ブックマークした作品
-
静かな寝息 私より年上なのに少年のような寝顔
思わず笑みがこぼれる
私の膝枕で気持ちよさげに眠る彼の髪はサラサラでやわらかで
身体はとても暖かで 息を吸うたび動く肩は
やっぱり男の子なんだと意識させるには充分しっかりしてる
いつもは少し意地悪で不器用なところもある人だけど
こうして寝ているときはとて...ほっとすりーぷ
鈴猫(りんねこ)
-
さようなら。
遠い昔の記憶がよみがえる。
僕は、遠い昔この桜の木の下で誰かと別れを告げた。
久しぶりのふるさと。ざっと30年ぶりだろうか。
あの頃よりだいぶ家が増えたが、それ以外はほとんど変わっていない。
川も森も田んぼも空気もあのころのままだった。
さようならを告げた後、僕はこの村を去った。
理由...桜の木にて君を待つ
コウ
-
少女はその星でたった一人の人間だった。
少女は膝を抱えて座っていた。来る日も、来る日も、来る日も、星の草木たちへの水やり以外の時間は、ずっと膝を抱えて座っていた。
ある晩の事だった。いつものように膝を抱えて座っていたら、遠くから何やら音が聞こえた。
シャラララ・・・・・・
と、聞いたことの...星の子
猫とロハス
-
あの鉄柵の向こう、淀んだ沼の底には、誰かが沈んでいる。
僕は誰に言われたわけでもないのに、そう信じ込んでいた。別に、死んだ人を知るわけでもないし、そういった噂を聞いたわけでもない。鈍色に輝く沼の底は魚の影さえ見えず、勿論死体の気配もありはしない。明け方、時折靄で霞むその沼に対して僕が抱く、漠然と...【二次創作】植物園
mika_ita
-
38.最終回・海と空の伝説 ~滄海のPygmalion~
「……今でも、ここは、あの時と同じ風が吹いているのよ」
語り終えたレンカは、そう言って笑った。
傍らに腰掛けた孫娘は、海を見つめ、レンカを振り向き、そして今も岬に残るサンダルの像に駆け寄った。
ぺたぺたとさわり、目を丸くする。
「本当に...滄海のPygmalion 38.最終回・海と空の伝説 ~滄海のPygmalion~
wanita
-
ミクと鶴田社長、幸子夫人は固い握手を交わし、工場を後にした。
社長と夫人はミクとレンの姿が見えなくなるまで、何度も頭を下げ、手を振っていた。
「ミク姉、いいの? あんな大金貸しちゃって?」
大通りでタクシーを待ちながら、レンが聞いた。
「大丈夫よ。鶴田社長、いい人だったでしょ」
「いい人だとは思うけ...初音ミクの再建 ~ネギ煎餅の北斗製菓を救え~(後編)
ピーナッツ
-
†
僕がマスターのパソコンにインストールされたのは、桜が丁度満開になった頃でした。後から教えてもらった話だと、繰り返しの日々に嫌気が差したマスターは、自分への最後の挑戦にと一縷の望みを託して僕を買ってくれたんですよね。
僕の“心”は、マスターが僕をイ...おはようからおやすみまで暮らしを見つめるのは 完
Lilium
-
第四章 ガクポの反乱 パート6
どうやら、上手く進入できたようだ。
テトが内壁南門を守備する衛兵との会話を終えて、一度止めていた馬車を再び移動させる気配が伝わると、ガクポは安堵したように、周囲に気取られない程度の溜息を漏らした。先日のテトとの会談から一週間後。五月二十一日の出来事である。今頃、リ...ハーツストーリー 68
レイジ
-
30.飛翔
「リント?! ここは……」
驚きのままに言葉を紡ぐルカの前で、リントはやや慌てた様子で首を振った。
「あ、着替えさせたのはオレじゃないよ。ここの島の女の人たちだから」
ちぐはぐな答を返され、ふとルカは自分の体を見た。着ていた軍の制服のズボンと機能性重視のシャツは脱がされ、ゆったりとし...滄海のPygmalion 30.飛翔
wanita
-
揺れる心。
レン視点。
まだ心臓がドキドキしてる。
あー・・・。これでリンが振り向いてくれたらいいな・・。
なんて。
くさいな、俺も・・・///
気を紛らわせようと、携帯を開ける。
あ、そっか、今日初音にメアド聞かれたんだった。
あれは何だったんだろ・・。...Triangle 中 レン視点ver
あきのき
-
メッセージを投稿できる場所はどこも、これと似た内容の発言が多く書き込まれていた。
そして今も増え続けている。
音楽の情報を交換する掲示板でも、映画のレビューを投稿するような場所でも。
さらに異様なのは、それらの言葉を受け入れている人が多数、存在している点だった。
その現実では考えられない出来事に対し...【小説】俺と70億の鏡音リンちゃんと激しく降りそそぐ流星群(10)
リンちゃんの使い魔
-
「いってらっしゃいませ、マスター」
いつも通り、僕はマスターを玄関先で見送る。これも僕の決めた日課の一つ。気持ちよく出て行けるように、そしてまた帰って来たくなるように。精一杯の笑顔で寂しさを押し隠す。
「ああ、行ってくるよ。留守番、頼むな」
マスターは何も気付かない。本当に鈍感なマスター。僕が笑...おはようからおやすみまで暮らしを見つめるのは 2
Lilium
-
さて、メルアドを交換してからと言うもの何通ものやり方が交わされた
基本は好きな作家や小説の話ばかりが受信ボックスを埋めていく
学年と活動が違うだけで会う機会が殆どない
珍しく弁当を忘れ、食堂に買いに行くことにした
売店に並んでる間溢れかえるような人の多さに視線を泳がせると
ルカの鮮やかな桃色の髪が人...その3「私が導く幸せの話」 カイメイ
神崎遥
-
君恋る音(きみ・こうる・おと)
2.ハジメテノオト‐①
ささき蒼衣(そうえ)
…―多分、初めて貴女を知った時から、僕は“恋”に落ちていた。
「―じゃ、取り合えず下に降りよっか。先輩達、待ってるだろうし。」
葉月がそう言うので、KAITOも彼女について部屋を出る。…と…。
「うわーい、アルファお兄...君恋る音(きみ・こうる・おと) 2.ハジメテノオト‐①
ささき蒼衣(そうえ)
-
家に帰り、部屋にこもると早速先ほど押し付けられた小説を読んでみた
タイトルの欄は空欄のまま、始音カイトとかかれた下に
ー是非、感想くださいー
人を評価できるほどの腕もないのにと思いつつも一頁を捲った
それはまるで重石をつけたまま深海に落ちていくように、メイコはその作品に落ちていく
ひとつの出来事を少...その2「私が導く幸せの話」 カイメイ
神崎遥
-
その言葉に彼女はただ涙を流し頷くだけだった
きっと共に生きることは出来ないと思っていた彼女にとって
彼からの言葉は今までの不幸を全て無にするようにも思えた
きっと二人はこれからずっと、ずっと
手が止まってしまった、どれだけ捻り出そうとしても最後がどうしても気に入らず
何度書き直しても進めなくなり、額...その1「私が導く幸せの話」 カイメイ
神崎遥
-
月がすべてを支配する国でのお話
ある湖のほとりに少女が、立っていました.湖は、悪魔が出るといわれている所でした。
そこへ悪魔が、少女のところへやってきて言いました
「お前の魂と引きかえに何か願いを叶えてやろう。」
少女は、言いました.
「どんな願いも叶えてくれるのですか?」
悪魔は言いました。
「も...月と絵画
銀河 はやぶさ
-
幼い頃から色々と習い事をしているみたいだが中でも杖術が好きらしく、今でも晴れている日は外で、出勤前に1人で稽古っぽいことをしている。
大学入学時、一人暮らしする時にか弱き乙女だから知り合いが近くにいると安心できるという理由で隣に住むことになったが、多分、俺より圧倒的に強い。
俺や未来は、今は実家のあ...【小説】俺と70億の鏡音リンちゃんと激しく降りそそぐ流星群(8)
リンちゃんの使い魔
-
悪食娘コンチータ 第二章 コンチータの館(パート1)
夏も半ばを過ぎて、それまで肌を刺すような暑さも幾分かは和らいだこの時期に、避暑という名目で王都を離れる貴族は通例ならば存在してはいなかった。ただ今年に限っては、唯一の例外として、少人数ながら精鋭の護衛を引き連れたバニカ夫人だけがコンチータ男爵領...小説版 悪食娘コンチータ 第二章(パート1)
レイジ
-
はじめて見た空
はじめて見た花
はじめて見た緑…。
本では見た事あるけど、
本物ははじめて見た。
あの暗い檻から出てはじめに目に飛び込んできたもの
それはすべて輝いていて、美しかった…。
「あいつだっ!!!捕まえろっ!!!」
声した方に振り向くと、
新しくなった嫌な鎖と、武器を持った人々が追いかけて...罪人と恋と
M6@IN低下
-
27.ドレスズ島の真実
「何をする! やめろ! 放せ!」
リントは全力で暴れた。頭では相手が放すわけないとわかっていたが、それでも力のかぎりに暴れた。相手は四人。ひとりがリントの背を押さえつけ、一人がリントの口に布をかませ、一人がリントの手を後ろに回し、一人がリントの足首を地面に縫い付けていた。
...滄海のPygmalion 27.ドレスズの真実
wanita
-
28.翼の矜持
ぐ、とリントの喉が詰まった。溢れた吐き気と熱をこらえきれずに、リントは思い切り思いをぶちまけた。
「悪いけど、オレには無理だ! 誰かを守るために他のどこかを犠牲にするとか! 手を汚さずに綺麗ごとばかり言うなとか!
……いいじゃないかよ! きれいごと言ったって!」
リントの絶叫が、...滄海のPygmalion 28.翼の矜持
wanita
-
悪食娘コンチータ 第一章 王宮にて(パート6)
コンチータ男爵の葬儀以来だろうか。暫くぶりに見るバニカ夫人の姿は、オルスにとっては少なからず衝撃を与える姿であった。簡易的な食堂にも使用できる、木目が美しい、樫の一本木で作られたテーブルの上座に腰かけているバニカ夫人の、かつて美しく整えられていた肌は...小説版 悪食娘コンチータ 第一章(パート6)
レイジ
-
26.守る者、守られる者
空気を切り裂く音が耳を掠めた。
「来たぞ!」
驚いて思わず物影に身を引いた若者のかわりに、ヴァシリスがさっと物陰から銃口を出して、風の来た方向に続けざまに撃つ。
響いた音に、広場の緊張が一気に高まった。
瓦礫の山に身を隠しながら、ヴァシリスの班の六人は、二人ずつ組に...滄海のPygmalion 26.守る者、守られる者
wanita
-
庭の植物たちは素直にすくすくと上へと育っていく。その伸びて行く先に何か障害があったとしても、柔軟に避けて、そしてまた上へと伸びて行く。自分は何で植物のように行かないのだろう。愚鈍なまでに真っ直ぐに、言わなくても良い事まで行ってしまうほどにまっすぐにしか、進めないのか。
そして失敗したと、間違えた...今日の夕ごはん・6
sunny_m
-
理解不能だというようにリリィは首を振って、何で笑ってるのお姉ちゃんと怒りの声をあげた。
「そんな、笑う様な事じゃないでしょ?彼氏と別れたって、そりゃあ私たちと年齢だと大したことじゃないかもしれないけど。でも笑って話す事でもないよ。なんで、そんな風に笑ってるの?」
怒りのままに言葉を連ねたリリィに、...今日の夕ごはん・5
sunny_m
-
いつもよりも早く家に帰ると、誰も姿もそこには無かった。きっとグミはがちゃ坊を連れて買い物にでも行っているのだろう。今日の夕飯はグミの当番だ。そして自分は洗濯物を取り込んだりしないといけない。けれど、気分がのらない。
テレビをつけてむっつりとそれを眺めていると、ほどなくしてグミとがちゃ坊が帰ってき...今日の夕ごはん・4
sunny_m
-
自分でも気が強い方だと、リリィは分かっていた。間違いをまちがいのままにできない、頑固さがあると、自分でもよく分かっていた。だからこういう役回りを押しつけられてしまうのも、うんざりはするけれど、仕方が無いことだと思っていた。
それは他愛のない諍い。合唱コンクールの学校代表に選ばれたリリィのクラスは...今日の夕ごはん・3
sunny_m
-
レンコンのきんぴら、茹でた枝豆、味噌味の肉野菜炒め、ぬか漬けのきゅうりと茄子、白いご飯、そしてイワシのつみれ汁。いただきます。と兄妹4人そろって手を合わせ、そしてめいめいおかずに箸を伸ばす。
火が通って甘くなった玉ねぎというのは美味しいと思う。それに少し漬かり過ぎた感じのあるぬか漬けきゅうりも。...今日の夕ごはん・2
sunny_m
-
目が覚めたとき、私は台の上に横たわっていた。
視界に広がるのは、きらきら光る金属や目が潰れてしまいそうな眩しい光。そして、可愛い顔をしたたくさんの女の子と、妙に青白い一人の男。
「へへ、やった……やったぞ……」
彼は何を言っているのだろう。私はどうしてここにいるのだろう。ここにいたくない。帰...The world of the chain 1-1
JUNE