「マスター、はいこれ」
僕はマスターの部屋に行って、頼まれていたブツを渡す。
「あ、カイト。ありがとう」
キーボードを叩く手を止めて、にっこり笑顔を僕に見せ、例のブツを受け取る。
「っていうか、はちみつのやつ、この世界でもあるんだねー」
早速袋を開けながら、マスターは感心して呟く。
「コンビニにはなかったので、フルーツスーパーで買ってきました」
「へー? あの店って確か果物だけしか取り扱ってるんじゃなかったっけ?」
「え? はつみつは、果物ですよ??」
「え・・・」
マスターは飴を口に入れたまま、きれいに固まった。すごく珍しい。そんなに僕の発言が変だったのだろうか?
「だって、・・・ちがうんですか?」
なんか空気がいつもとちがかったので、聞いてみた。
「ちがうも何も・・・あはははは!!」
言いかけて爆笑するマスター。ばんばんと机を叩いての爆笑である。
「え? え?」
「カイトってば可愛いなー。はちみつは果物じゃないよ」
「じゃあ、何ですか?」
「・・・聞きたい?」
何やら不敵な表情になって、そう言うマスター。声も不敵にトーンを落としている。
「・・・はい」
こっちも真剣に頷いてしまう。マスターは言った。
「はちみつは、はちの巣から採れるんだよ」
「? はい」
首を傾げつつも、頷いておく。
「だから、果物じゃないよw」
「へぇ」
なんだかよく分からないが、はちみつとはそういうものらしい。僕は適当に頷いて、本題に入ることにした。
「・・・それで、1つ言いたいことがあるんですけど」
「何々―? アイスだったら、冷蔵庫に2、3個入ってたと思うけど」
「そうじゃなくて、・・・あのぉ、・・・マスター、ここここれ・・・食べてくれますか・・・っ!」
思いきって、隠し持っていた袋を差し出す僕。
「?」
マスターは完全にぽかんとした表情。僕は補足説明する。
「これは、僕をイメージして作られたアイスです! ・・・まだ、試作品ですけど」
「へー。・・・じゃあ、見てみようかな」
やっぱり気になったようで、マスターは僕から袋を受け取り、袋から例のアイスを取り出す。
「・・・」
出てきたのは、真っ青な棒アイス。マスターは黙り込む。
「ほんとは僕の姿をそのままアイスにしたかったんですけど、それじゃあマスターが食べにくいかなと思ってじゃあこういう風に・・・ってな感じで業者さんと作りました!」
「カイト、これ、明らかに合成着色料使ってる?」
やがて、マスターが発したのはそんな言葉。僕は横に首を振る。
「・・・自然着色料ですよ?」
「・・・えー、青の自然着色料とか、聞いたことない」
思いっきり否定される。僕はため息をつく。
「いいじゃないですか、別に」
「カイト、あーん」
マスターは真っ青アイスを僕の口に近づけてくる。
「いいんですか、食べちゃっても。味は確かめなくていいんですか??」
「・・・」
僕の言葉に、マスターは差し出した真っ青アイスをじっと見つめる。
「・・・しょーがないなーもう」
棒読み口調でそう言って、マスターは真っ青アイスをちょっとかじる。
「どうですか?」
ちょっと期待してしまう。
「・・・私の世界じゃブルーハワイ味ってとこかな」
マスターはそう言って、にっこり笑う。
「なんとなく、おいしいよ」
「・・・」
素直においしいって言えばいいのに。僕のマスターは、微妙すぎる部分でツンデレを発揮するみたいです。
「さてと、カイト」
マスターはそう言って、そのアイスを僕の方へ差し出してくる。
「お口開けて開けてよー」
「・・・え」
僕は、目を丸くする。・・・色んな意味で。
「あ、あの、マスター?」
「何ー? 早くお口をお開けなさい」
「・・・僕に、食べかけくれるんですか?」
「えっ」
今度は、マスターの目がまんまるになる。
「だ、だってだって、ちょーっとばかしかじっただけだもん」
マスターのほっぺたが赤くなるのを見逃さなかった僕は、
「それでも、立派に食べかけですよ」
優しく言った。
「だって、おいしくないし」
ぼそっと呟かれる言葉。僕は首をひねる。
「あれ? ブルーハワイ味って、マスターきらいでしたっけ?」
「あんまり」
だから、なんとなくおいしいよって言ったのか。それだったら、それとなく分かるような気がする。
「そうなんですか」
「それに・・・」
「?」
「・・・・・・ブルーハワイ味ってさ、まぁ、飲み物でもあるんだけど、あれってカイトが溶けたみたいな感じがするよー」
「!!!」
僕は、なんだか衝撃を受けた。
「だから、あんまりブルーハワイはなー」
「えー?」
普通だったら、そう考えると悪くはないかもねとか言うはずなのに・・・。
「まぁ、でも私食べるよ。・・・食べかけはやっぱりあげるものじゃないもんねー」
「・・・」
なんか惜しいことしたような気がする。そう思いながら、どこか嬉しそうに食べるマスターの表情を見ていたのだった。
諦めきれなかった、ただそれだけの話。 【マスターとカイト】
こんにちは、もごもご犬ですこんばんは!!
さーて今日も元気に突っ走るよー・・・っと言いたいことだけど、本気で腹立つことがあった。
もちろん、あの人・・・あ、ちがった、あの人だったやつだ。
ここから少し長くなるけど、1000文字以内に収めてみせる!
・・・そもそも私は落ちぶれまくったあの人がだいきらいなわけだよ。ほんっとに無理。成績はどうかわかんないけど、絶対私の方が勝ってる。これは間違いない。
落ちぶれなかったらいいのに・・・なんて、あの人が素直に聞くわけないよね・・・あ、ちがった、あの人だったやつだった。
だから、完璧、私とあの人だったやつの2人っきりの問題なわけで。・・・でも、やっぱりあのことはあの人だったやつの仕業だったんだ。それ、昨日家に帰って知った。
でも、他の人に言われてもない。どころか、メールも普段してない。
つまり、自力で分かったってことだ。
もし、あの人だったやつが私の今の言葉に疑問を抱いて他の人に聞いて、もしそれが私の耳に入ったら、私怒って蹴っ飛ばしに行くから。それぐらい、怒ってるってわかんないかなぁ? 私、怒ったら相当怖いって、知らなかったっけ?
もしかして、好きな人だから大丈夫だとか思ってたら大間違いだよ。好きな人だからこそ、蹴っ飛ばしに行く。そいつが落ちぶれていたらなおさらだよ。
今まで何も言わなかったけど、それは私が優しすぎるんだって気づいた。だから、今度はちがう。
容赦なく、怒る。
今後、もし他の人とメールして私のこと困らそうとしてそのことに気づいたらその時は覚悟しててよね。
私が怒ったらどんだけ怖いか、思い知らせてやるんだから。
まぁ、その前にとっとと謝ってよ。今まで利用した全ての人に謝ってよ。そして、二度とそんなことはしないって、私に直接言ってみせてよ。それまで、私は待ち続ける。その間は、見もしないし顔も見たくない。まぁ、さっきの言葉をちゃんと私に言えればいいんだけど、言えるかなー?
でもさ、これだけは覚えててほしいな。
私に、隠し事しても全部わかるってこと。つまり、意味がないってことを覚えててほしいな。
長かったけど、言いたいことはそれだけ。ちゃんと全部言えたはず。
次回も、お楽しみに!^^
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