「カイト」
私は、幸せそうにアイスを食べるカイトを見つめて、
「・・・過去って、どこからが過去なんだと思う?」
と、聞いてみた。そしたら、
「・・・マスター、口開けて下さい」
「え、今、大事なこと聞いたのに・・・」
カイトの言葉に、目を丸くする私。
「そうやって、思い悩むのはマスターの悪い癖ですよ。たまには、甘いもの食べないと」
そう言って、にっこりと笑うカイト。
「・・・そうだね。ありがと、カイト。そっか、思い悩む・・・かぁ。確かにそういう癖あったのかも」
数年前よりも確実に成長しているカイトの言葉が、まるで今まで気づけなかったことを気づかせてくれたような気がする。
「カイトがこっちの世界に来たら、多分、ずっとカイトのことしか見てないと思うよ」
「じゃあ、今すぐにでも、マスターが本来居るべき世界に行きますよ」
にこにこして言うカイトの表情を見ていたら、口ではそう言いつつも本気で言ってないんだなって思う。
「・・・カイトが、居たらいいのに・・・」
私は隣にいるカイトにもたれてみる。この世界では、こうして、今確かに触れられる。その姿も目にできるのに・・・。
「・・・マスター、1つだけ言っていいですか」
「何?」
「過去は、人それぞれの長さです」
「・・・それで?」
「時には、生死をも超えることがあると思うんです。だって、どんな人格に生まれ変わろうとも、基本的には変わりませんから」
「へぇ・・・そうだね。そうだね。・・・そう、だね・・・」
不覚にも、ちょっとだけ泣きそうになった。
「何か、思い出したんですか?」
「にゃはは。・・・いくらカイトでも、教えなーい!」
すっかり元気になった私は、笑って言う。
「教えて下さい、マスター」
「どんなに時を経ようとも、変わらない・・・いい言葉だなー」
「・・・むー」
教えない私に、カイトは不満そうにする。
「じゃあ、1つだけヒント」
「何ですか?」
「共通点」
「・・・それだけですか?」
「これ以上は、言えないなー。少し難解だけど・・・って、少しじゃないね。すっごく難しい」
「私は苦笑いした。
「・・・そんなの、分からなくて当然ですよ」
「まぁ、私だけが憶えていればいいからさ・・・。過去は現在にも影響を及ぼす。それがたとえ、どんなに遠く昔の過去でも、ね・・・」
私は、再びカイトにもたれて、にっこりと笑って言った。
「だから、現在から遠い昔の過去を把握するのは十分可能だけど・・・多分、ほとんど分かんないと思うな」
「・・・」
カイトは、スプーンで少し溶けかけたアイスをすくって、
「マスター。・・・これからじゃないですか。だから、あーんして下さい」
と、言ってきた。
「それは、そうだけど・・・どうして、そういう方向に行くかなー?」
口ではそう言いつつも、内心はそんなにいやでもない私なのだった。
最近、妙に切ないのでカイトと話してみた。 【マスターとカイト】
こんにちは、もごもご犬ですこんばんは!
この作品で360個目の作品です!!←
角度で言えば、くるっと一回転ですよ!!←←
・・・あれ? なんかたとえおかしい。
まぁ、二回転目指して突っ走ろうかなと思います!
となると・・・720!? え、なんかすごいハードルが高い・・・。
・・・地道に頑張ります。他にも作品書いてるし。
次回も、お楽しみに!^^
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Kurosawa Satsuki
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