帯人に殴られた部分が痛い。
そう思いながらナナの横を歩く。

「しー君…頭痛いの?」

ナナが心配そうにシンを見つめる。

「え?い…いや?」

シンはニコリと笑う。

「無理しない!帯人は昔っから手加減しないもんね…」

ごめんねと言いながら頭を撫でる。

「あ…や…その」
「し…ひゃあ!?」

シンの理性がぶっ飛びそうになった瞬間、天の助けが!

「やっと見つけた!」
「れれれレン!?」

ナナの後ろから思いっきり抱きつくのはレンである。

「ど…どうしたの?」
「ナナいないし、帯人もいないし…心配したんだぞ?」
「え…?ご、ごめん」

なんだか分からないがイイ雰囲気。
そんな二人を見てイラついたのか、シンはその場を去る。

「しー君?ってあれ!?ちょっと!!?」
「おい、ナナ!?」

ナナは走ってシンを追いかける。

「ちょっとシン?」
「…何?」
「怒ってる?」
「なんでそう思うの」
「だって…昔からそうでしょ?怒ってる時は絶対いなくなるもん」

図星なのか黙る。

「幼馴染をナメないでよね!」

ナナはウィンクをして勝ち誇った顔をする。

「ホント鈍いよな」
「は…?」
「俺だって男だ」
「ちょっと!?」

自分の感情が制御出来なくなったシンはナナの…。

「なーにしてんのかなぁ?霧音シン?」
「…鏡音レント」

後数センチという所で邪魔が入る。

「レント?」
「本当に君は無防備すぎるよ」

ため息をつきながら、ナナとシンを引き離す。

「…悪いけど君達双子には渡せないな」
「そう?ま、そう簡単に諦めないけど?」

ナナを挟んでシンとリントは睨み合う。

「まぁ、俺よりレンを警戒した方が良いと思うけど??」
「?」
「ねぇ?ナナちゃん」

いきなり話を振られて焦る。

「どうゆうこと?」
「別に…ねぇ??」

ナナは乾いた笑いをする。

「…」

シンに睨まれた気がして冷や汗が流れる。

「と…とりあえず休み時間終わるし戻るね、バイバイ!」

ナナは猛ダッシュをして逃げる。

「「あ、逃げた」」