-これまでのあらすじ-

「この黄色い髪の子には餌をあたえないでください」

「ゆかりん泣いていい?」

「私を貧乳と言った罰」

「ひどいや」

「そうじゃなくて! ラピスちゃんが居なくなったんだよ!」

「ロリコンは黙ってろ」

「ひどいや!」



≪ゆかりさんの非日常な売店日誌 4≫




「それで……どういうことだと言うんだ?」

 ゆかりさんは売店を出て、マキとキヨテルと一緒に校内をぶらぶらと歩いていた。

 ゆかりさんは脳内で今までのデータをまとめていた。


 もしかして:行方不明☆


「もしかして、じゃねえよ!」

 スパコン!! とキヨテルはどこからか取り出したハリセンでゆかりさんの頭を叩いた。

「いったーい……」

「こういう時だけ甘い声出して誘惑するなよ! こっちは本気なんだよ!」

「五円チョコをくれい……」

「しゃーねえな。ほれ」

 キヨテルがポケットに入っていた五円チョコを手に差し出すと、ゆかりさんはおそるべき速さでそれを奪い取り、口に頬張った。

「……ったく、こういう時は可愛いんだがな……」

「ロリコンに好まれたくないわー」

「ロリコンじゃねえし!」

「『ラピスちゃん可愛いハァハァ』とか言ってたくせにか?」

「何か進化してるぞ! ハァハァまでは言ってねえよ!」

「えっ」

 ゆかりさんはその言葉を聴いて思わずドン引きしていた。

「ドン引きする要素なんてなくない!? 生徒に誤解招くからやめれ!」

「ちょっとー、ゆかりんは私の彼女なのよー?」

「死ね」

 チェーンソーを起動してゆかりさんを見れば、恐らく修羅でも逃げ出すことだろう。

「死ぬ、死ぬってば」

「当たり前だろ、死なせるためにチェーンソー起動させたんだぞ?」

「目が本気!」

「今のうち謝っておけよ」

「どっちにしろ私とゆかりんの関係は崩れないよ?!」

「いや、もとからそんな関係ないから。キマシタワーとか作られませんから」

 こうして、ゆかりさんたちは校舎の裏手にある体育館までたどり着いた。

「彼女を最後に見たのが、ここらしいんだ」

「ここ?」

「……何もないけれど、どうなの? そこんとこ」

「学校七不思議とかだったりしてね。確か神隠しがあったでしょう?」

「それじゃ、ラピスちゃんは……神隠しに……!」

 キヨテルはそれを聴いてオロオロしている。よっぽど好きなのだろう。それ自体彼にとっては疑われる行為であるのだが。

「とりあえずどうする。神隠しだとすれば、永遠に、いや、半永久的に見つからないぞ」

「そうなのよねー……あり?」

 ゆかりさんは何かを見つけたらしく、しゃがみこんだ。

 そして、地面を優しく手で撫で始めた。

「ど、どうした? ついに胸がスーパーフラットすぎて幻覚でも……!?」

「あった」

「へ?」

 マキのそんな冗談を無視して、ゆかりさんは地面を指さした。




 そこにあったのは――鉄製の扉だった。




つづく。

ライセンス

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ゆかりさんの非日常な売店日誌 4

【生徒会長行方不明事件編・2】

マキさんは地理の先生ですよ。

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投稿日:2013/03/08 22:55:38

文字数:1,264文字

カテゴリ:小説

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