あーるNの投稿作品一覧
-
斑雪がきらめく畦道に
君の手を取り駆け出した
春の宵のこと
朧月にも透けそうな黒い髪は靡く
桜が舞い散る頃に 好きを隠した
夏野の裾 汗ばむ肌 清水滴る半夏生
七夕にも書けなかった 好きを飲み込む
水鏡に浮かぶ月を求めるように
袖を涙で濡らすように
恋焦がれてしまった__...四季と彩色
-
目覚めは最悪だった
世界は灰色だった
どこか遠くで定刻の鐘がなる
空を見上げても
この草原の先を見つめても
君はどこにも居なくて
夢の続きを僕は思い出した
温かくて柔らかい手や黒目の大きい瞳
いつも僕を照らした淡い笑顔だって
もう思い出すだけで終わるのかな―...サヨナラtomorrow
-
レンズ越しのあの夏の1ページ
眩しくて
波の音と潮の香りが体をくすぐる
砂に散らばった熱と君の欠片を探そうか
落ちる涙もすぐに乾いて見えなくなる
ー夜が来たー
群青と冷たい月に包まれたどこまでも続く水平線が
僕の景色を反射させたー
深海に沈む君の涙で出来た琥珀
サファイアよりも深い蒼...光彩
-
私たちを繋いでいたのは
確かな愛情と脆い糸
すれ違いに言い訳をつけなければ
素直になれたのかな
瞬きを何回しても頬を抓っても
夢じゃないことを知るだけ それだけ
忘れられた気がした
諦められた気がした
それでも思い出してしまう
君なしで今までどうやって生きてきたか...記憶の花氷
-
乾いた夏空に響いた慟哭
君の咽びは似合わない
『あの子のこと殺しちゃった』
蒼白した顔で言う君の表情はどこか安心していて
君が救われるならそれでいいと手を取り逃げ出した
誰にも見つからないところへ
死んでも見つからないところへ
持ち物は財布だけで十分さ
後を引く思い出は破り捨てよう
彷徨うまま たど...時計塔
-
淡く弾けるような恋をしてみたくて
炭酸が苦手でも 夢を見ていた
僕の大好きなあの子は
サイダーが大好きで
だから僕もひとくち飲んでみた
舌先に残る
電気が走る感覚
この味には慣れないよ
似合わないのは 分かってるさ
それでも近づきたいんだー...cider
-
エンドロールが流れている
客席には私だけ
この心のせいか映画のせいか感動は1ミリもしなかった
ふらついた足で家に帰ろう
君の影はどこにもない
原因なんてどうでも良くてただ
『別れた』この事実が痛い
少しの間でもいいから君を忘れたかった
新しい恋に踏み出せるほど強くなかった
それなら落ちるところまで落...フィクション
-
何かになりたいと望んでいた訳じゃない
どうせ何かになるんだって思ってた
あの頃から変わったことと言えば
世界が右に倣って傍観者です
モザイク仕掛けのその手で
誰が差し出したかさえ曖昧なその手を
掴んだところで透過して排気ガスに飲まれていく
顔も見えない 所詮その程度
凡人の波にのまれ
くだらない...然れど世界は廻り続ける
-
雨が降っている歩道橋
傘を投げ捨てたー
雨に濡れる制服 肩が透けて見える
頬を伝う滴は 流れ落ちて
足元に水溜まりを作る
車のヘッドライトが眩しいな
今何時だっけ?
瞬きを3回して歩き出した 学校へと
『もう嫌だ 消してやる』って
思っても 思うだけ...雨と傘 -another story-
-
空のように綺麗な色をした
君の制服のスカートは
雨に濡れたせいか
青く濃く変色していた
髪はびっしょりで
頬には雨か涙か分からない跡が二つ
『君のせいだ』って響く教室はー
笑顔だけが取り柄だった
あの笑顔はもうどこにもない
『あの子』が乗ってきた僕の背中は...雨と傘
-
泡沫になれたら
音も痛みもなく死ねたら
人はきっと『1人で可哀想』って言うのかな
僕は寂しくないのに
僕の存在価値なんて腕の切り傷くらいだ
弱い 弱い 脆い
いつからだっけ?
弱い 弱い 脆い
頑張れって言葉が嫌いで
鏡に映る僕の顔はあの凶悪犯そっくりで...僕は人生の被害者
-
春を捨てた 微睡む列車の隅で
愛誦(アイショウ)しながら 花霞染まる空を見ながら
君と二人 世界の果てで
他愛ないことで笑い合いたかった
変えられない現実の中で
後悔と理想を並べている
窓の隙間から差し込む
春風が瞼を撫でて通り過ぎてく
幸せだったの
出会いからすれ違いさえ 一から九まで...卯の花腐し
-
明確な答えはない
そんな解を解いたって自己満足でしかない
温くなったコーヒーを飲む気にはなれなかった
メロドラマに浸って 涙流したって
次に進めるほど僕は単純じゃない
君がいつまでも僕の記憶にいるせいで
嫌いなものを選択する毎日だ
あの日雨に濡れた君に
差し出せなかった傘
今では差し出す相手もい...過去に縋る
-
下から見上げた水面(ミナモ)に
映った僕の涙が流れて消えた-
砂に書いた未来設計図
波に飲み込まれて消えた
僕らの未来も泡沫(ウタカタ)にしてしまったんだね
キラキラって輝く小さな幸せ
これが続かないなら今だけ幸せにして
深海で息詰まる人魚姫
泳ぎ方を知らないの
吸い込まれるトウメイ色の明日...海のストーリー
-
茜色が泣いている
夕日が落ちることを嘆くように
蝉の音を焦がさないように
虚しさを埋められない
僕の心はそんな色に染まって
夕日が落ちれば辺りは暗くなり
群青の景色が視界を奪う
この色は僕の寂しさを掻き立てるから
僕は苦手だ
真っ紅に染まった夕日は黒が良く見えるから 影が綺麗に映るから...群青と茜色のノベル
-
喧噪が蔓延(ハビコ)る街
僕は息をしている
誰にも気づかれない塩梅で淡々と笑っている
一体犯人は誰なんだって問い詰めても知るもんか
その手に握ってる明日に解答(コタエ)があるんじゃない?
モノクローグもドラマツルギーも
全部 全部 堕ちて 堕ちて
過去に裏切られたと叫喚する神父は箱庭の鳥ー
羽があ...堕天使
-
君が溶ける そんな気がした
桜吹雪に隠れる君の涙
あと少しで頬を伝いそうなくらいに溢れている
君は少しだけ上を向いた
そんな切なげにどこを見ているの
目を細めて何が見えるの
パステルに染められた僕の視界
君が伸ばした手の先に何があるの
空(クウ)を掴んでは涙を零したけど拭わなかった
あれはもう...春に溶ける
-
今日に媚びた私は
遣る瀬ないまま閑散とした街を歩く
スーツも窶れて
今日も月並みの感情が私を縛る
廃墟の都市は蒼然としたままでぼやけた夜を映す
痛いくらいの優越感を手にいれたのに
ため息に紛れる価値観は壊れて逃げてく
蒙昧なアイロニーに浸って一杯になってもう食べられない―
笑 笑 笑 笑ったって 痛...輪奈
-
私と君を繋いでいた赤い糸は
どこかで切れてしまった
小指に残る糸の切れ端を眺めている
気づいていたよ
君がもう私を見ていないこと
私の瞳には君がいるのに
何故か目が合わないの
私が優しかったら
掴んでいる君の袖を離して
背中を押してあげられたのに...恋の終わり
-
格子から漏れる甘い声も
絡み合う指先も糸も
今宵だけは僕のものだ 手放さない
朝までこのまま交わそう
泡沫の雫を玉響(タマユラ)の随に
手を伸ばして愛を愛でる
君が為に願う虚空は 月影の現(ウツツ)街
夜が深くなるその前に
さぁ こっちおいで?-
遊びなんて 体裁なんて...宵の空
-
まだ続くはずだった
僕の片想いの物語
終点のない列車に揺蕩って
振動と僕の鼓動が重なって恋を紡ぐ
夏風が空を薙ぐ7月の終わり
終点を見つけた列車は僕を降ろした
いつもの君の笑顔の中に愛しさが混じって
その笑みを向けるのは僕じゃなくて
物語に突然現れた王子様なんだー
行く宛のないこの気持ちを...横恋慕
-
傾国(ケイコク)が望んだ月影は
かぐや姫も望んだ水面の月
手を伸ばしたとて届かぬ 掴めぬ
明日に涙を飾れば玉響(タマユラ)の時は吐息に消えるのだろう
口約の天誅(テンチュウ) 誰がため願う
小さき想いは儚く散るのに
早くしなくちゃ 早くしなくちゃ
あなたがこの手からすり抜ける―
傾国が望んだ...月と華
-
サンダル放り投げた午後だった
海岸歩く ひとり裸足で
車が横を通り過ぎ 秋風を匂わせた
君の笑顔を探す夏の旅は
そろそろ終わりにしなくちゃ
今年も会えなかったね
これで何回目かな
蝉が鳴かなくなった
砂浜も熱を失った
8月が終わる声がしたー...August
-
いつだって知りたいことは
知ることができないまま
知らなくていいことばかりを
教わってきたよ
僕の言葉で書く歌詞はいつも読み返すと誰かの言葉だった
振り向いて見つめ返す僕の足跡は
等間隔に並んでいる
明日が恋した世界に対して
Rebellionに正論をぶちかます
あぁ たとえ徒(アダ)だとしても...エゴイスト
-
閉じた教室 飛び交う罵詈雑言に
目を伏せて少女は笑う
『傷つけあって滅びあってそのまま居なくなればいい』
今日の標的はあなたです
首から下げられたレッテル
昨日の友は今日の敵 それを表すかのように
みんなで中指立てた
あぁ どこで何を間違ったの?ー
繰り広げられる排斥惨状
泣いたら負けのTENS...TENSION GAME
-
『さよならだ』別れを告げよう
君にちゃんと笑ってもらおう
僕は泣いちゃうかもしれないね
それでも君は僕を抱きしめて
『ありがとう』って言うのかな
2人でいれば寂しくなかった
『おかえり』も『行ってらっしゃい』も
僕の背中を支えてくれていた
左手に光るリングは確かに僕らの
赤い糸だー...幸せをみてるよ
-
いつの間にか追いかけていた
追いかける日々が楽しくて
君から与えられるものは何一つ返せてはいなかった
1人で漕ぎ出した海原は広くて不安にもなったりしたけど
君がいつも輝いているから迷わずにここまで来れたんだ
後悔させないからついてこいよ
なんて それは
後悔してもいいからついていきます
って思ってる...crew
-
夏が枯れた
空っぽの僕を埋めるのは…ー
『切ない』ってどんな感情かな
転ばないように下を向いてたら
いつの間にか季節は変わってた
移りゆく季節の中で僕らは一体何を探しているのだろう
果実が熟(う)れても 僕は熟れないし
いつまでも子供で
その場 足踏み 駄々(だだ)こねて
大人のフリして読書なんて...空っぽの秋
-
どこか酩酊(メイテイ)した空気の街
人々が吐き出したベノムが漂う
下を向いて歩く僕は目が泳いでいる
君に本心がバレないように
暴言を吐いて爛(タダ)れた
火傷(ヤケド)の痕
暴力に耐え続け出来た
痣(アザ)の色
隠し続けることで君に触れられるなら
僕はずっと隠し続けよう-...想いロボット
-
✂ーーーーーーーーーーーーーーー✂
絵空事に倣って狂った歯車
僕の安寧を支配している
不要品のタグを付けた未来は
愛情と愛憎を含んだ刃で僕の腹を突いた
線路に投げ出した片足
君は何を待っているの?
警鐘鳴らした列車にその身を投げた-
紅く染まる視界-
憧憬ディストピア...憧憬ディストピア