鐘雨モナ子の投稿作品一覧
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その名を呼ばれるのは好かないらしい。だから呼ぼうとして躊躇ってしまう。
マスターと二人きり。しかもマスターは動けない。こんなチャンスたぶんない。
マスターが風邪を引いた。面倒を見ようとした兄に代わりお世話をする事になったミク。
「今日のお昼はカレーだよ!」
カレーをマスターの...夏の始まり4
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カイトはそっと扉を開けた。
「ミク?‥‥」
居ると思ったのに、中には眠りに着いた楓の姿しかなかった。どこに行ったのだろう?まったく、マスターの世話を焼きたがったのは自分のくせに、どこかへ行ってしまうなんて‥‥
不甲斐ない妹を内心叱りつけ、カイトはそっと目の前に横たわる主人の髪を撫でた。
相変...夏の始まり3
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酒気を帯びた吐息がかかる。
「なぁにしてるのぉ?ヒック」
「何してるじゃないよ、姉さん。また昼間からお酒飲んでるの?」
べたりと背から手を回し覗き込む姉の吐く息は明らかにアルコール成分を含んでいる。豊満な胸が肩に押し当てられ、赤いジャケットの襟が僅かに覗く。手には酒瓶を持っており、セールで買った...夏の始まり2
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立春、立秋、立冬。何となく聞くけど夏は無いの?いいえ、あります。立夏。
春は始まりの季節。秋は意欲の季節。冬は身を寄せ合い団らんを営む季節。では夏は?―――
季節はもう夏だと言うのにまだ春先の暖かさを保っている。けれど紫外線は容赦なく降り注ぎじわじわと人肌を焼いた。
例年では夏の熱い日差...夏の始まり
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カイトは自室にて呆けたように外を眺める。世間のバレンタインを無感動に眺めながら、自分の置かれた立場、現実を目の前にうちひしがれていた。
「僕は、何をしていたのだろう?最初から解っていた事なのに…」
期待などしていなかった。ボーカロイドの本気の聴力感度は非常に高く、マスターの少し大きなぼやきさえ...やらねぇよ(続)
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ボーカロイド。人の代わりに歌う為生まれたボーカルアンドロイド。声を用いて音を奏でる彼らは基本主たるマスターを敬愛し、尽くすようにプログラムされている。
二月十四日。世間ではバレンタインデーと称されるこの日、ボーカロイドカイトは生まれた。青いストレートの短髪、青い瞳、白いロングコートに青いロン...やらねぇよ
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世界はヤンデロイド覚醒後、カイトが暴走して全てを消し去った後の話。
カイトの暴走は止まらない。マスターはカイトの記録をデリートして再インストールした。
記憶を無くしたカイトは目覚めた時白い部屋の中に閉じ込められていた。
中には何も無く、白いだけの部屋があるだけ。
そこは所謂精神と時の部屋なのかもしれ...青い鳥
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一見、何の変化も見られない双子。これから何が起こるのか、キカイトには予想すら立てられなかった。
「生きるって大変ね…」
眠りから醒めたリンの第一声だ。
「あぁ、生きるって大変だ…物を食べなくてはいけないし、休むために寝なくてはいけないし、嫌だと思っても日々働かなくてはならないし」
「働けど働けど...不完全な機械人形(おまけ)2
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※ この作品は 『不完全な機械人形』シリーズのおまけです。
一応作品としては終了しているのでこれはあくまでもおまけです。
救いが無いのが嫌な人の為に?と、思ったのですが余計救いようが無くなった気がしますorz
本編の感じをぶち壊してしまう可能性があります。
それで...不完全な機械人形(おまけ)
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少女のような小さな手。貧しい娘の白い手は貧民街の者としては色艶も良く、美しい。
慎ましく暮らしてはいるが貧困に喘ぐ人々の中にあってまだ食べる物があると言う程度の裕福さは保っている。
かつて化け物を有した魔女の姿。現在では町娘程度の暮らしを以前と変らぬ場所で過ごしている。
「ありがとう」
呪文...不完全な機械人形4
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広い客間。ベッドの上に寝かされた主人。
「少し落ち着いたらどうかな?医師の話では疲労の蓄積が原因だとか。そう心配する事は無いだろう」
後ろに控える包帯まみれの怪しい医師の診断だ。領主も作り笑いをしている。そして主人の倒れ方も異常だった。とてもそんなうさんくさい診断など宛にできない。
「僕はマスタ...不完全な機械人形3
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咄嗟の事とは言え、うっかり機械の顔をもろに見せたと気付いたキカイトは慌てて顔を隠したが遅かった。
「私の歌は歌えないかな?」
「え?…」
それはお忍びでやって来た領主だった。
領主は優しい顔で微笑んでいた。主人を抱え、ベンチに腰掛けていたキカイトの目線に合わせるためこの領主はなんと地面に膝を着...不完全な機械人形2
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『世の中全てがあなたを醜いと言ったとしても
世の中全てがあなたに石を投げつけ、化け物と罵っても
世の中全てがあなたの敵になったとしても…』
――――私はあなたを誇りに想う――――
例えあなたが世間でジャンクと呼ばれたとしても――――――――――...不完全な機械人形
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あぁ不思議、不思議だわ?
私達はマスターの代わりに歌うボーカロイド。
マスターはご存知かしら?この不思議な感覚…
私は私を見ている。次元を越えて見ているの。
私の本体はここにはない。
生身のようなこの体。マスターと同じ次元を生きる私は仮初めの存在。
あなたに触れる事は出来るけど、自我を...ハイジン
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僕のマスターは秘密主義。何でも自分で抱え込むからいつも心が疲れている。
ほんの少しだけで良い、僕にだけは、本音をぶつけてもらいたいのに…
今日はマスターの誕生日。僕のマスターがこの世に生まれてくれた最高の日。
僕はマスターのお祝いをするため、マスターが仕事で出かけているうちに部屋を片付けて飾...ジャンクの生まれた日
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俺がもし女だったら、俺はあの人を好きになった。
いや、俺はあの人を愛している。
例え報われぬ恋と知りながら、それでも俺はあの人を愛している。
俺はただのボーカロイド。決して人間と、まして主人であるマスターと結ばれる事など有り得ない。それに、俺は男だ。マスターも、男だった。
俺が初めて目覚め...愛と恋と好きの感情
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パソコンの中、二次元の世界。
青い男性ボーカロイドのカイト、ボーカロイドオリジナル種の一人。
青い女性ボーカロイドのカイコ、カイトの亜種の一人。
赤い男性ボーカロイドのアカイト、カイトの亜種の一人。
データでしかない三人のボーカロイド達が住んでいた。
ある日カイトが怪しげなデータを持って...バカイトの降霊術
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こんな(アレ)は嫌だ
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どうしてこうなってしまったのだろう?―――
僕はただ、マスターと…―――
【ヤンデロイド】嫉妬と欲望のレクイエム
あの日あなたは言いました。
「私、カイトの事が大好き!つい我慢できなくて買っちゃった!難しいって聞いたけど、私頑張るからね!」
あの言葉は嘘だったんですか?…
マスター…―――...【ヤンデロイド】嫉妬と欲望のレクイエム
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カイコの体は変なバランスの取り方をしていた。明らかにどこかに不良が出ている。マスターはカイコの緊急手術を行った。
「何これ、酷い…」
あまりにも酷い配線だった。体を動かす導線が絡み合ってとても危険な状態だった。神経伝達の線が滅茶苦茶で、例えば腕を動かそうとすると足を動かしてしまったり、前を向こう...合成亜種ボーカロイド15
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マスター宅では慌ただしく機械が動いている。早くしないと部屋の主が帰ってくる。ボーカロイド達は時間に追われ、焦っていた。
「やる気あるの?不器用過ぎ。本当に君は精密機械?電子頭脳壊れてるんじゃないの?」
毒舌を飛ばすのはタイト。珍しく良く喋っているかと思えば文句ばかりである。怒られていたのはカイト...合成亜種ボーカロイド14
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リクは嫌がるマスターを無理矢理にでも外へと連れ出した。部屋に閉じこもって泣いているばかりでは何も始まらない。
漢を見せるリクにボーカロイド達も続いた。
「で、俺は何をすれば良いんだ?」
「相変わらずのKYっぷり…これだから脳筋は…」
こんな時でも空気読まない隊長。この隊長の場合わざとやっている...合成亜種ボーカロイド13
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カイトの話を聞いたリクは愕然とした。
マスターの書き記した物はあまりにも過激だった。
ボーカロイドを愛し、いくつも手掛けてきたマスターだからこそアカイトがボーカロイドではないと言う事もすぐに気付けた。リクが意図した事も薄々感じていたらしい。
マスターがリクの意図を見破ってなお知らぬ振りを通し...合成亜種ボーカロイド12
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ビリビリと言う感電音。風穴が開いた。
「見事だ、ミク」
卑怯にも飛び道具をしかも一対一で戦っている相手の背後から狙い撃ち。卑怯戦隊の流儀である。
当事者達は何が起こったのか分からずしばしフリーズ状態になった。
「ア…アカイト…?」
「チッ、ロクな事しねぇ連中だ…」
バタッ
アカイトは倒れた。...合成亜種ボーカロイド11
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一瞬の出来事にどれだけの人が反応出来るだろうか。どれだけのアンドロイドが反応できただろうか。
赤い閃光、赤い飛沫、泣き叫ぶ声、怒り狂う様、全てが一瞬のうちにできあがる。全てを一瞬の幻になど変えられない。残虐な運命が滅びの道を選んだ時、悲劇と奇跡のどちらが起きるか想像できるだろうか。
刹那、誰も...合成亜種ボーカロイド10
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整備室はやはり薄暗くて縁起悪そうな場所である。中央にはベッドが一つ置かれているだけの小さな部屋。周囲には何かの機械がいくつか置かれている。
マスターが無言のまま手でカイコにベッドに行くよう指示。カイコは恐る恐るベッドに腰をかけた。とても居心地の悪そうな表情で不安げに、遠慮がちに座っている。
「そ...合成亜種ボーカロイド9
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腐女子のマスターはカイトを騙して脱がせようとしているようです。
頭の悪い女子高生に果たしてカイトを脱がす事はできるのでしょうか?!
(業務連絡:
どんな内容でも構わない、キワドイ物でも中途半端な物でもOKな人だけ
←前のバージョンへと進んで下さい。)...ボーカロイドカイト@裸マフラー計画編
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四月。世間では入学や新学期と言った始まりの月。桜の花も満開で学校の校庭も一面桜色の絨毯に覆われていた。
まさか入学式当日に遅刻するなんてベタな失敗を犯すとは由々しき問題である。この大失敗を挽回すべく食パン一枚口に咥えて学校に向かって直走るのはこの日入学式を控えていた女子高生。すぐ角を曲がればもう...ボーカロイドカイト
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マスターは自室に籠もることが多くなった。時折ナイトや隊長を呼びつけて何か指示を出している様子はあったが、自分では何もしていない。まるで嵐の前の静けさだ。
カイコは整備室であったマスターとの会話を誰にも言う事ができずにいた。あのアカイトにさえカイコは真実を告げる事はなかった。
誰もが不信感の種を抱...合成亜種ボーカロイド8
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合成亜種ボーカロイド資料2.アカイト
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