり　お客様のご来園...

さあ

枯れる前に、摘み取ってあげましょう―――