欠陥品の投稿作品一覧
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「飲み会?今からですか?」
夕飯の支度をする手を止め、テトはマスターに聞き返した。
「うん、会社の。…乗り気はしないけどね」
マスターは疲れた様子で、クローゼットから取り出した服に着替えてく。今しがた帰って来たばかりで、疲れているのは無理のない話だ。
「帰りは遅くなるから、先に寝てていいよ」
着替え...寂しさには優しさを
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朝日が差し込む早朝、ある家の中から、慌ただしく動き回る音が響いた。
「わあぁっ!ちょっと待って!」
鍋が吹き零れそうになるのを見て、リンは慌てて火を止めた。
「ふぅ…」と一息ついて、リンは全ての料理の出来上がりを確認する。
「うん、今回もばっちりね」
今でも要領よく出来るわけではないが、以前より上達...【新婚みね】いつもの幸せ【音坂さん】
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「レ~ン~…」
「なに?リン」
床に寝転がって曲を聴いていた私は、片方のイヤホンを外して話をきりだした。
「頭、重いんだけど」
今、私の背中には双子の弟、レンの頭が乗せられている。
視線は私に向けているみたいだけど、その表情は伺えない。
「どいてくれない?」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
そう...日溜まりの暖かさ
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夜空に浮かぶ月が、淡い光で静かな街を照らしていた。
今いる廃ビルの屋上も、月明かりで照らされている。
そこで僕は、右手に包丁を持ったリンと対峙していた。
今のリンは、ウィルスに侵されている。
普段から整えられた髪は少しボサボサで、服装も乱れて汚れていた。
リンはユラユラとした動きで、クスクスと時折笑...月夜に狂気と血を
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月夜を見上げながら思う
この世界のつまらなさを
疾る雲を追いながら思う
この世界の醜さ愚かさを
神がいるのなら
この世界を救ってみせろ
悪魔がいるのなら
この世界を滅ぼしてみろ
僕は何も望まない
僕は何も願わない...ただ望むのは
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僕らは二本の線
同じ向きに
同じ角度に
決して交わらない平行線
どれだけ同じ時間を過ごしても
どれだけ隣同士でいられても
交わることは許されない
いつまでも伸び続けて
同じように線は引かれて
交差することは叶わない...平行線 -Parallel lines-
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きっかけがあった訳でもなく
理由があった訳でもなかった
ただただ気が付いたら
手にナイフが握られて
その鈍く反射する刀身に
自分の紅が付着していた
暫く傷口を眺めていると
気付いたキミは驚いてて
笑って声をかけてみたら
頬を思い切り叩かれてた...望んでくれるなら
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「一人だけ」
「………」
「たった一人だけが望んでくれるなら、それが生きる理由になるよ」
「…小さい願望ですね」
「ちっぽけな人間には、相応な願いだよ」
「望んでくれるのは、誰でもいいんですか?」
「性別・年齢・国籍、人間であれば、誰でもいいよ。病気や事故で次の日に死ぬ人でも、一日を生きる理由になる...たった一つだけ ~one only~
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ある平日の昼下がり、セミの鳴き声が外の景色を包んでいた。
レンはベランダに座りながら、その暑さと煩さに少しうんざりしていた。
手に持ったゲームにも、いまいち楽しめないようだ。
「あ~づ~い~…」
「うるさいよ、カイ兄」
そして側には、先程から「暑い」としか言わない青い兄が寝そべっていた。
その存在が...猛暑に優しい涼しさを
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「ということで、今回は筆(?)休めです」
「何がということですか」
「これはこれは。奇抜なツインドリルが可愛らしい、テトさんじゃないですか」
「説明的な挨拶をありがとうございます、欠陥品」
「…敬称を略さないで、地味に傷付く」
「自分で登録したくせに…。それで、私が呼ばれた理由はなんですか?」
「そ...閑話休題
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「ただいま~」
そう言いながら、玄関で靴を脱いだ。
二、三歩部屋に入った所で奥の方から、とたとたと小さな足音が近づいてくる。
「マスター、おかえりなさい♪」
その言葉と共に現れ飛び付こうとする小さな少年の行動を、彼の頭を抑える事で阻止した。
「今は汚れてるから、やめとこうね?レン」
仕事から帰宅した...怪我に効く治療法
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「………雨か…」
空は黒い雲に覆われ、外は大雨にみまわれていた。
ベランダで座りながら、雨に打たれる景色を見て溜め息をついた。
「そんな所にいたら濡れちゃいますよ?」
ふと横を見ると、いつの間にかミクがいた。
先程までレン達と遊んでいたはずだが、この静かさからして昼寝でもしてるのだろう。
「…なら隣...雨が降る日に、キミとお話を
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「マスター、今日のご飯はなぁに?」
そう言って、キッチンで夕飯の支度をしているマスターのズボンをリンは引っ張った。
マスターは包丁を持つ手を止め、リンを見下ろしながら答えた。
「もうすぐ出来るから、少し待ってね。向こうでレンとテトさんのお手伝いしてくれる?」
リンは元気よく「はーい♪」と返事をして、...【時期ネタ】些細なことが【土用の丑の日】
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目を開ければ、見慣れた天井が見えた。
メイコは不快感を払うかのように、深く溜め息を吐く。
動悸が遅くなるにつれ、頭の靄もはれてきた。
ふと後頭部の違和感に気付き、頭を起こそうとすると、強制的に元の位置に戻された。
「もう少し寝たら?」
「…なんで膝枕されてんの、私」
「寝苦しそうだったから♪」
カイ...キミの眠りに良き夢を
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ある休日の昼下がり、天気は曇り。
近頃は初夏の暑さが感じられるが今日は風が冷たい分、普段よりは過ごしやすい一日ではあるだろう。
私は洗い物を片し終えて濡れた手を拭き、マスターのいる部屋へと向かった。
入るとマスターはベッドの上で寝転がっており、何をするでもなく天井を見ていた。
「何を悩んでるんですか...てのひら温度
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僕の後ろにに居るのは双子の姉
私の目の前に居るのは双子の弟
どっちが上とか意識した事はないけど
どっちが下とか意識した事はないけど
時々こうやって引っ付いて甘えてくる彼女を見て
時々こうやって引っ付いて甘えている自分を考え
自分が兄みたいだと思う事もある
自分が妹みたいだと思う事がある
でも頼られる...想い×すれ違い
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時々寂しくなる
あまり口にしないから
こうやって側で並んでも
貴方が遠くに感じる
我が儘なのかもしれない
今でも幸せなのに
それでもやっぱり
言葉にして欲しい
俯いて目に入るのは
貴方の長い黒い影だけ...温かな手
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「…やっと終わった」
最後の文章を打ち終えキーボードから手を離し、腕を上げ軽く伸びをした。
この三日間、殆ど部屋に篭っての大仕事だった。
引き受けた時にはどうなるかと思ったが人間、やればどうにかなるもんだ。
部屋を見回してその散らかりようを見れば、いかに修羅場であったか、改めて実感した。
「掃除…は...【イラストから】あそぼうよ。【Qu-ma777さん】
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いつの間にか力の抜けた腕から、僕はマスターを起こさないように抜け出した。
部屋の暗さに目もすっかり慣れ、マスターの寝顔も容易に窺えた。
その顔を見れば、とても平和そうな表情で寝ている。
普段は僕を子供扱いしているけど、こうして見るとどっちが子供か分かったもんじゃない。
「マスター…」
小さく呟き、マ...伝わらない想い
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七夕かぁ…、どうして女の子はこういう行事が好きなんだろう?
鼻歌を歌いながら、笹…だっけ?あんな長い茎に葉が生えただけの植物を嬉しそうに準備して…。
今日は7月7日で、あの笹に短冊っていう紙に願い事を書いて結ぶと、願いが叶うらしい。
確か一年に一度………
「ねぇ、リン。誰と誰が会える日だっけ?」
「...星に君を願う
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俺はソファーに寝そべり
彼女は本の世界に夢中
一人がつまらなくて
相手にして欲しくて
言葉を投げ掛けても
返ってくるのは無言
しつこくすれば
睨まれて黙らされる
深々と溜め息を吐いて
ほんの少し悔しくて...好きだから
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日が落ち、外の様子はすっかり暗くなっていた。
レンは鍋の前で窓の外を眺め、そろそろ帰ってくるかなと考えながら、今日のおかずの味見をする。
「うん、こんなもんかな」
仕上がりの確認を終えたレンは、火を止めて鍋に蓋をした。
時計の指す時間を見て、食器棚から皿を取り出しテーブルに並べる。
「よし、後は盛り...僕がアナタに出来る事
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「…リン、何やってんの?」
「あ、レン。レンも一緒に黙祷する?」
「なんで黙祷?」
「マスターが、今日は『慰霊の日』だからって言ってたの」
「…こっちじゃ関係ないと思うけど」
「大事なのは気持ちなの!ほら、レンもこっち座る」
「はいはい。ん?その花は…」
「これ?マスターのお家から送られてきたんだっ...月桃の花言葉 -鏡音ver.-
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「マスター。ご飯出来ましたよ…って、何してるんですか?目なんか閉じて」
「あ、テトさん。ちょっと黙祷を…」
「なんで黙祷?」
「うん、今日は23日だから」
「…ああ、確かマスターの故郷は…」
「そういう事。別に伝統を重んじる訳じゃないけど、なんとなくね」
「じゃあ、その花が前に言ってた物ですか?」
...月桃の花言葉
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「それじゃあ留守番、宜しく」
「………………」
「…そろそろ、そのむくれっ面やめない?」
「…今日は歌の練習、するって言ってたのに」
「しょうがないだろ、急に
別件が入ったんだから」
「ここ最近はマスター、帰ったらお風呂入ってご飯食べたら、すぐ寝て歌の練習してくれなかったし…」
「だから今日はちゃん...早めの帰宅を
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