タグ「GUMI」のついた投稿作品一覧(97)
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ひまわり
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第七十三話 ずっと見てた
「伝えたかったなあ……」
独りごとなのか、俺に言ったことなのか。
それはわからない。何しろ今グミは俺に背中を向けているから。
「しっかしなぁ、いつもは面倒見のいい姉御気質気取ってるくせに、こういうの苦手だよな、お前って」
ああ、昔からそうだ。
励まそうと頑張って...ノンブラッディ
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第七十二話 愛しい背中
彼旅立った。
もうあたしとレンが会うことはまずないだろう。
見送りくらい行けばよかっただろうか。
それでも、レンを見るときっとひきとめてしまう。
消えちゃうくらいに抱きしめて共に生きたいと思ってしまうわ。
だから―――これで―――。
「よかったのかよ。見送り、行...ノンブラッディ
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第七十話 RE START
それは≪魔界≫で雪が降った二日後のことだった。
「レン、あんたもう一度≪人間界≫へ戻りなさい」
グミは、俺を自室へ呼びそう言った。
あまりにも唐突過ぎて、言葉に詰まった。
だって、もう戻れないと思っていたし、どうして俺はもう一度≪人間界≫へいけるのか不思議でたまら...ノンブラッディ
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第六十九話 還
もう一度眼をあけると、そこには懐かしい面々がそろっていた。
最初に目に入ったのは、親友、メイコだった。
そして、グミ、カイト、レン。
みんな心配そうに私を見ていた。
「よかった、目を覚ましたのね」
メイコが涙ながらにこう言った。
「無茶しすぎだぜまったく、もう若くねぇんだか...ノンブラッディ
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第六十八話 新た
ああ、雪が降っている。
≪魔界≫には季節という概念はないが、ごく稀に雪が降ることがある。
常に春くらいの気温で天候の≪魔界≫では極めて珍しいことだ。
皆、雪を忌々しい記憶を思い起こさせると言って嫌う。
しかし、俺は違う。
懐かしいあの人を思い出す。
「レン」
ふと、...ノンブラッディ
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第六十五話 君の幸せを祈ります
「いいのか本当に」
レンをおりんに会いに行かせてから、れんの背中を見送りながら、ちょっとだけ後ろにいたカイトがあたしにそう耳打ちした。
そんなこと言わないでよ、泣きそうなんだから。
「ん、別に。あんなのどうでもいいわよ」
「相変わらず、かわいくねぇなぁー」
...ノンブラッディ
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第六十四話 門
とても≪人間界≫の≪江戸時代≫とは思えないような虚大な、異空間。
それは≪魔界≫と≪人間界≫をつなぐ世界。
私の目の前には、無駄なほど威厳あふれる門がそびえ立っている。
私の後ろには、ぐみ、かいと、そしておかみさんを抱えた、咲屋――いや、学園長だ。
「いいのか? おりんを、呼...ノンブラッディ
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第六十三話 こころ
あたしはあんたの判断に委ねるよ、レン。
故郷を選ぶか、愛する人を選ぶか――。
だってどうせわかってくれないもの。
どうせ―――気づいてくれないもの。
あたしがどんだけ、あんたが心配で、気にかかってて、いっつも「レン大丈夫かな」とか。
馬鹿みたいに考えて。
研修からなかな...ノンブラッディ
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第六十一話 謎
「全ては―――レン―――あなたの為よ。……わかるわね……?」
「はい」
私は全てを飲み込んで、そう答えた。
あとは全て私に託されたんだ。
私がこれからする選択で、全てが決まる。
「すみません、ちょっといいですか?」
ずっと大人しく聞いていたぐみが話に割って入った。...ノンブラッディ
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第五十八話 謎
「ルカを助ける方法なら、あるわよ。魔界へ還せばいいの。そうすれば魔力が回復して元通り元気にな」
「ちょっちょっと待ってください!!」
いきなりそんな話を始めた咲屋さんを、私は思わずとめた。
「まだ何も解決していません。おかみさんが何をしようとしていたのか……さっきの物は、かい...ノンブラッディ
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第五十七話 満月の夜に
「……なるほどな。そういうことかよ、まったく」
かいとが溜息をついた。
皆話を聞いた後の何とも言えないこの気持を溜息にしたかったが我慢していたのに。
「すみません。でも、もうれんやみなさんを殺したいとは思っちゃいません。ミクの気持ちが、わかった気がしますから……」
お...ノンブラッディ
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第五十二話 目的
「……っく……」
あたしが目を覚ますと、そこにはレンとおりんと、そのほか数名とともに、どこかの客間にいた。
だいぶ長く人間界に住んでいるが、ここは来たことがない。
「だから、あたしはおりんを助けに行こうと思って、レンを見送った後荒れ屋敷に戻ったんだけど、なんだかそっからおぼえ...ノンブラッディ
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第五十話 あの人の意思
「ねえ、そんな顔しないで? 私頑張ったの――あなたのこと……まもろうとして……」
おりんさんは私を抱きしめながら悲痛に訴えてきた。
今にも泣きそうな顔して、今にも零れそうな涙を溜めて、今にも壊れそうに身体を震わせて。
「ねえ……おっかさんが言ってた、私人間じゃないの……...ノンブラッディ
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第四十九話 こんなことしてほしくなかったのに
「おりんさん……そこに倒れているのは……おとて、さん……ですよね……?」
「わからない。だって、私が守りたいって思ったら、おとてさん、紅い髪になって……血を……吐いて……」
どうして?
おりんさんは、人間だ。
どうして?
どうしてこんな、こんな...ノンブラッディ
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天然少女×不良少女
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第四十八話 あの人のおもいで
「っ……あぁぁ……は……はぁ……」
突然私を襲った激しい頭痛。
そして私の中に流れ込んできたのは、おそらくおかみさんの記憶だ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
いろいろとわかったが、今一番最初に考えないといけないのは、おりんさんだ。
彼女はおかみさんの子だ。
しか...ノンブラッディ
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過食性:アイドル症候群
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天然少女×不良少女
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第三十四話 どうかこの手をとらないで
「ね、レン……一緒に帰ろう……?」
出来ることなら。
このまま帰って、このことはすべて忘れて。
私たちの世界でのんびり暮らせたら。
きっとレンは縛られることはないし、またあんな思いをすることもない。
カイトも、レンの親父さんも、みんな――あたしも―――...ノンブラッディ
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第三十三話 ねえ
走っている。
荒れ屋敷の広がる一帯を、ふたりきりで。
――レン。
あんたは本当にこれでいいの?
おりんは、どうなってもいいの?
このままだと……おんなじだよ……。
「……レン……」
息はもう既に荒いけど、一生懸命に前を走るレンに呼び掛けた。...ノンブラッディ
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第三十二話 守りたかった
おとてはつい四半時前くらいと同じ、不気味な笑みをその頬に浮かべていた。
“――殺される――?”
たぶんぐみも、おりんさんも、同じような感情を持っているだろう。
目の前のこのおなごに、ひとたまりもないほどに木っ端微塵にされるかもしれない。
今にも震えて、泣き出して...ノンブラッディ
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第三十一話 いまのきみは
ひと通り話し終えた後、私たちのいる荒れ屋敷は一段としんとしていた。
「……これが、私の話です……。私のことを呆れたとか、怖いなんて思ったなら、今すぐここから去った方がいいですよ。おりんさん」
おりんさんは、私の目をじっと見ている。
ぐみはさっきまでずっと固く目を瞑っ...ノンブラッディ
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第二十八話 無気力
すっかり息をしなくなったミクを膝の上に抱いて、ただただ見つめていた。
この洞窟の外には、僕にやられた同族たち。
ここには、僕の所為で居なくなった愛しい人。
そして、狂った僕。
ここにはもう、なにもない。
さっきまではっきり覚えていた君との記憶も、もうすぐ思い出になって...ノンブラッディ
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スイートフロートアパート
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神様はエレキ守銭奴
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第二十七話 汚い、綺麗、やっぱり
容赦なく君は、赤黒い液体をその形のいい唇を大きく開いて、吐き出した。
胸に刺さった剣に、歪む君の表情。
もう、綺麗な君じゃない。
そう思ってしまった僕はきっと、ダメな奴だ。
あんなに好きだった君。
あんなに守りたかった君。
あんなに綺麗たっだ君。
それ...ノンブラッディ
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第二十三話 純白と紅蓮
「……どうしても行かないといけないんだ……グミ、だから……」
―――どんッ
グミは僕の胸を思いっきり突き放し、僕はその衝撃で尻餅をついた。
「ダメだよ、行っちゃ」
「でも……このままじゃ……」
グミは僕をまるで汚い虫でも見るような眼で、睨みつけてくる。
だって、こ...ノンブラッディ
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第二十二話 僕と君は
あまりに白くて、目を閉じた。
僕には綺麗すぎて、眩し過ぎた。
もうこれ以上君とは会ってはいけないのに。
僕と君は―――違う生き物だから。
だからもう、僕の名前をその声で呼ばないで。
あいたくなるから。
―――もう、呼ばないで―――。
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「今日も来てくれ...ノンブラッディ
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幻奏歌