上月物子の投稿作品一覧
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(10)
ある日、ふたりが何時ものようにおやつの時間を過ごしていると、麻の包みを持った兵士が部屋に駆け込んできました。折角のお楽しみの時間を邪魔されて、リンが露骨に機嫌を悪くして文句を言おうとするのを制して、レンが立ち上がりました。
「確かにあの女のものでございます。」
滑り出てきたのはそれは見...悪くて可哀想な双子 (10)
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(9)
あれから、リンが青い国の王子さまと踊っていると不意に音楽がとまり、人々のざわめきの中から緑の国のお姫さまがあらわれました。そのドレスは白と水色の生地に、銀の飾りをあしらっています。それはリンのドレスのように特別な細工や、贅沢な宝石も無いシンプルなものでしたが、長く豊かなエメラルドグリーンの...悪くて可哀想な双子 (9)
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(8)
海の向こうに渡る為に王女さまはとても大きくて豪華な船を作らせていました。国の外に出るのなんて殆どはじめての事だったのですから、王女さまがはしゃぐのも無理はありませんでした。レンは船旅を心から楽しんでいる女王さまの様子にとても満足していました。国中の人も、この二人だってまさかこの船旅が血みど...悪くて可哀想な双子 (8)
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(7)
二人は14歳になりました。王女さまの周りのひとたちはしきりに王女さまに結婚を勧めるようになりました。王さまの子孫はリンとレンの二人だけで、もしも二人に何かがあったら跡継ぎが誰も居なくなってしまうからです。しかし彼らが勧めてくるのは死んでしまった王さまのように年をとった人ばかりだったのでリン...悪くて可哀想な双子 (7)
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(6)
そんな召使が笑顔を見せるのは女王さまだけでした。どんなに大変で忙しいときでも女王さまが、
「あら、おやつの時間だわ」
と言うと、焼き菓子を山盛りにしたお皿や、果物でいっぱいの籠を持ってきて、それを見て目を輝かすリンを見るときのレンはとても幸せそうに笑いました。レンはリンの傍らにたって、...悪くて可哀想な双子 (6)
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(5)
その次の日は大騒ぎでした。亡き者となっていた筈の弟を王女さまが従えて歩いているのですから無理もありません。喜んでくれる人もありましたが、大臣たちは苦々しそうな顔をしていました。ひょっとしたらレンが王女さまに余計な事を吹き込むのではないかと心配だったのです。ですから王女さまは彼らに、
「...悪くて可哀想な双子 (5)
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(4)
「レン…!」
あれから10年ちかくの月日が経っています、やせ細ってはいるけど男らしくなっていました。体中が汚れていましたが、目だけは澄んでいてまっすぐリンを捉えました。リンは直ぐに牢屋の鍵を開けてレンを連れ出そうとしました。しかしレンはただ力なく微笑むだけで外に出ようとはしません。リンに...悪くて可哀想な双子 (4)
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(3)
何年もの月日がたって、二人は13歳になったころ、王さまとお妃さまがあいついでなくなりました。王さまは死ぬ前に、
「私の大切な娘の表情が一瞬でも曇る事がないように、もしもその様な事があったら私に刃向かった者として家族もろともみせしめに殺してやるからな」
と言い残しました。臣下たちは深...悪くて可哀想な双子 (3)
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(2)
それは二人の5歳の誕生日の時に起こりました。その日の王さまはとても機嫌がよく、そのお祝いは例によってとても豪華なものになりました。特にリンのドレスは、国の中でも一流の職人を何人も呼び寄せて、一番の素材を幾らでもあつめてきて作らせましたから、そんなすばらしい衣装を身に纏ったリンはどれだけ美...悪くて可哀想な双子 (2)
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(1)
二人は成長するにつれて、見た目はお母さんに似てとてもかわいらしいのですが、性格の方は全然別になりました。リンは明るく強気でわがままでしたが、レンは大人しくて本ばかり読む賢い子でした。その頃には既に王さまはリンだけを特別に扱うようになっていました。王さまはお城の中を歩き回るのにもリンばかり...悪くて可哀想な双子 (1)
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!! CAUTION !!
これは悪ノP様の言わずとしれた名作「悪ノ娘」と「悪ノ召使」を見て感動した上月がかってに妄想を爆発させたそのなれの果てです。
・当然の事ながら悪ノP様とは何の関係もありません。
・勝手な解釈を多分に含みます。
・ハッピーエンドじゃありません。(リグレットとの関連も無いものと...悪くて可哀想な双子 (0)