謁見の間。玉座は二つ。
右側に座るは十四になる王女。
左側に座るは、同じく十四になる王子。
「……退屈ねえ」
紅茶の入ったカップを静かに置いて、リンは片割れに話し掛けた。
「んー」
だらしなく肘を突いて、レンは適当な相槌を打つ。
「なんでこんなに退屈なのかしら」
「毎日同じことの繰り返しだからだよ」
「そう」
緊張感のかけらもない二人に、大臣は重く重く吐息した。
「──リン様、レン様」
「「何?」」
さすが双子と言うべきだろうか、全く同じタイミングで、同じ返事。
それにもまた息をついて、彼は額に手をやる。
「やれやれ」とでも言いたそうに。
「お願いですから、ちゃんと話を聞いて下さい」
「……何か言ったの?」
「さあ?聞いてなかった」
どうしてこうなのだろう。
いずれ黄の国を背負って立つことになるであろう二人。不安が拭えない。

「ですから。お二人ももう十四なのですから、「黙れ」
まだ全て言っていないのに遮られるとは。
冷たい声で冷たい目で、レンは家臣の男を見下ろした。なあに、なんの話?とリンは暢気に首を傾げる。
それ以上を言わせない、確かな圧力のある声音。
「レンったら、なんの話?」
「僕は妻なんか娶らないぞ、リンも渡さない」
「渡さないってレン様、もう子供じゃないんですから……」
「子供で結構」
嗤って肩を竦める。なんかもう取り付く島もない感じだ。
「リン様……!」
「ねえリン、まだ結婚なんてしないよね?」
「ケッコン?しないわよ私、ずっとレンといるの」
その台詞は、かの我儘王子を満足させるに完璧なものだった。
クールに口の端だけを上げて、レンは笑う。
(どうしようこいつら、早くなんとかしないと……!)
低く、心地好い鐘の音が、三度鳴った。

「あら、おやつの時間だわ」
「ああ、おやつの時間だな」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【改造悪ノ】王子と王女【平和すぎる】

個人サイトのおまけにつけたやつだったりギャグだったり。
悪ノ双子を平穏に後継者に立ててみたりとか出来心…
そろそろレンがどうしようもない感じです。召使の名残ゼロすぎる。
玉座が二つとか、個人的に果てしなくツボ。
本音言うと絵を描きたかったけど勿論無理でした。うう、W玉座…orz

■なんと桐さんが素敵な双子を描いて下さいました…!!!どうしよう!!!><
http://piapro.jp/content/ohnhhut7mg0n8pvi

閲覧数:2,820

投稿日:2010/05/03 00:52:59

文字数:763文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 腹痛

    腹痛

    ご意見・ご感想

    きゃあああ!
    レンも悪ノに参加ですね!
    2人は永遠に一緒にいればいいと思います^^*
    っていうか双子で結婚していいっていう法律作っちゃえばいいんじゃ…←
    せっかく王、王女なんですし(オイ)

    ではでは失礼しましたノシ

    2010/05/29 21:06:25

    • 音坂@ついった

      音坂@ついった

      コメントありがとうございます^^
      私も二人はいちゃいちゃしてればそれでいいと思います(´ω`○)
      その発想は……なかった!そうか、絶対権力を悪用すればいいんですね!笑

      2010/05/30 12:32:27

  • ぴこた

    ぴこた

    ご意見・ご感想

    レンも王子様だぁ!(*´ェ`*)
    家臣の男はアイスだろうか(^ω^)ニヤニヤ
    こんな話もいいですなぁ(*´Д`*)w
    ふたりはずっと一緒だもんねー(*´ω`*)(*´ω`*)♪

    2010/05/04 00:22:33

    • 音坂@ついった

      音坂@ついった

      レンにわがまま言わせるのがこんなに楽しいなんて思いませんでした(●◇●)ぇ
      家臣は……そう言われれば兄さんでもいけそうな気がする……!
      召使レンがいなかったらなんか色々大変そうですね。暴君×2。これはひどい(笑)

      2010/05/04 10:33:14

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