タグ「マスター」のついた投稿作品一覧(19)
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その名を呼ばれるのは好かないらしい。だから呼ぼうとして躊躇ってしまう。
マスターと二人きり。しかもマスターは動けない。こんなチャンスたぶんない。
マスターが風邪を引いた。面倒を見ようとした兄に代わりお世話をする事になったミク。
「今日のお昼はカレーだよ!」
カレーをマスターの...夏の始まり4
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カイトはそっと扉を開けた。
「ミク?‥‥」
居ると思ったのに、中には眠りに着いた楓の姿しかなかった。どこに行ったのだろう?まったく、マスターの世話を焼きたがったのは自分のくせに、どこかへ行ってしまうなんて‥‥
不甲斐ない妹を内心叱りつけ、カイトはそっと目の前に横たわる主人の髪を撫でた。
相変...夏の始まり3
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立春、立秋、立冬。何となく聞くけど夏は無いの?いいえ、あります。立夏。
春は始まりの季節。秋は意欲の季節。冬は身を寄せ合い団らんを営む季節。では夏は?―――
季節はもう夏だと言うのにまだ春先の暖かさを保っている。けれど紫外線は容赦なく降り注ぎじわじわと人肌を焼いた。
例年では夏の熱い日差...夏の始まり
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カイトは自室にて呆けたように外を眺める。世間のバレンタインを無感動に眺めながら、自分の置かれた立場、現実を目の前にうちひしがれていた。
「僕は、何をしていたのだろう?最初から解っていた事なのに…」
期待などしていなかった。ボーカロイドの本気の聴力感度は非常に高く、マスターの少し大きなぼやきさえ...やらねぇよ(続)
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ボーカロイド。人の代わりに歌う為生まれたボーカルアンドロイド。声を用いて音を奏でる彼らは基本主たるマスターを敬愛し、尽くすようにプログラムされている。
二月十四日。世間ではバレンタインデーと称されるこの日、ボーカロイドカイトは生まれた。青いストレートの短髪、青い瞳、白いロングコートに青いロン...やらねぇよ
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一見、何の変化も見られない双子。これから何が起こるのか、キカイトには予想すら立てられなかった。
「生きるって大変ね…」
眠りから醒めたリンの第一声だ。
「あぁ、生きるって大変だ…物を食べなくてはいけないし、休むために寝なくてはいけないし、嫌だと思っても日々働かなくてはならないし」
「働けど働けど...不完全な機械人形(おまけ)2
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※ この作品は 『不完全な機械人形』シリーズのおまけです。
一応作品としては終了しているのでこれはあくまでもおまけです。
救いが無いのが嫌な人の為に?と、思ったのですが余計救いようが無くなった気がしますorz
本編の感じをぶち壊してしまう可能性があります。
それで...不完全な機械人形(おまけ)
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少女のような小さな手。貧しい娘の白い手は貧民街の者としては色艶も良く、美しい。
慎ましく暮らしてはいるが貧困に喘ぐ人々の中にあってまだ食べる物があると言う程度の裕福さは保っている。
かつて化け物を有した魔女の姿。現在では町娘程度の暮らしを以前と変らぬ場所で過ごしている。
「ありがとう」
呪文...不完全な機械人形4
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広い客間。ベッドの上に寝かされた主人。
「少し落ち着いたらどうかな?医師の話では疲労の蓄積が原因だとか。そう心配する事は無いだろう」
後ろに控える包帯まみれの怪しい医師の診断だ。領主も作り笑いをしている。そして主人の倒れ方も異常だった。とてもそんなうさんくさい診断など宛にできない。
「僕はマスタ...不完全な機械人形3
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咄嗟の事とは言え、うっかり機械の顔をもろに見せたと気付いたキカイトは慌てて顔を隠したが遅かった。
「私の歌は歌えないかな?」
「え?…」
それはお忍びでやって来た領主だった。
領主は優しい顔で微笑んでいた。主人を抱え、ベンチに腰掛けていたキカイトの目線に合わせるためこの領主はなんと地面に膝を着...不完全な機械人形2
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『世の中全てがあなたを醜いと言ったとしても
世の中全てがあなたに石を投げつけ、化け物と罵っても
世の中全てがあなたの敵になったとしても…』
――――私はあなたを誇りに想う――――
例えあなたが世間でジャンクと呼ばれたとしても――――――――――...不完全な機械人形
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あぁ不思議、不思議だわ?
私達はマスターの代わりに歌うボーカロイド。
マスターはご存知かしら?この不思議な感覚…
私は私を見ている。次元を越えて見ているの。
私の本体はここにはない。
生身のようなこの体。マスターと同じ次元を生きる私は仮初めの存在。
あなたに触れる事は出来るけど、自我を...ハイジン
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僕のマスターは秘密主義。何でも自分で抱え込むからいつも心が疲れている。
ほんの少しだけで良い、僕にだけは、本音をぶつけてもらいたいのに…
今日はマスターの誕生日。僕のマスターがこの世に生まれてくれた最高の日。
僕はマスターのお祝いをするため、マスターが仕事で出かけているうちに部屋を片付けて飾...ジャンクの生まれた日
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四月。世間では入学や新学期と言った始まりの月。桜の花も満開で学校の校庭も一面桜色の絨毯に覆われていた。
まさか入学式当日に遅刻するなんてベタな失敗を犯すとは由々しき問題である。この大失敗を挽回すべく食パン一枚口に咥えて学校に向かって直走るのはこの日入学式を控えていた女子高生。すぐ角を曲がればもう...ボーカロイドカイト
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マスターは自室に籠もったままついにその日、みんなの前に姿を現すことは無かった。
夜が明けて、朝食前。ナイトがマスターの朝食を用意している隙にタイトがマスターの部屋を訪ねた。
「マスター、すみません。また失敗して…整備お願いできますか?」
タイトはわざと自分の音声調整部をすぐ直せる程度に破壊して...合成亜種ボーカロイド7
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悪魔の囁きが心の隙間に入り込み、間の悪さは更に不信感を煽る。
悪い事は重なるのだ。そして連鎖し、伝染する。どんなに振り払おうと、こればかりはまるで病魔のようにしつこくてなかなか治すことができない。
「ただいまかえりました」
「おかえり、カイ…コ…?」
カイコの声がして珍しくマスターが自分のボー...合成亜種ボーカロイド6
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カイコがマスターの家に来て数日が経った。マスターはカイコを女扱いしていたがそれを除けば十分愛情を注いでくれたし、好物のアイスも沢山ご馳走してくれた。カイコにとってそれなりに良い環境だった。ただ一つ、カイコが気になっていたのはある仲間の視線である。それはいつもどこか怪我をしているミイラ男、タイトの視...
合成亜種ボーカロイド4
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目を覚ました新入りカイトが違和感に気付いたのは起き上がった時である。妙に体が重くてだるい。まるで自分の物ではないかのようだと感じた。
ベッドから降りて立ち上がると違和感は明確に現れた。
「あれ?どうして…?!」
部屋はあの機械だらけの恐怖の部屋ではなく、最初に見た少し散らかった極ありふれたマス...合成亜種ボーカロイド2
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三次元ボーカロイド。所謂『感情を持った歌うロボット』である。近年この三次元ボーカロイドがブームとなっている。
量産されたボーカロイド達は飽和状態となり、人々は新品ばかり求める傍ら飽きて途中で捨ててしまったり、売りに出すケースも珍しくはなかった。売られて中古として再販されるボーカロイド達は新品を欲...合成亜種ボーカロイド