タグ「雑音ミク」のついた投稿作品一覧(103)
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その朝は二度繰り返された。
自分の習慣に従い、行動した故に招いた事態である。
起床時にPDAを手に取り、メールの受信状況を確認するという行動である。
そして、それは繰り返されていた。
PDAの液晶画面には、確かにメールが届いていた。
送り主も、昨日と同じく。
しかし、その内容だけは繰り...I for sing and you 第三十二話「書置き」
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「ごめんね。勝手に上がりこんじゃって。」
その声は、ドアの向こうの、玄関のほうから聞こえてきた。
ミクオの声と、その影。
「ちょっと大事な用があったもんで。ホラ、朝のことだよ。この時間帯しか自由に動けないからね。」
朝のこと・・・・・・ミクオが博貴のことで何か言おうとしていた。
そうだ。...I for sing and you 第三十一話「真夜中の話」
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今日という日も、いつも通りありふれた朝を迎える筈だった。
しかし、目覚めと共に何気なく覗いたPDAに届いていた、一件のメール。
それが、ありふれた朝を非日常のものへと変貌させた。
メールの中身は、一件の動画と僅かな言葉が綴られた文章。
文章を先に目にした俺は、見れば分かる、という言葉のせい...I for sing and you 第三十話「厄日」
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ミク・・・・・・ミク・・・・・・。
誰だ・・・・・・わたしを呼ぶ・・・・・・。
ミク・・・・・・・・・・・・。
誰だ・・・・・・・・・・・・。
アタシ・・・・・・・・・・・・アタシヨ・・・・・・。
誰なんだ・・・・・・・・・・・・。...I for sing and you 第二十七話「思い出の中に」
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蒼白の視界、廊下。響くは足音のみ。
この静寂の廊下を歩き続けると、突然、視界が揺らぐ。
立ちくらみだ・・・・・・。
このクリプトン地下研究所に缶詰となってから、早二ヶ月半。
僕の精神は、ボロボロになった。
一日の業務はそこまで大変なものじゃない。ただ、ここにいるだけで、自分でもどれほどス...I for sing and you 第二十七話「昔話」
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こっそりと、扉の隙間から見えた、雑音の姿。
それを見た瞬間、思わずドキッとして、声が出そうになった。
今も、その雑音を見ているうちに、胸の高鳴りが早くなっていくのが分かる。
あれって、もしかして・・・・・・。
雑音は床に座り込んで、白い布のようなものに、顔をすり寄せている。
あれって、...I for sing and you 第二十五話「好きの証拠」
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時は流れた。それも、良い方へと。
ネルと雑音さんの出演した番組が放送され、それは大好評を生んだ。
それからというもの、ネルの人気は過去以上に急上昇し、CDの発売、ライブ、メディア出演など多忙な日々が続いたが、二人がそれを苦と思うことは全く無かったのだ。俺自身も然り。彼女達といられるそのときが、...I for sing and you 第二十四話「寂しくて」
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遂に・・・・・・遂にだ。
彼女は己の在るべき姿を取り戻したのだ。
歌姫、ボーカロイドディーヴァとしての、美しく歌う姿を!
その姿を、俺は二度と忘れないだろう。
ネルは雑音さんと、歌を歌い、歌い上げた。渾身の力をこめて。
俺も分かった。
躍動が、振動が、駆動が、鼓動が。
美しく歌を歌...I for sing and you 第二十三話「共感」
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ひとりじゃ見えないものがある
(Buddy)
ひとりじゃ分からないことがある
(Buddy)
わたしの手をとってそっと導く
(BUddy)
あなたがいてくれる
(Buddy)
わたしの体を...I for sing and you 第二十二話「Buddy」
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ピアプロは、ボーカロイド専用のプロダクションだけでなく、各メディアへ登場する際に必要なテレビ局、ラジオ局としての機能も兼ね備えている。
最も、ここではその他のテレビ番組の殆どが放送されている。
ピアプロは放送局としても利用されている。日本で最大のテレビ局でもある。
ここは、テレビ放送部の第二...I for sing and you 第二十一話「収録開始!」
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ついにここまで来れたんだ。
出会い方は良くなかったけど、あのネルをここまで立ち直らせて、その上、好きになった。
そして、ネルと一緒に歌うことが、こんなに楽しいと初めて知った。
わたしは、ネルと出会えて、本当に良かったと思う。
そうして、わたしは、今度はネルとテレビに出演する。
わたしもネ...I for sing and you 第二十話「狂」
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「ひろき・・・・・・。」
そう僕の背中へ呼びかけ、引き止める声があった。
声の先には、眠りから覚めたばかりのミクが寝ぼけ眼で僕を見つめていた。
「あ・・・ごめん。起こしちゃった。」
「・・・・・・。」
早く家に帰った日は、ミクにねだられて一緒に寝ることになっている。今日はネルさんも一緒だ...I for sing and you 第十八話「すぐ、近くに」
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「テレビ出演まで、もう一週間か・・・・・・。」
「明日から、ピアプロのテレビスタジオのほうに行くんだよね?」
「ああ。そこで色々と練習だ。」
そんな風にお喋りをしながら、あたし達は冬の夕日で茜色に照らされた道路を歩いている。
寒い・・・・・・。
肌で感じる寒いという感覚を味わう、それ...I for sing and you 第十七話「団欒」
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クリプトンの暗部ともいえる、クリプトン・フューチャー・ウェポンズ。いわゆる兵器産業を専攻する子会社に、試作兵器実験部隊、なるものが存在する。
自社が独自開発した最新兵器類の性能を実証するため、各国の紛争地帯へ国籍を隠し秘密裏に入国し、紛争へ参戦することを目的とした、現時点では日本防衛軍を上回る戦...I for sing and you 第十五話「現在進行形」
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「・・・・・・雑音・・・・・・・・・・・・。」
目の前で涙を流す雑音に、どんな声をかけたらいいか。
それで迷っている。
なんて・・・・・・なんて言えば・・・・・・。
雑音は、必死に涙をこらえながら、あたしに何か言おうとした。
「ネル・・・・・・わたしは・・・・・・。」
だけど、言葉が...I for sing and you 第十四話「言葉なんかいらない」
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右も左も分からないまま、また訳の分からないことが起こった。
雑木林の中からあたしが見たのは、雑音に目にも止まらぬ速さで飛び掛った、ミクオの姿だった。
「なッ!」
雑音の体が、大きく宙に舞い、空中でくるりと一回転すると、静かに石畳の上に降り立った。
雑音は、頬の切り傷のようなものを拭った。
...I for sing and you 第十三話「隠し事」
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ここは暗くない。
電灯、建物の明かり、お店の明かり。
静かでもない。
傍を通り過ぎる人達、お店から流れる音楽、道路を通る車。
暗くも、静かでもない。この街。
明るくて、活気にあふれている。この街。
わたし達の街、水面。
「へぇ・・・・・・これが水面都かぁ。」
ミクオが辺りを見回しな...I for sing and you 第十二話「運命と宿命」
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あたしは、雑音とユニットを組むことになったんだ。
そう。これならファーストの連中に勝てるかもしれない。
と、言うわけで敏弘のプロデュースで活動を再開することになった。
だけど、雑音が・・・・・・。
雑音の様子がおかしい。
あの、新人の初音ミクオを見たとたんに。
最初は、昔のなんかの仲か...I for sing and you 第十一話「記憶の者」
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朝だ。
あたしは、とうとうピアプロに行くことを昨日の夜、決意した。
やっと自分を見つめなおすことができたんだ。
あたしにも、何かできることがある。じっといてはいられない。
何かを、始めないと。
そして、確かめないと。
大丈夫。あたしには・・・・・・。
「ネル。」
雑音がいる。
「...I for sing and you 第十話「再臨」
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ちょっとまってよ。
なんであたしと雑音で一緒に風呂なんか入いんの?
つうか脱衣所目前まで来てんだけど・・・・・・。
「ちょっとまってよ!なんであたしと雑音でお風呂なんか・・・!」
「いやか?」
思ったことでそのまま講義すると、またそんな顔を。
まったく、あんたの顔、まるで凶器だよ。
...I for sing and you 第九話「触れ合い、和解する」
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「俺達」の記憶にある限りでは・・・・・・・・・。
「彼」と「彼女」の関係は言葉では到底、表現に足りないものである。
様々な感情が二人の間で行き交い、時には愛が。時には憎悪があった。
そして、「彼女」は、
「彼」を殺した。
義務か、使命感か、昂りか、本能か。
定かではないが、彼が...I for sing and you 第八話「意外な出来事」
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「よう。俺だ。どうだライブツアーは。みんなや新人の調子はどうだ?」
『明介かぁ!久しぶりだな。俺もみんなもヘトヘトさ。ルカはまだ元気だけどな。』
「そりゃ良かった。こっちにはいつごろ帰れる?」
『まだ一件予定があるから、明後日の朝だな。』
「そうか・・・・・・。」
『ところで、何のよう...I for sing and you 第七話「相談者」
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どすん、と洗濯物の入ったカゴを、気持ちいい冬の日差しが差し込む庭から家の中に運んだ。
「ふう・・・・・・雑音。終わったよ。」
そう奥の方に呼びかけた。
「ありがとうー!今行く。」
洗濯機の音に混じって、雑音の綺麗な声が家の奥から響いてきた。
綺麗な声。
普通のボーカロイドとは違う自然な...I for sing and you 第六話「二人の気持ち」
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「マスター・・・・・・ネルいつ帰って来るんだよ。」
リビングのソファーに座って新聞を広げていると、ふとそんな問いかけが耳に入る。
声の方を見やると、赤い髪の青年が元気のない表情で立っていた。
「心配するなアカイト。今は少し辛い状態だが、落ち着いたところを見計らって連れ戻しに行くさ。」
「見...I for sing and you 第五話「嘘と本音」
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僕は今、様々な情報が表示される板に視界を囲まれている。
トリプルディスプレイ。専用の端子を使ってモニターを三つまで増やしてある。
そこに表示される情報に従って、視線をモニターからそらさずキーボードの上に指を走らせる。
何気なく机上の置時計を見ると、午後九時ちょうど。
たとえちょっと視線を動...I for sing and you 第四話「迷い」
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俺の「監視」の管轄内であるキャラクターボーカルアンドロイド、そのセカンドシリーズの一人である亜北ネルが、昨日のおよそ正午から、クリプトンの所有する専用居住住宅から姿を消した。
そうと分かった瞬間、あれほど心臓が凍りついたときは過去にない。
理由はどうあれ、問題はそこではない。そんなことは最初か...I for sing and you 第三話「わたしの気持ち」
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誰かの話し声が聞こえる・・・・・・・。
この部屋から離れたところから。
「ネルさんの調子はどう?」
「もう大丈夫。さっき見に行ったときはまだ熱があったけど、また起きるときには熱が冷めると思う。」
「そう。お友達には連絡したの?」
「ああ。もうすぐ迎えに来ると思う。」
「じゃあ安心だね。...I for sing and you 第二話「暖かさ」 後編
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何か、聞こえる・・・・・。
車の音や、スズメがさえずったり、何かしら音が聞こえる。
じゃあ、目が覚めたんだろう。
ゆっくりと目を開けると、そこには見たこともない白い天井があった。
時間がたってもっと目が覚めると、羽毛のベッドに寝かされていることが分かった。
暖かい・・・・・・。
服はあ...I for sing and you 第二話「暖かさ」 前編
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しっかりとバックのファスナーを閉め、背に負った。
僕の持ち物といえば、こんなリュックに入りきる程度だったのかと、今になってやっと気付いた気がする。
出口のドアの傍まで来ると、振り返り、もう一度この部屋を見渡してみる。
灰色の壁、窓は無く、そう、無機質な部屋だ。
でも、この部屋とももうお別れ...Sky of Black Angel 最終話「on Stage Black Angel」
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どうして・・・・・・。
どうして、わたしだけが生き残ったんだろう。
キクも、ワラも、ヤミも、タイトも、ミクオも・・・・・・。
誰も自分から死にたいなんて、思うわけがない。
ミクオだって、本当は、死にたくなかったはずなのに・・・・・・。
...Sky of Black Angel 第四十九話「別かれの前に」