タグ「ひなた春花」のついた投稿作品一覧(14)
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ポスンッ…
ピアノに打ち付けられた直後だからだろうか?今回はやけにやさしく本から床に打ち付けられた気がする。
「帰ったかね?」
僕が声のした方へ顔を向けながら立ち上がると、そこに立っていたのは扉から覗くように顔を出している館長の男だった。
「ええまぁ…」
日が落ち暗くなった部屋…
何故だろう?本の中...犯人の物語―ナゾトキ・ナゾカケ・ぼくにピアノを弾かせて(エピローグ)―
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コッコッコッ…
「フンッ…だから私があの時殺してやるといったのに。」
僕は…いや『鏡音レン』は眼を開ける。
目の前には一人の男…
僕は彼に見覚えは無かったが、身体は…『鏡音レン』は彼を知っているようだ。怯えているのが分かる。
「海の藻屑になっていれば、彼女の死に目に会わずに済んだというのに…」
僕は...犯人の物語―episode3 ナゾカケ③―
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「あなたは私に罪を犯させたくなかったのかしらね?それで自分が罪を犯し私を守った…お陰で私は憎しみのはけ口を失った。」
「…」
黙っている僕。
「…いいわよ。そうして黙っていても。貴方がやらないなら私がしてあげましょう、この事件のナゾトキを…。貴方が私に『探偵』だと自己紹介したときに、私も言ったわよね...犯人の物語―episode3 ナゾカケ②―
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「答えがひとつとは限らない。それを確認する術ももうじき消えてなくなる。ほら君のすぐ目の前にいるその名前をさあ言ってごらん。この僕の名前を。」
今度ははっきりと意識があった。しかし、口も手も自由に動かせなかった。まるで始めからそうなることが決まっているかのように、所定の位置に腕が動き、口が言葉を紡いだ...犯人の物語―episode3 ナゾカケ①―
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バタンッ…
僕は本から放り出されるように、擦り切れたカーペットの上に吐き出された。
「ほう。関心だな。」
「なにがです?」
僕はぶつけた頭の痛みに苛苛しながら、館長の男に聞いた。館長の男は開かれたままになっていた本に手を伸ばしぺらぺらとめくる。
「ああ、なるほどそれでか。中でお馬鹿共がテキトーなこと...犯人の物語 ―ナゾトキ・ナゾカケ・ぼくにピアノを弾かせて(間奏②)―
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「ひとつめのナゾは…」
僕はピアノの脇にいる君のほうを振り向きつつ左手の人差し指を立てる。
「何故彼がひとりの部屋で、毒入りのワインを飲まなければいけなかったのか?」
君は黙っている。僕はそれをいいことに話を先へと進める。
「理由は簡単。彼はあの時死ぬべき宿命と決まっていたのだから。」
僕のこのなん...犯人の物語―episode2 ナゾトキ③―
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僕は自分の分のグラスを空にすると無慈悲な眼を床の男に向けて立ち上がった。僕の分のグラスは持ち去った。
レオンは日記に書かれているように、相当人間不信に陥っていたようだ。その証拠に玄関から僕が今いるこの部屋まで来るのに誰も使用人に会わなかったのだ。しかし洋館の中に人の気配はある。あらかたレオンが、一人...犯人の物語―episode2 ナゾトキ②―
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10月_4日晴_のち_り
何故だろう?嫌な予感がする…俺が親父から任されたパーティーは三日後に迫っていた。俺にはどうしてもそのパーティーで何か起きそうな予感がするのだ。
備えあれば憂いなしと言うだろう。俺はこの日記にパ...犯人の物語―episodde2 ナゾトキ①―
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グイッ…
本の終わりに書かれていた「fin...」という文字を読んだ途端に僕は襟首を後ろに引っ張られるような感覚に襲われた。そして、視界は病室ではなく元の図書館に戻っていた。
タタタタタタタ、タタタタタン…タラタラララ、タンタンタタタン…
放心している僕の耳に入ってくるメロディー。僕は驚き振り向くと...犯人の物語―ナゾトキ・ナゾカケ・ぼくにピアノを弾かせて(間奏①)―
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「青山!」
「伊藤!」
「鏡音!」
今日は一年生最後の日。担任の先生がぼく達に通知表を渡していく。ぼく達の学校にはクラス替えが無いし担任の先生も変わらない…でも、ぼくは君と一緒にいられない。一週間後、ぼくは父さんの仕事の都合で田舎の街に引っ越すことになっていたのだ。父さんは支部長になるのだから栄転だ...犯人の物語―episode1 ぼくにピアノを弾かせて③―
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あれから八ヶ月がたった。それでもぼくと君の距離は全く変わっていなかった。相変わらずぼくは君に話しかけることも出来ず、気づけば二学期が終わってしまっていた。それでもぼくは、ぼくが君を知っているだけで幸せだった。例え、これ以上近づけなくとも…
タッタータター、タッタータター、タッタータタータ、タタタタタ...犯人の物語―episode1 ぼくにピアノを弾かせて②―
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タッタータター、タッタータター、タッタータタータ、タタタタター…
ぼくはピアノに向かいリズムを奏でる。両手がピアノの上を滑るように走る。低い音を重ねたレクイエム…
桜の散る街。今日でぼくの母が死んでから丁度一年になる。ぼくは涙を堪えながらピアノを弾く。開けた窓から響く音は外へと広がってゆく。ぼくは目...犯人の物語―episode1 ぼくにピアノを弾かせて①―
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僕は鏡音レン。他人からは世紀の名探偵だなんて呼ばれている。今はこの街で1つの探偵事務所の所長を務めている。十代の少年にしたら出来すぎた快挙だろう。そんな所長の椅子が身体に馴染み始めた頃、一人の老婆が僕の事務所を訪ねてきた。何でも半世紀以上も前に起きたある凄惨な事件について調べて欲しいというのだ。僕も...
犯人の物語―ナゾトキ・ナゾカケ・ぼくにピアノを弾かせて(プロローグ②)―
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ある街はずれの洋館。海岸の傍に立つその建物はかつて貴族の屋敷として建てられ、現在は豪勢な図書館となっている。しかし、かつてそこは…ある凄惨な事件の舞台となった場所でもある。
ギィィィィィ…
何年ぶりに扉が開かれたのだろう?一人の少年が洋館の入り口に立っていた。あの凄惨な事件のせいだろうか?いや、そう...犯人の物語―ナゾトキ・ナゾカケ・ぼくにピアノを弾かせて(プロローグ①)―