ぼく達は2人で一つ。
まだ幼い頃、ぼくらは2人で一つだった。
共に笑い共に悲しみ、離れることなどありえなかった。
人々はぼくらの事を王子と呼び王女と呼んだ。
皆、優しかった。世界は優しかった。
それが、ずっと、続くと思っていた。
この国は既に傾いていた。愚かな王が続き民は圧政に苦しんでいた。
いつ、壊れても可笑しくはなかった。
「私が、のこる。」
そうリンが言った。その言葉に、母が顔を歪めて泣くのを必死にこらえていた。レンは思わず横に並んでいるリンの手のひらを強く握った。
レン達の父の、王の酷い仕打ちに優しい母は耐えられなかった。豪華な生活、愚かな粛清。何度窘めても、王は聞く耳を持たない。
王は、民の事を考えてくれない。それが耐えられなかった。母は、後にそうレンに言った。
大人たちの事情はレンにはよくわかっていなかった。わかっていたことは、一つ。リンかレン。どちらかが残らなくてはならない。と言うことだった。
双子を連れていては目立つ。一人はこの国のために残さなくてはならない、、、。
大人たちの都合など、知らなかった。何も言えず、俯いたレンの横で、リンが、自分が残る。と言った。
「私が、のこる。私は、レンのお姉ちゃんだから。」
幼い、自分とほとんど同じ声色の子供がそう言う。
嫌だ。とレンは言いたかった。リンと離れたくなかった。一人で残れ、と言うのならば、二人で残りたかった。
だけど、抱きしめてきた母の腕が、震えていて。
一緒に抱きしめられていたリンが微笑んできて。
何も言えずレンはただ俯いた。
「リン、リボンが解けている。」
別れの時、レンはそう言ってリンのリボンを結びなおした。その手が、知らず、震えた。
泣き出しそうになるのを必死にこらえるレンに、リンが力強く、微笑んだ。
「レン。私達は離れ離れになっても、一緒よ。私達は、二人で一つだから。」
こうして、ぼくらの未来は二つに裂けた。
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これは白黒P様の「鎌を持てない死神の話」をもとに投稿者が妄想と捏造で書かせて頂いたものです。
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ミプレル
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