タグ:鏡の悪魔
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-雨で-
いつの間にか、外は大きな音を立てながら滝のような雨が降り注いでいて、窓から外を見ると酷く歪んで見えた。
「――お昼、食べました?作りますよ」
突然、カイコガ言った。
「ああ、食べてないわね。…作るなら、手伝うわよ」
やっと気がついたというように、メイコが...鏡の悪魔Ⅳ 4
リオン
-紅と藍-
無理やりリンをたたき起こし、レンがリビングへ降りてくると、既に荷物は出来上がっていて、メイコ・ルカ・リンとレンの分で、大きなバッグ二つと小さ目のバック二つにまとまっていた。そんな荷物を軽々と持ち上げ、玄関のほうまで運ぶ役目を、メイトがきっちりとこなしていた。...鏡の悪魔Ⅳ 4
リオン
-出発準備-
しばらくすると、教室は静まり返った。
それから、どっと笑いが起こる。何故笑われているのか分かっていないのは、メイトただ一人だった。きょとんとしているメイトを見て、皆が笑っていることは明白だった。
「…メイトさん、それ、棒タイです。ネクタイじゃありません...鏡の悪魔Ⅳ 3
リオン
-学園祭準備-
スクールバックを持って、弁当を押し込むと、靴に無理やり足をねじ込んで一旦振り返ると、リンはメイコに言う。
「それじゃあ、行ってきます!」
「ええ、いってらっしゃい」
ドアを開けるなりレンの手を引いて家を飛び出す。家の前ではミクとプリマが並んで立っ...鏡の悪魔Ⅳ 2
リオン
鏡の悪魔Ⅳ
-紅いもの同士-
「ちょっと疲れた…。少しゆっくり帰っても大丈夫よね」
そう独り言をいい、メイコは公園のベンチに座って買い物帰りのエコバッグから『鮭とば』と缶ビールを取り出し、まっていましたと言うように嬉しそうに鮭とばの袋を開き、缶...鏡の悪魔Ⅳ 1
リオン
-おまけ-
『鏡の悪魔』を見ていない方、またはその世界観を壊したくない方や、腐向け表現に不快感を感じる方は、Uターン推奨します。
まあ、腐向けっつったって、たいしたことないんですけどね!!(←ここ大事)
さて。それでははじめましょう。残った方々にのみ、知ることのできる、
『裏鏡の悪魔』です。
『...鏡の悪魔Ⅲ 26.5
リオン
-終焉-
空は青く広がり、まるで何事もなかったかのように、涼しい風が地をすべるように駆け抜けていく。その風のひとつが、リンの髪を揺らして頬をなでて流れていった。
その表情は決して清々しいとはいえず、険しい表情をしていた。
先ほど、ルカから連絡が入ったのだ。内容は明...鏡の悪魔Ⅲ 26
リオン
-制御-
鼻に悪そうな薬の臭いで、レンは目を覚ました。
気分は最悪といっていいだろう。真っ白な天井と真っ白な壁に包まれた、白い部屋の中の、白いベッドの上でレンは目を覚ましたのだ。
狭苦しい場所は嫌いだ。一刻も早くここを出て、思い切り走ってみたい。―――けれど、それはい...鏡の悪魔Ⅲ 25
リオン
-行動-
いきなり、ズボンのポケットの中にはいったままの携帯電話から甲高い着信音と、バイブレーションをはじめ、レオンはポケットに手を押し込んだ。
白い壁にもたれたまま、携帯電話を片手で開いて通話ボタンを押して、携帯電話を耳元へと持っていった。青い携帯電話はに付けら...鏡の悪魔Ⅲ 24
リオン
-過去-
その声の震えは次第に大きくなり、最後には泣き出してしまうのではないかと思わせるほどになって行った。けれど、ルカは話すのをやめようとはしなかった。
「次の日、私の靴箱に彼からの手紙が入っていました。答えは、ふられました。でも、その文面からは、彼の誠意が垣間...鏡の悪魔Ⅲ 23
リオン
-微笑-
少しの間があった。
誰も声を発しない。いや、場の威圧感や空気感に声を発するほどの余裕を持ちきれていないのだ。重苦しい雰囲気がそこ煙のように立ち込め、全員の周りをこれでもか、というほど包み込んでいた。
「リン(ランのこと)やリンちゃん(主のほう)なら、身長差...鏡の悪魔Ⅲ 22
リオン
-謎-
「嘘…だよな…?」
もう一度、そう繰り返した。けれど、カイトは頷かなかった。
その場にいた全員の視線を浴び、どうしたらいいのかわからず呆然とするレンから、カイトはそっと目をそらした。その行動は、嘘ではないことを表していた。
その空気に耐えかねたようにルカ...鏡の悪魔Ⅲ 21
リオン
-炎上-
リングノートを閉じた。
日は既に暮れかけ、電気をつけていない部屋の中はキレイな茜色の太陽と同じ色に染まっていた。
気分もだいぶよくなってきて、部屋の中を動き回るくらいなら造作も無いことになり、その辺をとことこ歩き回っては何か無いかと探しているのだが、何...鏡の悪魔Ⅲ 20
リオン
-日記-
ふと目を覚ますと、そこはカイト邸の部屋の一つ、寝室だった。
酷い頭痛がして、頭を押さえてみた。天井は真っ白で掃除がいきわたっているのだろうことがわかる。そこから首を動かして辺りを見回してみたが、殺風景な部屋でどうやらあるのはこのベッドと小さな本棚だけらし...鏡の悪魔Ⅲ 19
リオン
-光臨-
時は少し前にさかのぼる。
あの後――カイトがランをとめたすぐ後までさかのぼることになるのだが、すぐにランは眠ってしまって、カイトとレンは落胆していた。
「…カイト兄、レオンが居た部屋に連れて行ってくれないか?腰が抜けちゃって、一人じゃ行けそうに無いから」
...鏡の悪魔Ⅲ 18
リオン
-終戦-
手が、震えてしまってどうすることもできない。
自分がしたことを理解するのに、しばらく時間を要した。
嫌な汗が背中を伝い、落ちていく感覚があった。それから何があったのかを考えていたが、自分の立っている場所から下をのぞき見て、やっと何があったのかを理解した。...鏡の悪魔Ⅲ 17
リオン
-悪魔-
ずるずると遅いながらもゆっくりでも、少しずつその場から離れようと、ランはレンを引きずりながら移動していた。ある程度離れた場所に用具箱を見つけると、その陰に隠れて少しだけ魔法を使ってみた。と、いっても、眠っている相手を起こす魔法など無いから、そこは、対象物の重...鏡の悪魔Ⅲ 16
リオン
-戦-
声が――
声が、呼びかけてくる。お前の弟は人殺しだと、狂ったように。
頭が痛い、割れてしまいそう、苦しい――。
「――大丈夫かい?」
「あ、カイト兄。大丈夫…」
「顔色がよくないね。取り合えず、出口へ出ようか。外の空気をすったほうが良いかもしれない」
...鏡の悪魔Ⅲ 15
リオン
-闇と光-
緑のショートへアーと黄色い服装から想像されるものは唯一つ。
「…パイン?」
「初対面でそれ、よく言えるね」
「いや、ごめんなさい。ただもう…そうとしか見えなくなってしまって…」
「ちょっとそこに目ぇ瞑って立っていてください。首をスパッとやっちゃいますから...鏡の悪魔Ⅲ 14
リオン
-狂気-
手にかけられていく強い力と、自分の手で愛した人を殺そうとしている恐怖、ただその二つが、レンの理性を奪っていく。この間のようにリンが声を出しているなら、まだ安心感を持てるかもしれないが、リンは苦しそうに顔をゆがめるだけで声を上げることすらできないらしい。
...鏡の悪魔Ⅲ 13
リオン
-傀儡-
部屋の片隅でレンを包み込んだ光は次第に緩やかになってきて、その光もふっと消えてしまった。ふわりと柔らかい光に包まれていたレンは、無意識に目を瞑っていたらしく、そっと目を開いた。何が起こったのかわからず、恐る恐る目を開いたのだ。
(…?)
「…あれっ…あは、失敗...鏡の悪魔Ⅲ 12
リオン
-進入と脱出-
メイコ邸では、やっとヒントが見え始め、大騒ぎが落ち着き始めていた。
「ルカ、連絡網のプリントを出してきてくれない?ほら、固定電話の下…。それをみれば、住所もわかるでしょう」
「母さん、それなら、大丈夫!私、レオン君の家、知ってる!行こう、早く!」
ど...鏡の悪魔Ⅲ 11
リオン
-監禁-
考えてみれば。
ふと、レンは思う。
毎回毎回、こんなクダリでのこのこと敵前に進み出ては、毎回毎回こんな風に捕らえられて、毎回毎回酷い目に合っている気がする。それでもって、多分この後レオンとかその辺りと面会ターイムに入って、何か危なくなって、リンとかが入って...鏡の悪魔Ⅲ 10
リオン
-混血児-
体に力が入らない。
手も足も、頬も額も全てが熱を持って、まるでそこに心臓があるかのようにドクドクと血が強く流れていた。息も苦しいし、のども渇いてしまってカラカラだ。
「…。…?」
ふと目を覚ました場所はまるで見覚えのない、豪華な天蓋月のベッドの中で、周り...鏡の悪魔Ⅲ 9
リオン
-声-
声が――。
何故、誰かがこうなるように仕向けたのか、ショックによる一時的なものなのか、一生戻らないものなのかもわからない。ただ、レンはその闇の中で目を覚ますことはできなかった。いや、目を覚ましたくなかった。目を開いた瞬間にこの生活が音を立てて壊れてしまいそう...鏡の悪魔Ⅲ 8
リオン
-不満-
――何も。
可笑しい、何もおきない。
ただレオンの住んでいるという館に入って、客間に通されるとすぐにリンやレンと同じくらいの年齢であろう、長いストレートの髪の少女が紅茶を入れたポットと四つのティーカップを持ってきた。
怪しいくらいに何も起こらず、初...鏡の悪魔Ⅲ 7
リオン
-招待-
全速力で、全神経を集中させて逃げても、逃げても追ってくる悪夢は獲物を追う狐のように素早く、狙われた黒兎はそれから逃れるすべを持たない。怯えた黒兎は追ってくる狐を避けるために別の狐に付け入って、狐同士が戦っている間にその場から逃げ去ってしまう。そうして黒兎は囚わ...鏡の悪魔Ⅲ 6
リオン
-記憶-
まただ。
また、真夜中に目を覚ましてしまう。
昨日もそうだった。けれど、ベッドから動こうという気持ちになるほどではなかったし、疲れていたからそのまま眠れるだろうと思って、ずっとベッドの中にいたからあんなふうになったのだろうが、まあそれとこれとは別の話だ。起き...鏡の悪魔Ⅲ 5
リオン
-接触-
少なくとも、レオンはアンについて何か知っているらしい。あえて追求はしない。レオンは何かを隠し、レンに、そしてランに接触してきているのだ
「嫌な感じがするな」
夕方の六時、鈴は仕方なくアンを探すのをあきらめ、帰路につこうとしていた。隣には今、用を済ませて...鏡の悪魔Ⅲ 4
リオン
-失踪-
結局、殆ど眠れないまま、レンは登校しなければならなくなった。
朝見た限りではランも特に可笑しな様子もなし、レンを意識しているようにも見えず、いたって普通だ。少しばかりの不安を感じながらも、レンはリンに連れられて学校へと向かっていた。
途中、見覚えのある...鏡の悪魔Ⅲ 3
リオン