タグ「鏡音レン」のついた投稿作品一覧(91)
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次の瞬間には、ミクの姿が消えていた。
「ーーやばっ」
咄嗟に回避行動を取る。といっても、見えないのでその場から横に跳ぶしかなかったのだが、それが正解だった。カイトが跳んだ一瞬あと、さっきまで座っていたテレビがスライスされていた。
「なるほど、その爪で、切り裂いていたんだね。それじゃあ鎌鼬とは呼べ...無頼 その5(終)
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レンはこの街が好きだ。
特に観光名所があるわけでもなく、特別物価が低いわけでもないが、なんとなく雰囲気があっていた。
この街と、もう一つしかレンは知らないが、もう一つが特段ひどかったがためにそう思えるのかもしれないが、この空気が、匂いが、歩いたときの感触が、聞こえてくるものが、見え...無頼 その4
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「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……あの」...無頼 その3
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カイトの指示で、メイコとレンが事務所を閉店させる。カーテンを閉め、扉に『close』の札を下げた。ミクはそれをずっと見ていたが、閉じ込められたなどの恐怖はなかった。それぐらいのことなら、もう予想はできていた。
「じゃあ、改めて訊こうか。ミクちゃん。依頼は?」
「……助けて、ください」
「なに...無頼 その2
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「ここに行くといい」
その少女のーー初音ミクのーー記憶はそこから始まる。
そこはどこかの薄汚れた路地裏で、太陽にさえ見捨てられたような、一日中日の当たらない場所だった。不法投棄されたゴミが散乱し、けれどそれを注意する人も、気にする人もいない。ネズミとコケが繁栄し、不潔極まりない場所で、ミ...無頼 その1
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3
「にしても、よく似てる」
「なにがです?」
「キミと、前にあった鏡音レンに。同一人物ってことはないよね?」
「さっきは全く違うって言ってませんでしたっけ?」
「いや、その推理を聞いてたら、なんとなくね。その鏡音レンも、切れ物だったからさ」
「そうなんですか。でも、俺は会ったことないと思いますよ。...その鏡音レンは、選択する その3(終)
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その青年の通っている大学は、主に電気関係を教えているらしかった。といっても。大学の勉強を俺が聞いてもわかるはずがない。電気関係というと、ロボットを作っているのかと思ったが、その基礎を学んでいるとのことだった。
「大学と高校や中学の違いはたくさんあるけど、一つは授業かな。高校とかは『これを受けろ...その鏡音レンは、選択する その2
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「実はね、キミのような鏡音レンに会うのは、二度目なんだ」
青年は、そう言った。腕を組んで、それが誇りなのか、偶然に驚いているのか判断つかない笑いを浮かべていた。「答えになったかな?」
俺は頷く。「はい。それで、俺に驚かなかったんですね」
「驚いたは驚いたね。なんせ数年前のことだ。あれは僕が勝...その鏡音レンは、選択する その1
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「素晴らしい!」
男性は手を叩いて俺を賞賛してくれた。本当はミクにも拍手を聞かせるべきだが、まだネットの穴がないので聞かせられない。
「その通りだ。いやー、まるで名探偵だ。すごいよ。本当に気に入った」
「いいんですか?」
「なにがだい?」
「俺は、もうあなたが殺人を犯したことを知っています。...その鏡音レンは、奮闘する その7(終)
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「あなた、俺になにを期待していたんですか? ここ数日、俺の行動は、なんに意味があったんですか?」
「行動? そんなの訊いてどうすんだい?」
「単なる興味ですよ」
ジウワサ アタナと、コイツと。俺になにをさせようとしていたのか。なぜ架空の妹を探させたのか。
「それくらい教えてくれてもいいでしょ...その鏡音レンは、奮闘する その6
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俺がパソコンに戻ったのは、ミクの助言を聞いた、次の日だった。その日は土曜日で、一般的には休みの曜日だった。
「今、帰りました」
俺が声を出すと、「ん?」と画面外から声が聞こえた。どうやら今日は休みらしい。新聞を読んでいたのか、片手に持っていたそれを脇に置く。「やっと戻ってきたか」
「すいませ...その鏡音レンは、奮闘する その5
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次の日、俺はなんとなくアタナのパソコンに行きたくなくなった。なんだか人が変わってしまったようだった。事情が変わったと言っていたが、それにしてはなんだか切羽詰まっているように見える。そんなに妹の詞や曲が見たいのだろうか。だが、だったら直接訊けばいいのだ、わざわざ俺に頼む必要はない。
妹に知られ...その鏡音レンは、奮闘する その4
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ミクから別れて、その日一日は妹さん探しに精を出した。普段はあまり行かないサイトに足を伸ばし、ジウワサ キミカを探した。初めて行く場所にはボーカロイドもいくつかいて、そこで世間話になど花を咲かせながら妹探しの協力を依頼した。容姿や特徴を訊かれて困った場面もあったが、アタナとそっくりだということでア...その鏡音レンは、奮闘する その3
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アタナのパソコンから出ると、初音ミクが居た。俺が出てくるのを待っていたようで、ニタリと笑って挨拶をしてくる。その態度からどうやら、ボカロを殺そうとしたミクさんと予想する。
「どうだい、調子は」
「まあまあだね」
「恋は順調かい?」
恋か。恋ねえ。
「よくわかんない。恋って思ったより難しいみた...その鏡音レンは、奮闘する その2
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ジウワサ アタナのパソコンに入る前、俺は初音ミクと会った。
「やほ」と軽快に挨拶をしてくる彼女に俺もまた「やほ」と返す。多少ぎこちなくなってしまっただろうが、その辺は無理くり相手に合わせたため起きてしまったことだ。仕方ない。そのとき俺はアタナのパソコンに繋がる穴に片足を突っ込んだ状態だったのだが...その鏡音レンは、奮闘する その1
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次の日、学校から帰ってきたタカラは、パソコンを一瞥し、そのまま何事もなかったかのように振舞おうとした。俺が先に話題を降る。
「で、条件だけど」
「まだなにも言ってないだろ」
「うん。言ってない。でもその態度でわかるさ」
嘘が得意な人だったら、もっと上手くやれただろう。ノートが見つかったとし...その鏡音レンは、推察する その6(終)
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「状況をいくつか整理しようか」俺からタカラに提案すると、どうぞと言わんばかりに鼻を鳴らした。
「タカラはどこを探したの?」
「考えられる場所全て。最初はノウアライの机の中だな。でも、なくて、そこから俺が置き間違えた可能性もあるから、その前後左右の机も。あとは、教卓も探したかな」
なぜ教卓かと聞...その鏡音レンは、推察する その5
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タカラのパソコンは、俺が出て行ったあともずっと付けっ放しになっていた。俺への配慮ではなく、電源を落とすことがあまりないらしい。タカラのパソコンはデスクトップであるようなので、使わないときは画面の電源だけを落としているようだ。
画面がついていようが付いていまいが、俺から見える景色は変わらない。...その鏡音レンは、推察する その4
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「はあ……」
ため息なんていつ以来だろう。長い長い息を吐く。そして、ようやく解放された安堵からなのだろうか。タカラのパソコンを出たあと、俺はその場に座りこんでしまった。
「長かった」
要約してしまえばほんの少し。なのに、途中で入る私情によって話が逸れて戻って膨れてしまったのだ。もし俺が先を促...その鏡音レンは、推察する その3
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タカラに会ったのは、今から三日前のことだ。いきなり喋った俺にタカラは戸惑った表情を見せたが、思いのほかすぐに慣れてくれたた。見た目から学生とわかっていたので、もっとオモチャにされるかと思ったが、あまり深いところまで訊いてこない。むしろ自分と比較してばかりだった。
『お前はこうか。オレはこうだ...その鏡音レンは、推察する その2
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「条件がある」
俺の言葉に、タマテ タカラは言葉を失ったようだった。そのまま教えてくれると思ったからだろう。普段なら俺もそうしていた。取引なんかしたって、得るものはあまりない。俺と人間との取引は、いつだって形のないものばかりだ。向こうからこちらになにかを送ることはできないし、俺から贈り物もでき...その鏡音レンは、推察する その1
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記録がない。しかも残業時間が厳しいとなれば、もう答えは出たも同然だ。そのKさんは、借りたカードで会社を出たのだ。そうすれば、退室記録は残らない。カナグルイさんは、Kさんに声をかけたあとほかのフロアを見て回っている。その間にKさんが会社を出ることは十分考えられる。
「でも、彼女は今日はちゃんと...その鏡音レンは、解決する その6(終)
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「消えたというのは、失踪という意味でしょうか?」
俺が訊くと、カナグルイさんは「違う違う」と笑いながら否定した。
「ちょっと言い方が悪かったかな。その人……仮にKさんとしようか。Kさんは今日もちゃんと会社に来てた。僕が見たから間違いない。でも、Kさんが会社から出た記録がないんだ」
「出た記録...その鏡音レンは、解決する その5
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次にパソコンの画面がつくまでの間、俺はゲームをしていた。地雷探しゲームだ。小さな正方形がタイル状に綺麗に敷き詰められており、その下に地雷(もちろん本物ではなく、ゲーム上の表現だ)が隠されている。ゲームが始まった直後がヒントもなにもないが、正方形のひとつを選ぶと、地雷か、数字か、空欄のどれかが現...その鏡音レンは、解決する その4
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「寝るときはパソコンを落とす」ということなので、俺は早めに退避することにした。次にパソコンをつけるのは明日の夜になるという。
「仕事があるんだ。早く帰ってこれればいいけど」
カナグルイさんはそう言って笑った。カナグルイさんの仕事は、どこかの会社の警備員をしているらしかった。
俺の中で警備員と...その鏡音レンは、解決する その3
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先ほど会った人間には説明をしなかったのに、ボーカロイドに説明をするというのはどこかあべこべであるような気がした。もう忘れてしまったが、俺も最初はそうだったのだろうか。『ノラ』とか『空っぽ』とか、今はすっかり当たり前になっているものでも、改めて説明しようとなると上手い言葉が見つからない。
わか...その鏡音レンは、解決する その2
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空っぽの『鏡音レン』を見つけたのは、全くの偶然だった。
そのときの俺は、電子の海をふわふわと漂っていた。余談だが、俺はこの「電子の海」という表現をとても気に入っている。本物の海を見たことはないが、きっとこんな感じなんだろうなと思いながら漂っていると、不思議な気持ちになるのだ。俺が産まれた場所...その鏡音レンは、解決する その1
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「見えない」というものはそれだけで興味の対象になり、人々(大げさかもしれないが俺が出会った人はみなそうだった)の想像を掻き立てるものだということを俺はこれまで嫌というほど学んできた。
「見えない」なら「見えない」でいいじゃないかというのはコッチ側の意見であり、人間側はそう簡単に割り切れるものじゃ...その鏡音レンは、思考する
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興味ないかも しれないけどさ
恋愛がまた 恋と愛に 戻ったんだ
面白いくらい 後腐れなく
楽しいがまた 楽しかったに なっていくんだ
やっぱり信用しちゃいけないね
世界で一番 ぼくは ままならない
あんなに大好きだったはずなのに
今は一日だって 忘れていられる
こうやって歌にできるほどには
綺麗で気...C
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くーらー こわれた きょうは そう ねったいや
まどは ぜんかい にして うちわを そうび
せんぷうき くびふり せってい なつばの とうしを ぼうし
ねころんだ だけなのに いきが みだれた
みぎて ひだりて きゅうけい そして また みぎて
あおぐ たびに ふきでる あせで おぼれそう
にぎれば...くーらー こわれた ねったいや