冬の寒さが、少しずつ強まってくる季節のある日。
一人と一匹は、やってきた。
「くしゅん!」
「あーあー、バンってば可愛いんだからなー」
隣にいるバンがくしゃみするのが可愛くて、つい呟いてしまう俺。
「うわー、みんなの敵がいるよね!」
「全くもって、その通りです!」
「みんなの敵は、やっつけるのがいいよね!?」
「はい! みんなで袋叩きにしましょう!!」
「・・・だから何で、ナエルとモコが、意気投合するんだよ・・・」
「しょうがないですよ、アカイトさん」
ため息をつく俺を、マニが慰めてくれる。
「そういう役回りなんですから」
「・・・なんか、慰めようとか、本気で思ってないだろ?」
「・・・そうですねー・・・」
俺の言葉に、少し考えてから、
「アカイトさんが、もう少し真面目になったら、私も真剣にアカイトさんを励ますことができると思います」
「・・・」
「まあ、可愛い妹をいじめるどこかの悪いお兄さんよりかは、断然マシですから」
「ああ、そうだな」
妹いじめに対してだけは人一倍厳しいマニだもんな、とは言わないことにしておいた。
そんなとき、
「こんにちは、みなさん」
「みゃーみゃー」
入口のドアが開いて、一人の女の子と、みゃーみゃー鳴いているうさぎを丸めたようなものが入ってきた。
「「こんにちは、可愛いですね。お名前は?」」
番組の収録が珍しく休みで、ソファーでくつろいでいたムウとフワは起き上がって、持ち前の神業的はもりを披露する。
「私の名前はロナ。みゃーみゃー鳴いてるうさぎのこは、うさグミって言います」
「みゃーみゃー!!」
「うさぎのこ・・・まるで、ウサみたいね?」
リアが言うと、ウサは嬉しそうに笑顔をこぼす。
「ウサも、うさぎのこー! うーうー!!」
「みゃーみゃー?」
「ウサだよー。うー!」
「みゃーみゃー」
ロナの足元にいたうさグミは、ころころと転がって、ウサの元へ移動する。
「みゃーみゃー!!」
「うー、ウサも好きー! だじゃれー、うーうー!!」
「みゃーみゃー!!」
「うーうー!!」
・・・というようなウサとうさグミによる、みゃーみゃうーうー会話が約20分続き、その間一人もあきることなく、ほほえましい会話を聞いていたのだった。
「良かったですね、うさグミ。新しいお友達ができて」
「みゃーみゃー!」
会話が終わって、ロナがうさグミに声をかけると、頷くように鳴いて、ロナの足元へころころ転がっていった。
「「・・・にしても、可愛いですね。おしとやかオーラっていうか・・・いわゆる萌えですよ、はい」」
現役司会者二名の着眼点は鋭すぎて、たまに変質者的な言葉になってしまう。着眼点も、あんまり鋭すぎるとだめだってことだな。
すると、ロナというおしとやかガールは、
「・・・萌えっておかしいだろ・・・」
・・・ん? なんか聞いちゃいけなかったような気がするのは俺だけだろうか?
「バン、今の言葉、聞こえたか?」
「今の言葉? それよりも、私は愛するアカイトばっかり見つめていたからな。全く気付かなかった」
「・・・」
バンに聞いたのが、まちがいだった。
「うーん・・・」
それにしても、今のはどうしても、おしとやかガール・・・もとい、ロナが言ったようにしか思えないんだけどなー?
「うわー、可愛いなー!」
「みゃーみゃー」
うさグミに触るシオンを、屈託ない瞳で見上げるうさグミ。
「シオンさんは、可愛いものが好きですからね」
そんなシオンを見て、ジミが笑みを浮かべて呟く。
「シオンちゃんほどの年齢だと、そういう可愛いものにひかれるんだろうねー」
にゃーさんとじゃれていたミナにゃーは、のんびりとした口調で言う。
「それにしても、このうさグミってのは、人参が好きなようだねぇ」
最近遊びに来たばかりの、りんごが言う。
「人参ですか・・・。あいにく、持ってないですね」
りんごの言葉を聞いた、同じく新参者のネムリは呟く。
「「「「あー、持ってないです」」」」
遠巻きで場を見守っていたスモールアニマルズの四名は、現役司会者を超える高度なはもりを披露する。
「「こりゃ、下克上されるや」」
ムウとフワは、あわあわと呟く。
「・・・なんだか、これからが楽しみですね。アカイトさん」
ふと近くに来ていたマツキが俺に言う。
「そうだな。これからも、もっともっと人数が増えるだろうよ」
「もっともっと人数が増えたら、僕たち傍観者の影が薄くなっちゃいますよ」
マツキと俺の会話をどこからか聞きつけて、ミドリが不安そうに呟く。
「大丈夫。そんなことには、多分ならないよ」
言ってる俺も、そんなに自信は無かったが、気にしないことにした。
みんなではしゃぎ騒いでる、この時間が、どんなものよりも価値があると、思ったから。
【亜種コラボ小説】 おしとやかガールの素とうさグミとみんなではしゃぎ騒ぐ騒動と会話と人参と
こんばんは、お久しぶりですこんにちは! もごもご犬です。
えー、なんか最近ネットの接続が悪くて作品投稿ができていませんでしたが、これからは時間がある限り、また新たにがんばっていこうと思います!
さて今回は久々に亜種コラボ小説です!><
快く許可して下さった二名のマスターさんには、感謝です!
次回は、まだ未定ですがお楽しみに!^^
コメント1
関連動画0
ブクマつながり
もっと見る弄ってて濡れたのと、服屋さんに促されたのとで結局お風呂に入っていた。『手伝いましょうか?』って当然の様に言われたけど、流石に恥ずかしくて遠慮した。お湯につかりながら、今更手足のあざや傷が目立つ様で気になった。お風呂から上がると脱衣所に置いた服が無くなっていた。
「あれ…?…あの…私の服は?」
「クリ...DollsGame-11.宿根霞草-
安酉鵺
歌が、声が、音が、波紋の様に広がる。目の前に居るのは頼りなくて小さな彼女で、だけどその声は、高く高く、澄んで澄んで、真っ直ぐに空に伸びる様な…。
「震源から共鳴反応!これ…位置割り出せるかも!」
「行けるか?!頼む!」
「うん、動画のカウンター凄い勢いで上がってる…だけど…このままじゃ歌しか…。」
...BeastSyndrome -98.力を貸して-
安酉鵺
朝食前の早い時間、まどろみの中、携帯で起こされて呼び出された。指定された部屋に行くと香玖夜さんが待っていた。この前とは違って、数人の恐そうなスーツ姿の人も居る。
「ごめんなさいね、浬音ちゃん。朝から呼び出したりして。」
「いえ…。」
「…では、私は失礼します。」
「待ちなさい、鳴兎。」
「はっ…!」...DollsGame-107.縷紅草-
安酉鵺
風雨の音だけが暫く部屋に響いた。と、急に手を掴まれ引き寄せられた。
「えっ?!」
「…もう思い出すな…浬音。」
耳元で囁かれた名前に心臓が跳ねて、思わず鳴兎を突き飛ばした。こんな状況で、しかもベッドの上で抱き締められたら意識せざるを得ない。今更ながらドアが開かない事が恨めしい。
「はい、あーん。」
...DollsGame-67.タチアオイ-
安酉鵺
目の前の書類の束を見ながら思わず溜息が漏れた。ゲーム進行状況の報告書、及び停電と対応策の検討案等々…仕事が山積みな上にどうにも苛立ちが収まらなかった。
『鳴兎が…!鳴兎があの時泣きそうな顔なんかするから…っ!』
あの時って何だよ…泣きそうな顔とか…浬音のあんな顔俺だって見た事無い。
―――トントント...DollsGame-74.白薊-
安酉鵺
密さんは押し黙ったまま何も言わなかった。どうして黙ってるの?嘘だって…冗談だって言って…今直ぐ言って!お願い…お願いだから…!
「密さ…!」
「すまない…。」
搾り出す様な声だった。
「嘘…嘘…ですよね?…何かの冗談…ですよね?」
「浬音…話を…!」
「私の…私の家族…なんですよ?酷い事したかも知れ...DollsGame-63.ミルトニア-
安酉鵺
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
とりっぽいど
ご意見・ご感想
みゃーみゃー鳴くんですか?
鳴き声はそういえば決めてませんでしたー。
うちの子がこんなに可愛いとは……(´∀`*)
使用報告&使って頂きありがとうございます(`・ω・´)
2010/11/22 21:18:26
もごもご犬
>とりっぽいどさん
鳴き声がわからなかったのでどうしようか迷いましたが、うさぎはみゃーみゃー鳴くだろうと勝手に決めつけてしまいました><
とりあえず、後悔はしてません←
うさグミ、書いてて可愛いなと思いました。今度、人参あげてるところ書きたいです、はい。
こちらこそありがとうございます、これからもよろしくお願いします!^^
2010/11/26 13:35:47