タグ「サイバー・サバイバー」のついた投稿作品一覧(9)
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数時間前。
「久しぶりだね、義兄さん」
カウンター越しに対面した少女は肩で切り揃えられた緑の髪で、耳の横、一部だけを長く伸ばしている。店内だと言うのに小型のスクーターを押して入ってきて、当然のごとく、ガコッ、とスタンドを立てた。
『…相変わらず、お前は行儀がなっていないな』
営業用スマイルは早々に引...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【7】
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「もう大丈夫、容態はだいぶ落ち着いたみたいね」
赤い服の女が言って、にこりとレンに微笑んだ。清潔そうな白いベッドには淡緑色の髪をした少年が、すっかり落ち着きを取り戻したように安らかな呼吸を繰り返している。
「あ、あの。ありがとうございました」
ぼんやりと少年を見遣っていたレンだが、女の言葉に慌てて頭...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【6】
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水に溺れているような感覚。
重く纏わり付く闇と、呼吸さえ許されない圧迫感。
…ああ、死ぬんだ。
薄れていく意識が漠然とそんなことを考える。
結局ボクは、何も変えられないまま、こんなところで…
そのとき、最期の赦しを求めて伸ばした右手を誰かが掴んだ。
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地上のリンを追って、無茶苦茶に振り回される...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【5】
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メインストリートでは大型バイクに通行規制が掛けられているため、遊歩道を押して歩く。KAITOに主電源を落とされて静かになったフロートボードの方は、当然のごとくレンが抱えていた。
「結局、そのフロートボードに関しては収穫なし、か」
解ったことといえば、内蔵PCのメモリに膨大な数のパスロックが掛けられて...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【4】
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【¢ity】メインストリート。
「…それでさ、レンは、『絶対に俺のじゃない!!』って言い張るんだよねー」
磨き込まれた木製のカウンターに肘を突き、差し出されたグラスを呷る。中身は何の変哲もない水なのだが、リンがやると、いやに様になっている。柄が悪そう、という点において。
ショットバーのような内装の店...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【3】
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呆気ない幕切れ。最後の一体が0と1とで構成された粒子と化して砕け散り、100だの250だの、宙に青白い文字を浮かべる。何か、意味のある数字なのだろう。それを見遣った少女がショットガンを肩に担いで溜息を吐く。
「…やっぱり、この程度のモンスターじゃ殆ど稼ぎにならないわ」
指先で数字を摘む。少し迷った後...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【2】
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ありきたりな日常。時々、無性に嫌気が差す。
けれどもそれは、必ずしも即物的な現実逃避を求めるものではない。
言ってみたいだけ。ちょっとした口癖。
所詮はその程度のことなのだ。
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クリプトン郊外。
深夜の住宅街に突如爆音が響き渡る。
周辺住民の安眠など全く考慮しない音圧と衝撃が窓ガラスを震わせて...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【1】
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【¢ity】郊外。
人気のない大通りを一台の大型バイクが疾走する。それを駆るのは金髪の少女。黒の一眼式ゴーグルに、通信用インカムを装着している。風圧で、頭の黒いリボンが引き千切られそうな勢いで靡いている。
「…まったく、しつこいわね!!」
バイクの風防をモニター代わりに、映し出したナビゲーションマッ...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【0】
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*あらすじ*
《サイバー・サバイバル》と称される非合法のソーシャル・ネットゲームが侵食する都市・クリプトン。
クリプトン郊外に暮らす少年・鏡音煉は、ある古びたフロートボードを拾ったことでゲーム世界に干渉してしまう。プログラムに参加者=“サバイバー”として認識されてしまったレンは直後、現実世界には存在...【ラノベ化企画】サイバー・サバイバー【設定資料集】