ちらちらと、柔らかな光を放つのは雪。
何度見たのか、もう数えきれないほど、
それは当たり前の風景。
冬が来れば雪が降って、
春が来れば雪は融けて、花が咲く。
夏が来れば蝉が鳴いて、
秋が来て木々の葉は散っていく。
命には終わりがあって、
私にも同じようにそれがあること。
ただそれが他の人よりも少しだけ、
早く訪れたってだけ。
そう自分に言い聞かせて、
たとえ強がってみせても、
君は騙されてくれないのね。
君にとって当たり前なのは、私と一緒にいること。
その当たり前が崩れるのを知って、君は見たことも無いような顔をした。
ぼやけて見えなくなってきた私の目にも、それははっきりと分かった。
「…リン、ご飯食べよ」
リンの横たわるベッドのサイドテーブルにお盆を置き、
柔らかな笑みを見せた。
「……れん、レン」
確認するように小さく呟いたリンに、ここにいるよ、と囁く。
彼女の白い頬に触れ、以前よりも更に頬骨を確かに感じ、
彼女に気付かれないように、眉を顰めた。
「今日のご飯はなあに?」
無邪気に笑ってみせる彼女に、レンも笑顔を見せた。
「今日のご飯はね、イタリア風だよ。
カルボナーラと、トマトとチーズのサラダ。
あと、リンの好きなコーンスープ」
レンの言葉に小さく歓声をあげるリンの背中に手を回し、
枕に寄りかからせてやる。
話していながらも、彼女は眼を瞑っているままだ。
ふざけているから、とか
ただ眠いからなんて理由ではない。
彼女の眼はもう、ほとんど見えないのだ。
なにもかもが、ぼんやりと歪んで見えてしまう。
生まれながらにして病弱だったリンは、
よく風邪をこじらせては、外で遊ぶレンに、
連れて行ってと泣いていたものだ。
双生児の彼らだが、全く違う体質を持っている。
レンは風邪をひくこともなく、元気な生活を送ってきたのだから。
そんな彼は、彼女の事を幼いうちから気にかけていた。
自分が健康なのは、
全部彼女に悪いものがいってしまったせいなのか、と。
後ろめたさを感じていたレンは、いつもリンの世話ばかりしていた。
彼女が辛そうにしていれば泣き、彼女が笑えるように、
大好きなおやつも自分の分もあげた。
だが彼女は成長するにつれ、そんなレンを気遣うようになった。
辛い時も無理に笑い、逆に彼を苦しめた。
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ヘルケロ
ご意見・ご感想
ヘルフィヨトルです。
原曲も先ほど聞いてそれから読みました。
うまいと思いますよ。
これはまだ途中なきがしますが…………
2009/07/29 06:32:54