ブクマつながり
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朝の6時過ぎに手を踏まれて目が覚めた。まどろみながら目を開けると、明らかにこそこそと出て行く姿。あの子は確か昨日泣いてた睦希ちゃんよね?トイレかしら?
「ふざけないで。話してくれる約束でしょう?それとも反故にする?桃栗みかん先生。」
ドアの隙間から聞こえた声に思わず体が固まった。声自体に驚いたのも勿...いちごいちえとひめしあい-29.第一印象-
安酉鵺
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電話から30分程経って、私の部屋は実にわいわいと賑やかになっていた。
「緋織ちゃんの家って豪邸ね~良いなぁ。」
「うっうっうっ…ごめんなさ~い。」
「鶴村さん、もう泣かないで。」
どうやら睦希先輩は軽くパニクッて参加者の女の子全員に電話やメールを送ってしまったらしい。自分の携帯に自分でメール送ってる...いちごいちえとひめしあい-27.修羅場を期待した-
安酉鵺
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ちくちくと刺さる視線を避ける様に調理室の前を通り掛ると、チョコレートの甘い匂いが漂って来た。
「良い匂~い、ここだぁ!」
「密佳、犬じゃないんだから…あれ?しふぉんちゃん。」
「睦希先輩、味見に来たんですか?丁度もう直ぐ焼き上がりです。」
エプロンを着たしふぉんちゃんがパタパタと片付けをしていた。テ...いちごいちえとひめしあい-85.悪夢へと-
安酉鵺
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少し眠ってしまったらしく、軽く頬を叩かれて目が覚めた。ゆっくり目を開けると旋堂さんの姿があった。金色の髪に一瞬緋織かと思った訳だが。
「酒抜けたか?」
「多分…すいません。」
辺りを見回すと解散したのか人影は無く、旋堂さん以外は片付けをしている雉鳴弭だけが動いていた。起き上がった俺に気付くとトコトコ...いちごいちえとひめしあい-73.残念な美人-
安酉鵺
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鷹臣さんを呼んだ時間が近くなり私は来客用の駐車場で待っていた。背中にはカメラを構えた密佳が張り付いている。
「ねーねー、睦希にゃん、その『旋堂さん』って、どんな人?可愛い系?カッコイイ系?ラテン系?」
「少なくともラテン系じゃないよ…って言うか…やっぱり向こう行ってて欲しいんだけど…駄目?」
「好奇...いちごいちえとひめしあい-84.古本屋の常連客-
安酉鵺
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彩花と一緒に自販機でジュースを買っていると、何やらキャンキャンと甲高い声が聞こえた。見ると鶴村先輩が友達に纏わり付かれている。溜息を吐きながらこっちを見た先輩と目が合うと、何故か先輩は私にバットを手渡した。
「何でしょうか?このバット。」
「これで天城会長殴って来てくれない?」
「解りました。」
「...いちごいちえとひめしあい-80.蚊帳の外-
安酉鵺
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日向先輩に連れられて澤田先輩のデートを尾行して…そこで私達は何だか凄い光景を見てしまった。日向先輩の叫び声の後は正直何が何だか覚えていなくて、そして現在駅から近かったと言う理由で2人共私の家に呼ぶ事にした。
「あの、お茶です…。」
「う、うん!あの…ごめんね、急に押し掛けちゃって。」
「もぉー!何呑...いちごいちえとひめしあい-26.女子会-
安酉鵺
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休日だと言うのに何故こんな朝っぱらから出掛けなきゃならないのか…侑俐に頼まれていた物を持ってのんびりと歩いていると急に侑俐から電話が掛かって来た。何で支給携帯に掛けて来るんだ?アイツは…。
「もしもし?」
「ああ、先輩。今菫さん見掛けたんですよ。尾行してるっぽいので一緒に来て貰って良いですか?公園に...いちごいちえとひめしあい-30.憧れの先生が-
安酉鵺
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私と輝詞さんは小さな宇宙人…じゃなかった、小さな子を連れて取り敢えず保護者を探す事にした。しかし、この子何処の誰なんだろう?聞いてみても如何せん宇宙語にしか聞こえないし…。
「たーみは?ねぇ、たーみはぁ?」
「なぁ、さっきから言ってる『たーみ』って何なんだ?キャラか何かなのか?」
「私に聞かれても…...いちごいちえとひめしあい-45.翻訳機下さい-
安酉鵺
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窓から差した朝日が眩しくて目が覚めた。まだボーッとしてる頭で起き上がった時、手にサラサラした物が触れた。何これ?取り敢えずなでなでなで…と。
「んー…?もう朝…?」
サラサラした物はだるそうな声と共にむくりと体を起こした。色素の薄い髪が日に透けてキラキラしてる。そこで初めて私の思考は戻った。
「お早...いちごいちえとひめしあい-56.戦利品-
安酉鵺
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王子様ちっくな爆弾発言と、花一匁みたいなパートナー選び、そして人間関係のゴタゴタ…実に実にペンが進む状況に思わず顔がにやけてしまいそうだった。新しいメモ帳とスケッチブックが必要かも、なんて通路を歩きつつ頭の中で計算していると、傷だらけの拓十君が横切った。
「不本意且つ屈辱~って所かな?ウサギさんは。...いちごいちえとひめしあい-22.一直線なボケ-
安酉鵺
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ゆさゆさと肩を揺らされてぼんやりと目を開ける、けどまだまぶたは仲良くしたがっていてとろとろと目を瞑る。おやすみなさい、世界。…ん?何だろう?何か凄く良い匂いがする。爽やかなミントの香りの中にビターチョコの香ばしさが…。
「はい、あーん。」
「あむっ。」
口の中に爽やかな甘さがほわりと広がった。はぁ~...いちごいちえとひめしあい-20.トマトに進化-
安酉鵺
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疲れていたのかバスが出発して20分程で侑俐さんは寝息を立てていた。何か、可愛い。何となく寒そうに見えたのでかける物を探していると、館林先生がジャケットを羽織らせた。
「疲れてるみたいですね。」
「ん~この馬鹿ここんとこ仕事詰めてたからな。」
と、後ろからシャッター音と共にカメラを持った睦希先輩が顔を...いちごいちえとひめしあい-49.最上級の感謝-
安酉鵺
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私達は取り敢えず『∞』のテスト参加者を話をしてみようと言う事になり、合流したしふぉんを加えて4人で医務室へ行く事になった。この学校は生徒数が多い事もあってか校舎が広く、中等部、高等部、大学とそれぞれに医務室が設置されている。
「失礼しまー…す?!」
ドアを開けた瞬間鶴村先輩を除く私達3人は固まった。...いちごいちえとひめしあい-11.医務室-
安酉鵺
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携帯の振動音に起こされた。まだ朝の6時過ぎで、皆まだすやすやと寝息を立てている。起こさない様にそぉっと携帯ごと廊下に出てドアを閉める。
「もしもし…?」
『お早う、我が愛しの彼女。中々名演技だったみたいだね?』
クスクスと笑う声だった。少し呆れつつ溜息交じりに返す。
「ふざけないで。話してくれる約束...いちごいちえとひめしあい-28.流暢に悪口-
安酉鵺
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何だか色々あった旅行が終わってやっと学校に居る気分だった。考える事が多過ぎて逆にあまり考えたくない、正直そんな感じだった。気晴らしに戦利品である写真を眺めていると、目隠しと同時に明るい声が聞こえた。
「にゃっふぉーい、睦希にゃん。」
「んー密佳、お早う。」
振り返るとクラスメイトであり同じ美術部の密...いちごいちえとひめしあい-79.バット持って歩こう-
安酉鵺
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時計の音が静かに響く中、机に突っ伏したまま隣のひおが転寝を始めてしまった。揺らして起こしてみたけど全然起きる気配が無い。聞いた話では幼馴染のお兄ちゃんが3年振りに帰って来て、昨日は嬉しくて殆ど眠れなかったんだとか。
「大丈夫?具合でも悪いの?」
ひおが起きないので心配したのか、斜め前に座っていた人が...いちごいちえとひめしあい-19.理想の大人-
安酉鵺
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チャイムの音と共に今日の授業が終わった。昨日は随分色々あって、侑俐さんにも迷惑掛けてしまった。今度ちゃんと謝ろう、そう考えていた時だった。
「ひおー、呼んでるよー?」
「へっ?!私?!」
急に名前を呼ばれて教室の出入口に顔を向けると、憮然とした顔で制服を着た七海さんが居た。私…いや、私達が通う『聖リ...いちごいちえとひめしあい-9.百合?-
安酉鵺
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長い黒髪にデジカメを持った女の子、リボンの色からして三年生。実に、笑顔。
「あの…?」
「初めまして、グレーテルちゃんにウサギ君。」
意味が解らずちょっと怖い、いや、かなり怖い。七海さんも同じ思いなのか微妙に引いているのが感じ取れた。少し間があってから、その先輩は眉間に皺を寄せて首を傾げてからメモを...いちごいちえとひめしあい-10.実に、笑顔で-
安酉鵺