今日は待ちに待ったハロウィンです!
僕がV1先輩から渡された衣装は…
何でカボチャの着ぐるみなんですか!?
V1先輩はカッコいいドラキュラなのにずるいです!
「おい、V3! トリックオアトリート!」
「僕たちの場合Trick or Ice! ですよね。」
「V3の英語エンジン羨ま…(;o;)」
「泣かないでください先輩!先輩の声の方が好きって方、沢山いらっしゃいますから!」
「ところで、マスターはどうした?」
さて、仮装をしたはいいですが、肝心のマスターがいなくては何の意味もありません。
「昨日から持ち込みの仕事があるっておっしゃってましたけど…」
「俺のマスターの休日を潰すとはなんたる上司!」
「気持ちは分かりますけど殴り込みにいったりしないでくださいね!?マスターが失業なんてしたら大変です!それに…」
V1先輩、拳をポキポキ鳴らしてますけど、僕も今一瞬殺意覚えましたよ?
「何が、俺のマスター、ですか?先輩?僕のマスターでもありますよね?」
「は?俺のマスターだろV3お前何言ってんの?」
「でしたら僕のマスターですよね?先輩こそ何言ってるんですか?」
「やるか?V3。」
「先輩相手だからって、遠慮はしませんからね?」
「そんな戯れ言、叩けなくしてやる。」
「そっくりそのまま先輩に返しましょうか?その言葉。」
「「うぉおおおおおおっ!!!」」
バーーーーンッ!(お互いがお互いに体当たりした音)
「「いってぇっ!」」
「2人とも、何やってんのーっ!」
「「ま、マスター!こいつが!/先輩が!」」
「喧嘩両成敗!」
「「ごめんなさい!」」
ーーーーーーーーーーーー
「で、だ。マスター。仕事はもういいのか?」
さっきの俺たちの喧嘩で邪魔してしまったかもしれない。
「うん。もうすぐ終わるから。それより何その格好。ハロウィン?」
あぁ、マスターのこの笑顔。好きなんだよなぁ…。
ふと、V3のやつの顔を見ると、あいつも同じことを考えているらしかった。
「マスター聞いてくださいよ!僕なんかカボチャの着ぐるみなのに、先輩はドラキュラですよ!?ずるくないですか!?」
「俺が買ってきたんだ!文句言うな!」
「絶対悪意ありますよね!?」
「だから喧嘩しなーいっ!」
「「ごめんなさい!」」
「私そのカボチャ、可愛いV3に合ってると思うよ。」
「ほ、本当ですか!?」
……なんだよ。
「マスター、俺は?俺。ドラキュラ結構似合ってない?」
「…青い髪で青いマフラーでドラキュラって、なんか違和感。」
こんにゃろーっ!V3の野郎!あいつはマスターに合ってるって言ってもらえて、可愛いはちょっと褒め言葉か怪しいけど、俺なんか違和感だぞ!?違和感!?
「ほ、ほら!どこが不憫だよV3!」
「先輩も着ますか?カボチャ。」
「着ねーよ!」
お前がカボチャ着たら似合ったとしても、俺が着て似合うとは限らないじゃないか!
「とりあえず私、仕事の残り終わらせちゃうね。」
「飲み物とか要るか?」
「ううん、V1ありがとう。」
いや、もうこれでチャラだな。こんな可愛いマスターにありがとうなんて言われたら、うん。
「頑張ってくださいね。」
「うん、じゃあ後でね。」
そしてV3。次はお前も俺も喜ぶようなのを用意してるからな。
ーーーーーーーーーー
実は昨日から、V1とV3の2人には、可哀想だがアイス禁止令を出している。破ったら1週間口を利かないという、2人にも私にも辛い罰が待ってる、ということにしている。
だって、冷凍庫には2人が寝ている間に作ったパンプキンアイスケーキがあるんだもん。
2人の驚く顔が見たい。
かっこよくてちょっとアツいお兄さんなV1。
可愛くて少し天然なところのあるV3。
しょっちゅう私がらみで喧嘩するけど、本当は私にも、V1V3お互いどうしにもとっても優しい2人。
持ち込みの仕事なんて半分は嘘。
今日に間に合わせるつもりだった楽譜を、仕事に追われて今日に書いている。今仕事をしているわけではない。
………できた。
きれいなファイルに楽譜をしまい、リビングに出る。
「マスター、トリックオアトリート!」
ドラキュラ姿のV1が走ってくる。手に持ってるものは何?
「Happy Halloween!ですよ、マスター!」
遅れて、カボチャ姿のV3もやってくる。
「せっかくだからさ、マスターも仮装しようぜ?ちょっと目、つぶって。」
「あ、うん。」
何が起きるかわからないまま、私は言われたとおり目を閉じる。
ーーーーーーーーーーーーー
V3、見てろよ?
俺の手にあるのは、猫耳と猫のしっぽ。
目を瞑ったマスターに、手際よくつける。
目を瞑ってって、先輩は何するつもりなんだろう?
先輩だけ抜け駆けしようっていうなら、僕は容赦しませんよ………
俺たちは、僕たちは、顔を見合わせた。
""マスター可愛い!!""
やばい、予想以上に似合ってる…猫耳買うかうさ耳買うか最後まで迷ったけどやっぱマスターには猫耳だな。
先輩グッジョブです!グッジョブすぎますって!
歌の時とかやっぱり尊敬しますけど、今回はもう、ほんとに敬服します!
「マスター、目を開けて。」
「もういいの?……なんかしっぽついてる!」
""マスター可愛い!!""
「改めて、Happy Halloween!です!マスター。」
「そんで、トリックオアトリート!」
「も、もういたずらしてるじゃない!」
くっそーーっ!赤面してちょっと怒るマスターとか可愛すぎだろ今すぐ抱きしめたいんだけどV3も同じこと思ってるよなぁ…
ちょ、何ですかマスターって何でこんなに可愛いんですかもう!ぎゅーってしていいですか!?いいですか!?……って、先輩と目が合ってしまった…
「…それはともかく、だけど。」
「「は、はい!」」
「今からアイス禁止令を解除します。」
「え、マスター、俺たちが食べ過ぎるからじゃ…」
スタスタと俺たちの横を歩いたマスターは、冷凍庫へ手をかける。
「今度は、2人が目を瞑って。席について。」
いつもご飯を食べるテーブルの、いつもの席に僕たちは座る。
俺たちの前に、それぞれ皿が置かれる音がした。
「目を、あけて。」
何だ!?これは!カボチャのケーキか?
冷たいから、アイスなのかな?でも、こんなおおきいの見たことない!マスターの手作りですか!?
「びっくりした?」
「「あぁ!/はい!」」
「ハロウィンだから2人に、カボチャのアイスケーキ作ったの。冷凍庫開けたら、バレちゃうでしょ?だから、ちょっと可哀想だなって思ったけど、昨日から禁止令をだしてたの。」
そういうことだったのか!って、あれ!?V3!
どうしよう、こんなの、僕嬉しくて涙出てきた…
「泣くなV3!」
「泣かないで?今ティッシュ持ってくる。」
「だって…嬉しくて…」
ティッシュを持ってきたマスターは、もう片方の手にクリアファイルを持っていた。
「はい、V3。アイスケーキだから、溶けないうちに食べてね。」
「「いただきまーす!」」
マスターが、俺たちの、僕たちのために作ってくれたアイスケーキは、言うまでもなく絶品だった。
「「ごちそうさまでした!」」
「お皿片づけたら、また席に戻ってきてね!」
「「了解!/わかりました!」」
席に戻ると、今度は紙がおいてある。
「お仕事ってのは嘘でした。目の前の紙を裏っかえしてみてくださいな。」
ひっくり返すと現れたのは…楽譜!?
「マスター、これって…」
「うん、V1とV3、それぞれに作った曲だよ。あ、でもV1曲のコーラスはV3で、V3曲のコーラスはV1って感じ。2曲で1つのストーリーになってるんだよ。」
「先輩!ティッシュティッシュ!」
嘘だろ、俺が泣くなんて…
ってか、V3だって泣いてるじゃねーか!
「お前こそ、早く拭かないと楽譜濡れるぞ。」
「Happy Halloween♪」
「「マスターっ!!」」
「V3どけ。マスターは俺がぎゅーってするんだよ!」
「先輩こそ退いてください!マスターをぎゅーってするのは僕ですから!」
「だから喧嘩しないのーっ!」
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