このユーザーの作品の子作品
-
少女のような小さな手。貧しい娘の白い手は貧民街の者としては色艶も良く、美しい。
慎ましく暮らしてはいるが貧困に喘ぐ人々の中にあってまだ食べる物があると言う程度の裕福さは保っている。
かつて化け物を有した魔女の姿。現在では町娘程度の暮らしを以前と変らぬ場所で過ごしている。
「ありがとう」
呪文...不完全な機械人形4
鐘雨モナ子
親作品:不完全な機械人形3
-
広い客間。ベッドの上に寝かされた主人。
「少し落ち着いたらどうかな?医師の話では疲労の蓄積が原因だとか。そう心配する事は無いだろう」
後ろに控える包帯まみれの怪しい医師の診断だ。領主も作り笑いをしている。そして主人の倒れ方も異常だった。とてもそんなうさんくさい診断など宛にできない。
「僕はマスタ...不完全な機械人形3
鐘雨モナ子
親作品:不完全な機械人形2
-
咄嗟の事とは言え、うっかり機械の顔をもろに見せたと気付いたキカイトは慌てて顔を隠したが遅かった。
「私の歌は歌えないかな?」
「え?…」
それはお忍びでやって来た領主だった。
領主は優しい顔で微笑んでいた。主人を抱え、ベンチに腰掛けていたキカイトの目線に合わせるためこの領主はなんと地面に膝を着...不完全な機械人形2
鐘雨モナ子
親作品:不完全な機械人形
-
カイコの体は変なバランスの取り方をしていた。明らかにどこかに不良が出ている。マスターはカイコの緊急手術を行った。
「何これ、酷い…」
あまりにも酷い配線だった。体を動かす導線が絡み合ってとても危険な状態だった。神経伝達の線が滅茶苦茶で、例えば腕を動かそうとすると足を動かしてしまったり、前を向こう...合成亜種ボーカロイド15
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド14
-
マスター宅では慌ただしく機械が動いている。早くしないと部屋の主が帰ってくる。ボーカロイド達は時間に追われ、焦っていた。
「やる気あるの?不器用過ぎ。本当に君は精密機械?電子頭脳壊れてるんじゃないの?」
毒舌を飛ばすのはタイト。珍しく良く喋っているかと思えば文句ばかりである。怒られていたのはカイト...合成亜種ボーカロイド14
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド13
-
リクは嫌がるマスターを無理矢理にでも外へと連れ出した。部屋に閉じこもって泣いているばかりでは何も始まらない。
漢を見せるリクにボーカロイド達も続いた。
「で、俺は何をすれば良いんだ?」
「相変わらずのKYっぷり…これだから脳筋は…」
こんな時でも空気読まない隊長。この隊長の場合わざとやっている...合成亜種ボーカロイド13
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド12
-
カイトの話を聞いたリクは愕然とした。
マスターの書き記した物はあまりにも過激だった。
ボーカロイドを愛し、いくつも手掛けてきたマスターだからこそアカイトがボーカロイドではないと言う事もすぐに気付けた。リクが意図した事も薄々感じていたらしい。
マスターがリクの意図を見破ってなお知らぬ振りを通し...合成亜種ボーカロイド12
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド11
-
ビリビリと言う感電音。風穴が開いた。
「見事だ、ミク」
卑怯にも飛び道具をしかも一対一で戦っている相手の背後から狙い撃ち。卑怯戦隊の流儀である。
当事者達は何が起こったのか分からずしばしフリーズ状態になった。
「ア…アカイト…?」
「チッ、ロクな事しねぇ連中だ…」
バタッ
アカイトは倒れた。...合成亜種ボーカロイド11
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド10
-
一瞬の出来事にどれだけの人が反応出来るだろうか。どれだけのアンドロイドが反応できただろうか。
赤い閃光、赤い飛沫、泣き叫ぶ声、怒り狂う様、全てが一瞬のうちにできあがる。全てを一瞬の幻になど変えられない。残虐な運命が滅びの道を選んだ時、悲劇と奇跡のどちらが起きるか想像できるだろうか。
刹那、誰も...合成亜種ボーカロイド10
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド9
-
整備室はやはり薄暗くて縁起悪そうな場所である。中央にはベッドが一つ置かれているだけの小さな部屋。周囲には何かの機械がいくつか置かれている。
マスターが無言のまま手でカイコにベッドに行くよう指示。カイコは恐る恐るベッドに腰をかけた。とても居心地の悪そうな表情で不安げに、遠慮がちに座っている。
「そ...合成亜種ボーカロイド9
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド8
-
腐女子のマスターはカイトを騙して脱がせようとしているようです。
頭の悪い女子高生に果たしてカイトを脱がす事はできるのでしょうか?!
(業務連絡:
どんな内容でも構わない、キワドイ物でも中途半端な物でもOKな人だけ
←前のバージョンへと進んで下さい。)...ボーカロイドカイト@裸マフラー計画編
鐘雨モナ子
親作品:ボーカロイドカイト
-
マスターは自室に籠もることが多くなった。時折ナイトや隊長を呼びつけて何か指示を出している様子はあったが、自分では何もしていない。まるで嵐の前の静けさだ。
カイコは整備室であったマスターとの会話を誰にも言う事ができずにいた。あのアカイトにさえカイコは真実を告げる事はなかった。
誰もが不信感の種を抱...合成亜種ボーカロイド8
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド7
-
マスターは自室に籠もったままついにその日、みんなの前に姿を現すことは無かった。
夜が明けて、朝食前。ナイトがマスターの朝食を用意している隙にタイトがマスターの部屋を訪ねた。
「マスター、すみません。また失敗して…整備お願いできますか?」
タイトはわざと自分の音声調整部をすぐ直せる程度に破壊して...合成亜種ボーカロイド7
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド6
-
悪魔の囁きが心の隙間に入り込み、間の悪さは更に不信感を煽る。
悪い事は重なるのだ。そして連鎖し、伝染する。どんなに振り払おうと、こればかりはまるで病魔のようにしつこくてなかなか治すことができない。
「ただいまかえりました」
「おかえり、カイ…コ…?」
カイコの声がして珍しくマスターが自分のボー...合成亜種ボーカロイド6
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド5
-
アカイトがカイコを連れて明るい街中を歩く。非常に平和な景色である。
マスターなしに自由に遊び歩くボーカロイドなど殆ど居ない。何故なら大抵財布はマスターが持っているからだ。しかしこの家庭は珍しく、個々に財布を所持している。基本的に自由な家庭だった。各々好みが違うから欲しい物は自分で勝手に用意しろと...合成亜種ボーカロイド5
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド4
-
カイコがマスターの家に来て数日が経った。マスターはカイコを女扱いしていたがそれを除けば十分愛情を注いでくれたし、好物のアイスも沢山ご馳走してくれた。カイコにとってそれなりに良い環境だった。ただ一つ、カイコが気になっていたのはある仲間の視線である。それはいつもどこか怪我をしているミイラ男、タイトの視...
合成亜種ボーカロイド4
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド3
-
カイコがカイコになってから初めての朝。亜種達はそれぞれ個性的だった。見た目も中身も。
「おはようございます、カイコ。昨日は良く眠れましたか?」
紳士的なナイトが軽く会釈してカイコに話しかけた。
「お、おはようございます。お陰様で良く眠れましたよ」
カイコは元が男だからか、この紳士的な男の振る舞...合成亜種ボーカロイド3
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド2
-
目を覚ました新入りカイトが違和感に気付いたのは起き上がった時である。妙に体が重くてだるい。まるで自分の物ではないかのようだと感じた。
ベッドから降りて立ち上がると違和感は明確に現れた。
「あれ?どうして…?!」
部屋はあの機械だらけの恐怖の部屋ではなく、最初に見た少し散らかった極ありふれたマス...合成亜種ボーカロイド2
鐘雨モナ子
親作品:合成亜種ボーカロイド
-
夏の日の想い出(塗り替え版)
鐘雨モナ子
親作品:夏の日の想い出