帯人の起こした事件から一週間。
だいぶ落ち着いた。
でも、悪夢は続いていたらしい。
「はい、てめぇら静かにしやがれ」
MEITOが教室に入り教壇に立つと手を叩く。
そして口が悪い。
「今日、転校生が来たから紹介すんぞ」
MEITOがドアの外にいるであろう転校生に入っていいぞと言う。
皆が見ているドアが開かれる。
姿が現れた瞬間、ナナの表情が凍る。
レンも驚く。
「今日からこのクラスに入る奴だ。自己紹介適当によろしく」
「はじめまして。今日からこの学校に通うことになった福井帯人です。よろしくお願いします」
帯人はニコリと笑って見せる。
「席は…リントの後ろで良いか?」
「はい。(ナナの席の近くだし)大丈夫ですよ」
帯人は何故かナナの方を見てスマイル。
(さ…寒気がするんですけど)
ナナの顔は青ざめていくだけである。
「ナナ」
「?」
昼休み、屋上に行こうと廊下を歩いていると声をかけられる。
「あ、しー君」
「…頼むからその呼び方はヤメテくれないか?」
「えー…。だって呼びやすいんだもん」
「…呼びやすいんだもん。じゃなくて…ってイヤそんな事はどうでも良いんだよ」
どうでも良いなら突っ込まなくても良かったんじゃ?とか心の中で突っ込むナナ。
「帯人が来たって本当?」
「へ?…あぁ。本当だよ」
ほらあそこ。とナナが指をさした先には笑いながら話をしている帯人が見える。
「って…え?笑ってる??」
ナナはあまりにも驚いたのか二度見する。
「なんか貴重だけど気持ち悪いね」
「しー君って意外とグサッと来るような事言うのね」
「え、そう?」
自覚がないって恐ろしいね。とか思ったとか思わなかったとか(笑)
「はぁ。やっぱり屋上っていいなー」
「そう?」
「静かで落ち着くじゃん?」
「まぁ…確かに落ち着く…」
シンと横に並び、屋上から見える風景を見ていた。
「!?」
小さな悲鳴が聞こえる。
「しー…」
「やっと見つけた」
「た…帯人!?」
シンが立っているはずの横を見ようとした瞬間、後ろから抱きつかれる。
「痛いなぁ。相変わらず乱暴な人だなぁ」
シンがズボンについた砂埃を払いながら立つ。
「乱暴?俺はただナナから引き離しただけなんですが?」
帯人は睨むようにシンを見る。
「てか、なんで学校に?年齢偽ってまで来る理由は?」
「理由?そんなの決まってるじゃないですか。ナナと一緒にいる為に…ですよ?」
「そ。それだけなら良いけど」
シンは手馴れた手つきで帯人とナナを引き離す。
「いくら親戚だからって油断してると取られるよ?まぁ、俺も言えてるけど」
シンは帯人に聞こえるくらいの大きさで言う。
「取られそうになったら消すまでですよ」
「怖いこと言うね。ホント」
シンはナナと一緒にその場を離れた。
「霧音シン…。どっちが好きかハッキリしてないくせに…。本当、欲張りですね。今も昔も」
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