語り部の置き去り月夜妙
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのはとても残酷な双子の物語です。
ある夜、双子は両親に連れられて、森の奥へと向かったそうです。
道すがら、双子は両親に問いかけます。
「ねえ、この道はどんな幸せへと続いているのですか?」
「ねえ、この先に行けば大好きなおやつをたくさん食べられるのかな?」
「ねえ、この先に神様は待っているのですか?」
「ねえ、そんな悲しい顔で僕らを見るのですか?」
けれど、両親は何も答えません。いいえ、答えることができなかったのです。
そんな両親を見ているうちに、双子は察してしまったのです。このまま暗い森を進めば、もう2度と帰ることはできない、と。
それでも、双子は両親の言いつけに従って森の奥で待っていたのですが、やがて夜になり、ヘンゼルとグレーテルのようにふたりぼっちの双子は歩き出したそうです。
けれども、ガラスの小瓶が反射した三日月の僅かな光では、進んでいる道が正しいのかまでは分からなかったそうです。
それでも双子は歩き続けて、魔女の家へとたどり着いたそうです。
そして、魔女の家で双子は魔女と魔女の子分を燃えるかまどに放り投げ、倒したそうです。
その後、双子はこの場にいない両親に語りかけたそうです。
「魔女と魔女の子分を倒したんだ。」と。
そして、双子は
「目が覚めたら本当の父さんと母さんに会いにいこう。」
そう笑いあって、眠りについたそうです。
まるで昔から住んでいたように懐かしい、魔女の家で。
いかがでしたか?私のお聞かせした物語は。今日のところはここでお開きにしましょう。帰り道にはどうぞお気をつけて。よければまた、私の物語を聞きにいらして下さい。それではさようなら。
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