どうして、僕はこんなに震えているんだろう…。

 こわい。

彼女は僕を救ってくれた。
僕だけを見てくれた。
僕の罪さえ受け入れてくれた。
彼女は僕の全てだった。

 こわい。

でも彼女にとって僕は一部でしかない。
彼女の周りにはたくさんの人がいる。
守りたい人がいる。
守らなきゃならないものがある。

 こわい。

僕の周りには君しかいない。
君の周りには僕だけじゃない。

 こわい。

どんどん僕が離れていく。
君は強いから、ずっと前に行く。
僕は弱いから、ずっと後ろにいる。

 こわい。

手が震える。声が震える。耳も、身体も、全部震える。
どうして僕だけを見てくれないんだろう。
君を中心として、たくさんの人が周りを囲む。
その円から離れた場所に、無力な僕がいる。
僕は君の隣にいたいのに。

 こわい。

邪魔だよ。邪魔だよ。邪魔だよ。
どうして。どうして。どうして。どうして。
君は僕の隣にいないの。
どうして僕だけを見てくれないの。
いつか忘れてしまうんじゃないかと、僕は怖くてしかたがないんだ。

 こわい。

邪魔だって言ってるだろう!
邪魔なんだよ! 全部!
君は優しいから、また僕以外の男を助けようとするだろう!

…ごめん。違うんだ。…君が悪い訳じゃない。

 こわい。

 こわい。

 こわい。

 こわい。

 泣いてしまいそう。


そのとき、暗い森の奥から不思議な音がした。

♪~♪♪~♪~♪~♪♪~♪~♪~~♪~

オルゴールの奏でていた曲と同じ曲だった。
でも、それはアコーディオンの音色だ。
心地よい響きなのに、ひどく寂しくなる音だった。
雪子も、灰猫も気づかないのだろうか。
僕はその音に聞き惚れていた。
妙に頭が冴える。さっぱりする。

ああ、そうだ。そうだよ。
君が悪いんじゃないよ。
君の周りを取り囲む、そいつらが悪いだけだよ。


…そうだよ。悪いのは、そうさ。…あいつらだよ。


帯人の口元はわずかに歪んだ。


ほんとうに、すてきな、ねいろだね。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第11話「僕の一番怖いこと」

増田雪子
帯人
灰猫
クレイヂィ・クラウン
 青いほうが、クラウン
 赤いほうが、ピエロ
初音ミク
鏡音リン
鏡音レン
咲音メイコ
始音カイト

閲覧数:707

投稿日:2009/03/01 20:39:00

文字数:856文字

カテゴリ:小説

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  • アイクル

    アイクル

    ご意見・ご感想

    お待たせしました、みなさん。お久しぶりです。
    やっと帰りましたよ^^
    さあ、これからどんどん更新していきますよ!

    2009/03/01 22:08:53

  • とと

    とと

    ご意見・ご感想

    キター!ヤンデレ復活ですね!
    続き待ってます!!

    2009/03/01 21:58:57

  • まにょ

    まにょ

    ご意見・ご感想

    ヤンデレ帯人、復活・・あぁあああああ。。
    あ、お久しぶりです。お疲れ様です。。いやぁ。。随分、間があいたので心配しましたw
    でも作風は変わってなくて安心しましたw
    これからの展開として・・帯人は「くるったおとこ」??
    まぁ。続きを待ってます!いつまでも。

    2009/03/01 21:26:01

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