タグ「メグッポイド」のついた投稿作品一覧(24)
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そんなある日、少しだけいたずら好きなつむじ風が、二人の世界を吹き抜けました。
鏡を通じて、二つの世界を行き来し、リンとレンの目を盗んで微風と嵐、それぞれに会いに行ったのです。
そして、微風には、
「はじめまして、微風。私はつむじ風。あなたと同じくらいの、小さな風です」
といい、嵐には、
「よ...風 2
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-喪失-
しばらくその場に音はなかった。ヒュウ、と風が無神経に三人の間をすり抜けてどこかへながれていった。
「…制裁…」
「はい。それをこなさないと依頼完了にできないんです。それで、制裁の方法を決めていただかないといけないんですが」
「本人に選ばせるなんて、嫌なことす...記憶屋・心屋 5
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-殺人者-
離れていく君は悪魔か死神か、そうでなければ気が狂ってしまったピエロ――幼いころの優しかった君はどこかに消えて、今そこにいる君は違う君。君はいつからか心から笑うことをやめ、怪しげな微笑をもって他人を蔑むことが多くなった。そんな君が怖くて、でも、君が離れて...記憶屋・心屋 4
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何事もなかったのかのように戻ってきたカイトに肩を借りつつ、メイコがよたよたと戻ってきた。素早く行動を示したのはルカだった。痛そうに腕を押さえるメイコを肩を貸し、壁伝いに座らせると、そっとメグにアイコンタクトを送った。それに応じるようにメグが頷き、メイコの前に進み出て傷口に触れる。その瞬間、メイコが...
今日も双子日和 16
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また、しばらくの間、休憩時間だ。
「リン、レン、凄かったわ!」
長女らしく、妹と弟を正直に褒める。
「本当!いつの間にあんなうまくなったの?」
両手を合わせて頬に寄せると、ミクが笑う。
「…まあまあでしたわ」
褒めているのかいないのか、よくわからないがルカの反応はよろんでいいのだろう。
「か...今日も双子日和 13
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「あ、デルさん…。おかえりなさい」
薄暗い部屋に帰ってきた銀髪の青年を、同じく銀髪の女性が申しわけなさそうに出迎えた。女性の前を素通りし、先ほど氷山から受け取った機器を弾くように女性のほうへと放り投げ、奥の椅子に腰掛けた。プラズマ画面が表示されると、女性へ呼びかける。
「読み込め。報告するものはバ...今日も双子日和 10
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少し汗をかいた様子で上着をパタパタと前後に動かして風を起こしながら、メイコがカイトを引き連れて五人のもとへ帰ってきた。一番素早く動いたのは、ルカだった。あまり疲れた様子のないメイコに寄り添うように歩いてきたカイトを突き飛ばし、メイコに突進していく。そのルカを慣れた様子でひらりとよけ、メイコは大きく...
今日も双子日和 9
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数分後、七人が(主にリンレンが)心待ちにしていたイベントの開始を告げる、美しいベルの音が響き渡った。
『――大会参加登録者ノ皆様、対戦組ミ合ワセガ決定シタシマシタ。モニターヲゴ覧クダサイ――』
ドーム内の巨大モニターに映し出されたのは、これも大きなトーナメント表。それぞれ、登録するときに取られた...今日も双子日和 7
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かくして、某マスター宅のボカロたち、『メイコ』『カイト』『ミク』『メグ』『ルカ』、そして新入りの『リン』、『レン』の七人は、某大会に出場することが半ばメイコに強制されたようなカタチで決定した。
少人数のチーム戦。
二人一組、あるいは三人一組だ。
三人一組の場合、不公平さをなくすために対戦する...今日も双子日和 6
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まだ少し緊張している二人を、下の女子組み二人がちやほやする。後二人のお酌と肩揉み、マッサージとおつまみ作りにネイルアート…つまり、身の回りのことは何でもやっている。
ふと、メイコが思い出したように言った。
「適正診断をしなくちゃあね」
「適正診断?」
二人は双子らしく声を合わせて聞き返した。ち...今日も双子日和 2
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休日の午後、とあるマンションのとある青年の住むマンションのチャイムがなった。
「ごめんくださーい。お届け物でーす」
待っていましたと言うように素早く対応し、ドアを開く。運ばれてきた荷物を見て、青年は目を輝かせた。たいした大きさではない。小包。判を押して、荷物を受け取ると、いとおしそうに荷物をぎゅ...今日も双子日和 1
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そのとき、携帯電話かなにかの着信音がなった。
とっさに三人全員が自分のポケットをあさった。しかし、レンとカイトのポケットからは何も出てこず、携帯電話はルキの服のポケットから出てきた。
「…済みません、すぐ終わらせますから」
そう言って二人にまた頭を下げて、部屋に隅のほうに行って通話ボタンを押し...遠い君 16
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-第三十四章-
何かが破裂するような、乾いた音が廊下に響き渡る。広い廊下に反響し、何度も山彦のように重なって、次第に音は小さくなり、消えた。
その場に、リンが倒れこむ。しかし、リンは無傷だった。その手についた赤々と燃え盛るような紅のそれは――。
「レン、何、やって...真実のガーネット 35
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-第三十三章-
しばらくいくと、ひときわ大きな美しく豪華に縁取りされた扉の前に行きついた。
何度か深呼吸をし、扉をぐっと開いた。扉の向こうにいたのは、顔のよく似た金髪の少女と少年の二人だけ、他に人間らしき影は見えない。――猫はいたが。
中にいた二人は驚いたよう...真実のガーネット 34
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-第三十二章-
ひたすらに走り続ける。
行く先、直線上には何の障害物も見当たらない。人気(ひとけ)もなく、まるでこちらが敵の手の上で転がされているような、わざと泳がされているような風にすら思える。ぞっとするような感覚を抑え、メイトは一度、深呼吸をしてまた走り出した。...真実のガーネット 33
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-第三十一章-
まるで風があせりや不安を代弁するかのように、大きく木々を揺らして青々としたまだ若い葉を落としていく。街路樹がシンクロするように皆かぜに合わせて不安を大きくさせるように『ザァァァァアアアア』と音をならしていた。
「――大丈夫、だな」
そう、メイトが...真実のガーネット 32
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-第十一章-
リンは紙袋の中をごそごそと漁り、お目当てのものを見つけると嬉しそうにそれを取り出し、部屋を出た。進む先は勿論一つ、レンの部屋に他ならなかった。
コンコンと何度かノックし、反応ナがないことを確認すると、リンはにやりとわらってわざと中に聞こえるように、声...真実のガーネット 12
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-第九章-
いたずらっぽい笑みを浮かべたまま、メグはリンと向き合った。
「めぐって…」
呟いたリンの脳裏に、レンが書いたあの表が浮かんでいた。
ルカ リーア湖の畔 クォーツ
めぐ レオ山の麓の道場 エメラルド
...真実のガーネット 10
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-第八章-
街を見てまわっていたリンが、いきなりレンの手を引っ張って一つの店のほうへと歩き始めた。
「あっ、レン、あれみたい!」
「だって、もうそろそろ待ち合わせの時間…」
「少しくらい、いいでしょっ」
待ち合わせ場所へと急ごうとするレンを制し、リンはそのまま店の前へと...真実のガーネット 9
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-第七章-
「リン、今日は神威のところに行くよ?」
そういって、レンはリンを起こした。
眠気眼をこすりながら、リンはベッドから起き上がってくると、時計は既に昼の一時をまわっていた。部屋からレンを追い出し、どうにか着替えを始める。
あれから、一週間も経っていない。ルカ...真実のガーネット 8
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-RISK-
鋭い刃が舞うように宙を切る。
何度か美しい黄金色の背中をかすって、数本のやわらかい毛が床に落ちていくのも気にせず、毛を踏んで刀をかわす。
「避けてばかりではいつまで経っても私は倒せぬぞ!」
『…黙れ。そっちこそ、息切れしているだろ?』
「その言葉、...鏡の悪魔Ⅱ 7
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-FOX OF FLAME-
ゆっくりと近づいてくるレンは立ちすくみ、自分を凍りついたように見ていた主にそっと手を伸ばした。その手は、リンの細く白い喉へ――。
「きゃあっ」
軽いリンを押し倒し、レンが上に乗るような格好になってレンはその喉へかけた手に、力を入れていく...鏡の悪魔Ⅱ 6
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-ESCAPE-
二人が目覚めた部屋は最初にリンが通された部屋を同じような造りになっていた。所々違うが、その辺はいちいち上げていられない。まあ、一つくらいはあげておこうか、窓の横辺りにこげ茶の木目が美しい、大きな本棚が置かれていた。
二人――リンとランはまず、部屋の中...鏡の悪魔Ⅱ 5
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-AWAKING-
仕方がない。
気づかれてしまったからには、どうにか始末するか仲間に引き入れるしか方法はないのだ。しかし、彼が仲間を作ることを黙認するとは思えないし、彼女自身も仲間を作ることにまだ意義を見出せないで居るのだから、どうしたものだろう。
今のうちは...鏡の悪魔Ⅱ 4