タグ「UV-WARS」のついた投稿作品一覧(86)
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その19「誘拐」
時計は午後5時を回っていたが、日はまだ高く、蒸すような暑さが留まっていた。
バス停は、国道沿いの、海の反対側で、テッドの家の反対側にあった。傍らに申し訳程度に屋根つきのベンチが設置されていた。
国道といっても、片...UV-WARS・ミク編#019「誘拐」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その19「涙」
雲の切れ間に星が見えてきた。
小隊長が声をあげた。
「おーい、生きてるか」
モモが応えた。
「生きてますよ」
「テトは?」...UV-WARS・テト編#019「涙」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その18「いつもとはかけ離れた朝」
翌日、朝六時、いつもより一時間早く、母に起こされた。
「お、はよう」
どうしたの、こんなに早く、と言いかけて、母の冷めたような目に、わたしの目が覚めた。
「一度しか言わないから、...UV-WARS・ヨワ編#018「いつもとはかけ離れた朝」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その18「会議」
桃がテッドの家を出る数時間前、あるビルの一室で男たちが会議をしていた。
そのビルは割りと大きな街の中心にあり、すぐそばに新幹線の駅もあった。
会議の場所は古びた事務机が並べられていて、男が二人、折り畳み椅子に座っ...UV-WARS・ミク編#018「会議」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その18「三人vsタイプH(その4・死闘)」
小隊長の胸に小さな光点が現れた。
タイプHが気づいたのはその光が伸びて、自分の左胸を貫いた時だった。
「そんな、仲間ごと?」
小隊長の背後でビームサーベルを握っていたのはテトだっ...UV-WARS・テト編#018「三人vsタイプH(その4・死闘)」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その17「決意表明」
この時、わたしはちょっと視線を床に落とした。呆れるか、茫然となってポカンと口を開ける両親を想像していた。
目を上げた時、二人とも厳しい表情をしていた。
「証明…、だと?」
「ヨワ、あなた、自分...UV-WARS・ヨワ編#017「決意表明」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その17「テッドが動いた日」
その後のログの解析で、ミクはサブフォルダの中にあったテキストファイルで作られたリストに従って、MMDのモーションデータと基本的な動作プログラムを組み合わせる作業を行っていたことが判った。
それは、十億通...UV-WARS・ミク編#017「テッドが動いた日」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その17「三人vsタイプH(その3・作戦会議)」
少し前の作戦会議で。
「タイプHは強敵ではあるが、戦場で目撃されたケースは少ない。なぜだと思う?」
小隊長の質問に二人は答えられなかった。
戦場で見かけないといっても、見かけ...UV-WARS・テト編#017「三人vsタイプH(その3・作戦会議)」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その16「家族会議」
その父の表情をわたしは大昔に見たことがあった。二回。忘れられなかった。
一回目は小学校一年生のとき、無断で電車に乗って遠くまで行って警察に保護されたとき。
二回目は、四年生のとき、怒られて家...UV-WARS・ヨワ編#016「家族会議」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その16「ミクが動いた日」
テッドは夢を見ていた。
十年以上前の記憶をたどる夢だった。その時テッドは小学六年生だった。
ある日、玄関を開けると、テトが立っていた。
印象的だったのは、初めて目が合ったとき、心底疲れがとれたような、...UV-WARS・ミク編#016「ミクが動いた日」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その16「三人vsタイプH(その2)」
テトたち三人がタイプHと100メートル離れて対峙したとき、日が完全に沈み、辺りを闇が満たしていた。
タイプHは三人に聞こえないほどの声で呟いた。
「そんなに離れてては話しにくいわね」
...UV-WARS・テト編#016「三人vsタイプH(その2)」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その15「ヴォーカロイドとの遭遇」
わたしたちは二度目のステージを無事に終えた。
踊り終わった後、ユフさんはさらに二曲歌って、計六曲のミニライブを終えた。
終わった時の盛大な拍手に、ユフさんはうっすら涙を浮かべて...UV-WARS・ヨワ編#015「ヴォーカロイドとの遭遇」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その15「夕闇と盗聴と悪口」
テトの運転で桃を乗せた古いセダンは国道を東に走っていた。夕日が沈みかけて周囲はオレンジに染まっていた。
「上機嫌だね、モモちゃん?」
ハンドルを握り前しか見ていないにも拘らず、テトは桃の表情を把握してい...UV-WARS・ミク編#015「夕闇と盗聴と悪口」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その15「三人vsタイプH(その1)」
「ユフ…」
テトの声に反応して、ユフは少し目を開けたが、すぐに閉じた。
駆けつけたモモは、ユフの額に手を置いた。
後から来た小隊長がモモの肩を叩いた。
「どうだ?」
振り返ったモモは...UV-WARS・テト編#015「三人vsタイプH(その1)」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その14「二度目のステージ」
「ねえ」
帰宅途中のOLが足を止め、傍らの友人を呼び止めた。
その先には、駅の小さなイベントスペースで踊っている二人の少女がいた。
友人はOLの指さす先に二人の少女を見たと思った。
...UV-WARS・ヨワ編#014「二度目のステージ」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その14「ミクだけじゃないよね」
日が沈み始めた頃、テトは桃を促して帰り支度を始めた。
「じゃ、車、借りるよ」
テトはセカンドバックを掴むと、モニターの前のテッドの頭を押した。
「?」
テッドは振り向いた時テトの憮然とした表情には...UV-WARS・ミク編#014「ミクだけじゃないよね」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その14「ユフvsタイプN」
無数の矢を受けて、サラは倒れた。
「ユフ、あとは、まか、せ、…た」
そのサラの頭上を白い塊が通りすぎた。
白い塊は両手、両足を力一杯伸ばして、ユフに変わった。
ユフのハーフコートが風を受けては...UV-WARS・テト編#014「ユフvsタイプN」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その13「みんなに聞いて欲しい」
わたしには「通して下さい」と「レンきゅーん」という声が重なって聞こえた時だった。
「危ないぞ」
「押すなよ」
太い男の声が聞こえた。
故意か、悪意か、声のする方から何かがステージ...UV-WARS・ヨワ編#013「みんなに聞いて欲しい」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その13「インストールの続きと素麺」
インストール開始から18時間後、現実(リアル)に初めて体(ボディー)を得た初音ミクが、最初に動かしたのは右手だった。
〇
最初の動作を確認してから、数時間、テッドは熟睡した。
...UV-WARS・ミク編#013「インストールの続きと素麺」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その13「サラvsトラップ群」
テトの目に砂漠の真ん中に立ち尽くす人影が映った。
〔あいつが、タイプN!〕
砂の中から砲台が複数現れ、テトたちに攻撃を開始した。
それは18ミリの機銃掃射だったが、テトの盾に弾かれる結果になっ...UV-WARS・テト編#013「サラvsトラップ群」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その12「ボーカロイドと甘い歌声」
トレーラーの横には、「VOCALOID」の文字がでかでかと書かれていた。
外で黄色い歓声が上がった。
思わず外に顔を向けると、トレーラーの横が上に開いて、中にバンドマン四人と黄...UV-WARS・ヨワ編#012「ボーカロイドと甘い歌声」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その12「初音ミクをインストール」
リビングに戻ったテッドに、部屋の中央に正座をしているミクが目に入った。
テトはミクの頭皮を捲ると、カバーを一部外して、HDMIケーブルを挿してテレビと繋いでいた。
桃はUSBケーブルで外付け光学...UV-WARS・ミク編#012「初音ミクをインストール」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その12「小隊vsタイプN(その2)」
突然、また、モモが叫んだ。
「止まって! トラップです」
全員が前のめりになりながら、急ブレーキをかけた。
しかし、目の前は砂漠しか映らなかった。
「どこ?」
「目の前です。幅100メ...UV-WARS・テト編#012「小隊vsタイプN(その2)」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その11「ユフさんとの出逢い」
文化祭が終わり、生徒会役員の選挙が始まった。
わたしたちがやることは、残務整理と引き継ぎのための書類作りだった。
意外なことに顧問の先生は、私たちに手を抜くように言った。
「お前た...UV-WARS・ヨワ編#011「ユフさんとの出逢い」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その11「間奏」
「というわけで、今度の土日は、一泊二日で大洗で海水浴です」
「テト姉、山にしようよ。そっちの方が涼しいし、荷物も少なくて済む」
「どこに泊まるのよ」
「テントとか、車の中とか」
「君は実にバカだなあ。桃ちゃんの親戚の家...UV-WARS・ミク編#011「間奏」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その11「小隊vsタイプN(その1)」
小隊長は先頭を歩きながら、モモに聞いた。
「あとどれくらいだ?」
「予定地点とは少しずれましたが、残り100キロぐらいです」
「モモにしてはずいぶん曖昧だな」
「この砂嵐のせいです。光学測...UV-WARS・テト編#011「小隊vsタイプN(その1)」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その10「夏休み・盆踊り・告白、ちょっぴり文化祭」
田舎のおばあちゃんは、近くの神社にお参りに行った帰りに、石段を踏み外して転び、顔を切るけがをしていた。
出血の量がすごくて、救急車を呼ぶほどだったのだけど、傷だけ...UV-WARS・ヨワ編#010「夏休み・盆踊り・告白、ちょっぴり文化祭」
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UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その10「初音ミクのボディー」
翌日、テトは桃と車でやって来た。
テッドの家は国道から脇に逸れ海に向かって降りる道の突き当たりにあった。
道はテッドの家の前で行き止まりになっていて、ガードレールの向こうはちょっとした崖だった。
...UV-WARS・ミク編#010「初音ミクのボディー」
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UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」
その10「サラvsテイ」
サラとテイの周囲は全てがオレンジ色の空間だった。ただ、足元は一緒に取り込まれた砂地のままだった。
サラは右足に力を込めた。砂を踏みしめる音がして足が少し砂に埋もれた。
サラは腰のホルダーから小型の銃...UV-WARS・テト編#010「サラvsテイ」
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UVーWARS
第三部「紫苑ヨワ編」
第一章「ヨワ、アイドルになる決意をする」
その9「亞北ネルという親友」
球技大会も無事終わり、生徒会選挙が行われたが、対立候補もなく、無風の選挙だった。
会長はわたし、副会長はネルちゃん、書記は長藤君、会計は2年生の泡音リサ(あわねりさ)という女の子、先生...UV-WARS・ヨワ編#009「亞北ネルという親友」