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それは、心を震わせる。
それは、心をざわめかせる。
そんな、落ち着かない感情の名前を、僕は何と呼ぼうか?
……漣 四……
戻って来た屋敷は、出て行った時と変わらず、静寂の中に沈んでいた。
「少し…遅くなったな……」
もう一度、懐中時計を確かめる。
もう日付は変わって随分過ぎている。い...君戀フル櫻ノ物語 六
月美夜琴音
こんなにも世界が色を持っているなんて知らなかった。
今、鮮やかに浮かび上がる世界の中で、あなたの存在が、まるで奇跡のように輝き出す。
……綸・漣 三……
夜桜の隙間から十六夜の月の光が零れ落ちている。その光に触れられそうな気がして、綸はそっと手のひらを上に向けて手を差し出した。
鼓膜を優し...君戀フル櫻ノ物語
月美夜琴音
春は、嫌いだ―――
連は立ち並ぶたくさんの桜を見上げた。
鮮やかに、そして時には妖艶に、自分を誘っているようだった。
月に桜が映える夜だった。
そう、あの夜も、こんなに月が綺麗だったな…
連は目を閉じた。
嘗て絶望の底に幾多の命が消えていった、大災害。
人々は後にそれを関東大震災と名づけたが、どう名...夢桜~終わらないセカイの夢~
楪 侑子@復活!
春は、嫌い―――
鈴は密かに肩をすくめた。
桜の花が綺麗だけれど、どうせすぐに散ってしまう。
春は別れの季節。
鈴は桜が散る頃に神威の家に嫁ぐ。
それは、慣れ親しんだはずの大好きな家を離れるということ。
何一つ不自由のない暮らしを約束させられているというのに、春が嫌い?
鈴は再び肩をすくめた。
「今...夢桜~色褪せたセカイの夢~
楪 侑子@復活!
それは、必然。
なぜならば、二人は出逢うために生まれてきたのだから。
今
二人の物語が、はじまる。
…綸、漣・二…
足の裏から強烈に響いてきた痛みに、綸は身体を震わせて立ち止まった。
「……っ……はぁ…はぁ……」
立ち止まると、勢いよく暴れた呼吸が胸を叩き、頬を汗が伝う。そのまま視線...夢戀フル櫻ノ物語 三
月美夜琴音
…漣・一…
「……っっ――!!!」
自分の悲鳴が鼓膜を内側から振るわせた気がして、思わず眼を見開く。
それから、そこが自分が書生として暮らしている屋敷の自室だとわかり、漣はほっと息を吐き出した。
「…夢…か……」
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
僅かに開いた窓の隙間から吹き...夢戀フル櫻ノ物語 二
月美夜琴音
ひらり、はらり。
十六夜の月明かりに、また、ひらり、はらり、と。
その音に、名前を呼ばれた気がして最初に顔を上げたのは、どちらであっただろう。
もう、そんな記憶すら定かではない程に、アナタを想う心が震え出す―――。
【夢戀フル桜ノ物語】
…綸・一…
石畳の街並みは、既にあの大災害の傷跡...夢戀フル櫻ノ物語 一
月美夜琴音
奏でているよ… 終わらないセカイの夢
―――夢桜―――
「なぁ」
上から掛けられたその声に、蓮はゆっくりと顔を上げた。時代の境目に起きた戦争の名残、辺りは未だ焦げ臭い匂いと赤黒い世界が広がっている。
連は目の前に立つ男に視線を移した。
男も、訝しげに自分を見る蓮の姿を瞳に映す。
10代前半の背格好...【自己解釈】 夢桜 ver,蓮 【ひとしずくP】
衣恋@ついった
夢見ていたい終わらない世界の夢。
―――夢桜―――
「凜!」
春の訪れを感じさせる季節。桃色の桜が美しく咲き始める頃、父が主催する社交会に出席していた少女は、ゆっくりと振り向いた。
肩のあたりで切りそろえられた綺麗な髪を後ろで結い、桃色と紺の袴を身につけたその少女は、声を掛けた人物の顔を見て、端正な...【自己解釈】 夢桜 【ひとしずくP】
衣恋@ついった