タグ「鏡音リン」のついた投稿作品一覧(391)
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その日の夜。
「雅彦さん、ちょっと良いですか?」
雅彦の部屋にミクが尋ねてきた。
「ミク、入って」
そういって自分の部屋に招き入れる雅彦。
「ミク、用は一体何だい?」
雅彦から尋ねられ、背筋をのばすミク。
「雅彦さん、私は、何があっても雅彦さんを支えます」
自分の決意を述べるミク。...初音ミクとパラダイムシフト4 3章20節
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その頃、雅彦は大学の自分の部屋にいた。考えていたのは沢口のことである。最近雅彦は何もしない時は沢口のことばかり考えていた。
(全く、仕事中にこんなことを考えるとは、僕は教授失格だな)
そう考える雅彦。たびたび雅彦は沢口を見舞っているが、見舞うたびに沢口が弱っていくのを目の当たりにしている。最後...初音ミクとパラダイムシフト4 3章19節
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「沢口さん」
そして、ミクは沢口の病室を尋ねていた。
「おや、今日はミクさん一人だけですか」
「はい…」
「しかも暗い顔をして。ミクさんのことですから、ひょっとして雅彦君と何かありましたか?」
「はい、喧嘩をしたとかではないのですが…。その少し、話を聞いてもらって良いですか?」
「話を...初音ミクとパラダイムシフト4 3章18節
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「雅彦さん」
「ミク、どうしたの?」
「少しお話があるんですけど、良いですか?」
「ああ、構わないよ」
そういってミクのあとをついていく雅彦。部屋の中に入ると、ロックをかけるミク。そして、雅彦のほうを向く。
「雅彦さん、沢口さんのことで悩んでいますよね?」
やはりリンやレン、ルカと同じ...初音ミクとパラダイムシフト4 3章17節
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「KAITOお兄様、MEIKOお姉様」
「何だい、ルカ?」
「少しお話があるのですが、よろしいですか?」
「構わないわ」
そういってルカに話すことをうながすMEIKO。
「話というのは、最近の雅彦君の様子についてです。雅彦君の様子が最近おかしいのはお二人も感じられていると思いますが」
...初音ミクとパラダイムシフト4 3章16節
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数日後、雅彦が大山北大学の自分の部屋にいると、扉からノックが聞こえた。扉を開ける雅彦。
「どうぞ」
『失礼します』
入って来たのは長瀬と佐藤だった。
「おや、二人ともどうしたんだい?論文についてかな?」
二人の真剣な表情を前に話す雅彦。
「いえ、私たちが今回安田教授の部屋にお邪魔したの...初音ミクとパラダイムシフト4 3章15節
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「雅彦君」
「ルカさん、どうされました?」
「ちょっと、私の部屋に来てくれるかしら?」
「はい、分かりました」
そういってルカの部屋に入る二人。部屋に入るとルカが扉にロックをかけた。少し不思議そうな表情をする雅彦に、問いかけるルカ。
「雅彦君、沢口さんのことで悩んでいるんじゃないの?」
...初音ミクとパラダイムシフト4 3章14節
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『ルカ姉』
「あら、リンとレンじゃない、どうしたの?」
「ちょっと頼みがあるんだ」
「何かしら?」
ここは家のリビング。ルカが一息ついていた所にリンとレンがやってきた。ルカは二人の相談に乗ることにした。
「相談は、マサ兄が何で悩んでいるか聞き出して欲しいんだ」
「雅彦君に?」
「うん...初音ミクとパラダイムシフト4 3章13節
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「リン」
「何よ、レン」
「マサ兄の様子、変じゃねえか?」
話を切り出すレン。
「そうね。いつもと比べて表情が暗い気がするし、自分の部屋にこもっていることが多いし。私たちにも構ってくれなくなったね」
「そうだな。マサ兄って、色々とやることが分かりやすいんだよな。まあ、それがマサ兄の良い所...初音ミクとパラダイムシフト4 3章12節
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場所は変わって、安田研究室。
「なあ、ケイ」
「何です、長瀬先輩?」
「最近の安田教授のご様子だが、少しおかしいと思わないか?」
そういわれ、雅彦の様子を思い出す佐藤。
「確かに、何か物思いにふけられていることが多い気がしますね。憂鬱な表情をされていることも多いです」
「何かあったのか...初音ミクとパラダイムシフト4 3章11節
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「戻りました」
「雅彦君、お帰り」
家に帰ってきた雅彦を、KAITOが出迎える。そして二人はリビングにいく、リビングにはMEIKOがおり、雅彦に飲みものを手渡す。そしてMEIKOが席に着くよううながして、雅彦は席に着いた。
「沢口さん、どうだったの?」
MEIKOが確認する。
「うかがっ...初音ミクとパラダイムシフト4 3章10節
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「沢口さん!」
「雅彦君、ここは病院だよ。静かに」
そう沢口からいわれ、慌てて口を手で塞ぐ雅彦。ここは病院の沢口の個室である。部屋に入るなり口頭一番叫んだ雅彦を沢口がたしなめる。
「すいません。その…、沢口さん…、大丈夫ですか?」
「大事をとっての検査入院だ。だから雅彦君が気にすることはな...初音ミクとパラダイムシフト4 3章9節
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数日後、安田研究室。
「おい、ケイ」
「何です、長瀬先輩?」
「今、暇か?」
「論文を書くのが一段落したので暇といえば暇ですが…」
「なら、俺の話につき合ってくれないか?」
「まあ、構いませんが…。どうせ、大した話じゃないですよね?」
「よく分かったな」
「そりゃ、もう何度もつき合...初音ミクとパラダイムシフト4 3章8節
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「お疲れさまでした」
「ああ、送ってくれてありがとう」
「沢口さん、無理はしないでください」
「もちろんさ」
そういって玄関から雅彦を送る沢口。玄関の扉を閉じると、すぐに寝室にあるベッドまでいき、その上に倒れこんだ。そのまましばらくじっとしていた。しばらくすると起き上がる沢口。まだ少し顔が...初音ミクとパラダイムシフト4 3章7節
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数日後。
「沢口さん、ここです」
雅彦と沢口はカラオケボックスにいた。二人はカラオケにいこうと前から約束していたのだ。部屋に入って早速飲みものとつまめるものを頼む。
「カラオケなんて何年ぶりかな…」
懐かしそうに話す沢口。
「沢口さんはカラオケにいかれるんですか?」
きになったのか、雅...初音ミクとパラダイムシフト4 3章6節
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「みんな、お疲れさま」
ここは、帰りの車の車中。前方の席に座っているKAITOが一行をねぎらう。雅彦たちは料理を自分たちの家で作った上で沢口の家まで持っていったのだった。今度は空になった食器や鍋が後部シートに置かれている。
「確かにちょっと疲れたわね。久しぶりに気合いを入れて料理を作ったから」...初音ミクとパラダイムシフト4 3章5節
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「沢口さん」
『誕生日おめでとうございます』
拍手する一行。そして沢口がケーキに刺さったロウソクを吹き消す。
「みんな、ありがとう」
微笑みながらいう沢口。
「どうぞ、召し上がってください」
「それじゃ、そのビーフシチューをもらおうかな」
「はい、どうぞ」
雅彦がビーフシチューをお...初音ミクとパラダイムシフト4 3章4節
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「ただいま」
「お帰りなさい」
雅彦が家に帰ると、エプロン姿のミクが出迎えた。夕食作りを手伝っていたようだ。
「沢口さんの所によられていたんですか?」
「まあね。相変わらず元気そうだったよ」
「それは何よりです」
二人でそんな話をしながらキッチンへいく。キッチンではMEIKOが夕食の準...初音ミクとパラダイムシフト4 3章3節
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「沢口さん、こんにちは」
「ああ、雅彦君か、どうぞあがって」
そういって雅彦を部屋に招き入れる沢口。沢口は経過した年月相応に齢を重ねていた。
「何か飲むかな?」
「はい、いただきます」
そういって沢口が出したお茶を飲む雅彦。雅彦がお茶を飲みながら部屋を見渡すと、端末に電源んい文字が移って...初音ミクとパラダイムシフト4 3章2節
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そして、時がすぎた。
雅彦やミクたち六人は大きく変わった所もなく、平穏無事に日々を過ごしていた。しかし、沢口は確実に齢を重ねており、刻一刻と生身の体を持つ人類の終焉は近づきつつあった。
「それではミーティングを始めようか。長瀬君、来月の学会に発表する論文の進捗状況はどうだい?」
「それは順調...初音ミクとパラダイムシフト4 3章1節
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数日後、雅彦とミクと沢口は雅彦行きつけのレストランでライブの打ち上げをしていた。
「それでは、乾杯」
『乾杯』
そういってソフトドリンクで祝杯をあげる三人。
「ミク、改めて、お疲れさま」
「ミクさん、お疲れさまです」
「雅彦さん、沢口さん、ありがとうございます」
二人からねぎらいの言...初音ミクとパラダイムシフト4 2章29節
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KAITOとMEIKOが引っ込むと、しばらくステージ上は無音だった。しかし、徐々に声が聞こえてきた。
『ミーク、ミーク、ミーク』
ミクを呼ぶ声である。雅彦は毎回のことなので、早速その声に混じった。最初は沢口も多少の戸惑いを見せたものの、雅彦からのメールでこの声の存在はしっていたので、やはりすぐ...初音ミクとパラダイムシフト4 2章28節
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グッズの購入を終え、会場に入る二人。二人は席について、購入したパンフレットを読んでいた。
「…グッズ販売は凄かったですね」
「そうですね。僕も最初にいった時は驚きましたよ。その時は何も買わなかったんですけどね」
「そうなんですか。ミクさんのライブって、…本当に、歴史があるものなんですね」
...初音ミクとパラダイムシフト4 2章27節
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ライブ当日。雅彦は会場近くの駅にいた。ここで沢口を待っている。3月らしい、春めいた陽気が心地良い日だった。
「安田教授、こんにちは」
雅彦が見ると、沢口が手を振ってやってきた。
「沢口さん、こんにちは」
「いよいよですね」
「そうですね。所で、ペンライトは持ってこられましたか?」
「も...初音ミクとパラダイムシフト4 2章26節
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そして、翌日。ミクのライブの練習会場。
「安田教授、どうも」
「どうも、これは、差し入れです」
そういってお菓子の入った差し入れをスタッフに渡す。雅彦はこうやって、ミクのライブの練習を見に来ることが多かった。そうやってしばらくスタッフの詰め所からミクのライブの練習を見ていた。
「雅彦さん」...初音ミクとパラダイムシフト4 2章25節
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一方、沢口は雅彦から借りたライブのデータを見ていた。データの名前からすると、ライブのデータは数年前のものらしい。ライブは音楽だけでなく、映像も併せて見ないといけないため、小説を書きながら平行して見るという訳にはいかなかったが、沢口はそんな半端な気持ちで見てはいけないものだろうと思っていた。ライブは...
初音ミクとパラダイムシフト4 2章24節
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その日の夜。夕食を終えて。
「雅彦君、ちょっと良いかしら?」
ルカから声をかけられた雅彦。
「はい、構いませんけど」
「それじゃ、私の部屋にいきましょう」
ルカの部屋に入る二人。扉を閉じると、早速ルカが切り出してきた。
「雅彦君、沢口さんにご執心の様子ね」
「ええ、それは自覚がありま...初音ミクとパラダイムシフト4 2章23節
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翌日の昼。今日はKAITOとMEIKOが家にいた。今は二人で昼食を食べ終えた所である。
「めーちゃん、ごちそうさま」
「KAITO、今日の昼食はどうだった?」
「めーちゃんの作る料理が、まずい訳ないじゃない」
「そういってくれるのは嬉しいわね。でも、手早く作る料理だと、どうしても雅彦君みた...初音ミクとパラダイムシフト4 2章22節
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その日の夜、雅彦は部屋の中で考えごとをしていた。
(沢口さんにミクの魅力を伝えるにはどうすれば良いかな?)
雅彦はそんなことを考えてきた。雅彦はミクに魅了されたからこそ、今、ミクと一緒に住んでいる。そんなミクの素晴らしさを沢口にぜひ伝えたかった。
(しかし、どうすれば良いだろうか?)
ミク...初音ミクとパラダイムシフト4 2章21節
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それと同じ頃、ボーカロイドの家。家にはルカとミクがいた。ミクは自分のライブが近く、その練習に明け暮れていた。今日は久しぶりの休みである。しかし、ミクはため息をつけいてばかりである。
「ミク、ため息ばかりついて、どうしたの?」
「ルカ姉、聞いてくれる?」
「良いわよ」
笑顔でこたえるルカ。
...初音ミクとパラダイムシフト4 2章20節