青い空には、雲ひとつなくて清々しいほど晴れ渡っていた。
雲に遮られることの無い強い陽射しが、燦々と私を照りつけるけれど、その熱は風に飛ばされていく。
冷たいうえに強い冬の風が徐々に体温を奪っていき、手の先から冷えていくのがよく分かった。
凍える手を強く握りしめてみたけれど、手のひらに爪が食い込むばかりでそこに温もりは見いだせない。

もし、この場にあなたがいれば、と思う。
あなたがいれば、私の手のひらはあなたの手のひらと重なり合って、爪が食い込むようなことはない。
あなたの大きな手が私の手を包み込んでくれるから、私はそれに応えるように握り返す。
そうすればあなたがこっちを見て笑ってくれて、私は恥ずかしいけれどそれに笑顔を返すのだ。
だけれど、ありありと鮮明に思い描くことのできる情景を、叶えることはもうできない。
あなたは死んだ。



声をかけても、名前を呼んでも返事をしなくて。
笑いかけても、静かに目を閉じたままで。
ごはんの時間になっても、起きてこなくて。

私が泣いたって、抱きしめてくれない。





立ち上る煙を見上げながら、私は空に手を伸ばす。
あなたはそうやってどんどん上に昇っていって、私には届かないところへ行く。
私に残るのは白いお骨と、思い出と、今でもあなたを愛してるという心。


すきだよ、だいすきだよ、あいしてる、いとしいよ。


あなたが死んだって変わらない。
私はあなたの死を受け止めたけれど、だけど今でもあいしてる。
もし私が歩み出して、新しい彼を作って、結婚して子供を産む日が来ても。
あなたをあいしてるよ。

恋愛感情ではかれないほど、あいしてます。
あなたが本当に大切でした、私の人生を染めあげるほどに大きな存在でした。
ありがちな言葉だけれど私の中であなたが生きているって、よく分かる。
この煙もいつか雲になって、雨を降らす。
あなたの煙が私を生かす恵みになって、世界を巡っていくそうです。
そう思えたら、これからもなんとか生きていけると思う。





もし遠い空から、この想いが聞こえるなら。
どうか返事を下さい。















ありがとう。




さよなら。





「サイハテ」 feat.初音ミク

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

サイハテ

小林オニキスPの「サイハテ」を聞いて。
ほんと泣ける。

閲覧数:797

投稿日:2008/11/21 08:37:24

文字数:942文字

カテゴリ:小説

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  • tou

    tou

    ご意見・ご感想

    >>駿河そるとさま

    初めまして、感想ありがとうございます。
    「サイハテ」は本当に悲しくて優しくて、私も好きな曲なので、それを形にしたこれに感想をいただけてとても嬉しいです。

    2008/11/26 20:32:46

  • 駿河そると

    駿河そると

    ご意見・ご感想

    初めまして!
    「サイハテ」は好きな曲の一つです。悲しくて、でも優しい曲ですよね。
    作中の「恋愛感情ではかれないほど」という一文がとても素敵だと思いました(*´∀`*)「サイハテ」の雰囲気がよく出ている作品だと思います。

    2008/11/21 17:50:43

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